アバランチ

警察エリートの息子で、しかも巻き込まれたともいえる立場でアバランチに加わったキャラクターだけに、演技はその設定に縛られてしまい、なかなか個性は出しにくい役柄だったと思います。それでも展開の中で、最初は警戒心を抱き、距離を置いている感じから、徐々にアバランチメンバーを理解し、距離感が縮まっていくところはよく出ていたと思います。そして彼が父親を追い詰めながらもどこかで信用しているところが、このドラマの鍵となっていて、正義と信用がリンクするところにこのドラマの意図が感じられました。それをお膳立てした点で良い芝居ができていたといえます。

父親としては告発したくないけど、警察の人間としてはしっかり責任を取ってもらいたいという絶妙な思いが混ざりあった表情がとても良かったです。会見の前に呼び止めた表情は息子のもので、ごめんねという弱々しさが西城らしかったです。

ネットの記事や掲示板を見てそうじゃないんだと叫びだしそうな弱さから、一縷の望みとばかりに記者と手を組んで"何か"を探すやる気のある顔つきの変化がとても良かったです。

どんなに心細くても一人でちゃんと立ってられる、あわあわするだけじゃなく行動ができるようになった最初頃からの変化が見てとれました。打本のところに行きたいと喚いても、羽生の駄目だという言葉をちゃんと聞いたことに成長を感じました。

優美から思わぬ情報が聞けて驚きながらも少しにやつくというか"凄いこときいちゃったぞ！"みたいな表情がとてもよかったです。その後の優美の発言の間にドキドキしてる表情も少し情けなくて西城らしさがあったと思います。

父親から、憧れの刑事からもらいたかった言葉を羽生の言葉で埋めて泣くシーンは、父親の態度への落胆とか憧れていたものが虚像だった喪失感が見えてとてもよかったです。

どや顔はどや顔に見えなかったけど、アバランチというチームに入ってしまったことに罪悪感や嫌悪感を感じていたのに、福本の"カッコいい"の一言で表情が一変して明るくなったのはとても良かったです。

違法なことはと言いながら着いてきて、あわあわしてへっぴり腰の弱々しい姿を見せつけて、羽生たちとの差がすごくよく表現されてました。質問を並べ立てて全てに答えてもらえると思ってた姿も空気読めない雰囲気が出ていて良かったです。

羽生たちに警察手帳代わりに連れ回されたり、人質に取られそうになったり、スタンガン使う時もへっぴり腰だったりと、今回も格好良いシーンはなくて何かと残念な姿ばかりでしたが、そのヘタレっぷりが良い味出してました。展開が速くてアクションも多く、ハラハラするシーンが多い中、ピンと張り詰めた緊張感を西城のキャラが程良く和らげてくれるのが良いと思います。

あまり台詞もなく、あわあわしたり驚いたりしているだけだったけどしっかりと存在感がありました。どう見ても一筋縄ではいかなそうな羽生ではなく、元自衛官のリナに迫られただけですでに逃げ腰で、戦わない選択をした弱々しさがとても似合っていました。

人の良さそうな顔立ちや頼りなさげな雰囲気のせいか、こういう周りに振り回されるちょっと情けない役が似合いますね。事情が飲み込めずに動揺する姿や、リナの迫力に負けてすぐ降参しちゃうヘタレっぷりも、肝が据わったキレ者の羽生たちと良い対比になっていたと思います。