べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜

最初は警戒していたのにお酒一杯で「やっぱり吉原は良いなあ」ってコロっと懐柔されちゃうところが平蔵らしくて笑ってしまいました。ハラハラしたり辛いシーンが多い回だったので、平蔵の軽やかさと明るさに救われました。自分が騙されていたと知った時に、怒るどころか「さすが花の井」と誇らしげに笑う姿も、平蔵の器の大きさ、大らかさが感じられて粋で格好良かったです。

弓を放って蔦重のピンチを救うシーン、颯爽と登場するところも、「長谷川平蔵である」と名乗る時の太く芯のある声音も、キリっと引き締まった表情も、すべてがビシっと決まっていてめちゃくちゃ格好良かったです。アホのボンボンって感じだった平蔵をこんなにも頼もしいと感じる日が来るなんて…。感慨深くもあり、時の流れを感じてちょっと切なくもあり、短いシーンだったけど印象深かったです。

久々の登場だったけど、調子乗りなところも気取ってるのにほんのり三枚目っぽいコミカルさが滲むところも相変わらずで嬉しかったです。辛くしんどい展開が続いたから余計に平蔵の明るさに救われた気がする。年月を経て、互いに成長し立場も変わった今、蔦重とどんな関わりを見せてくれるのかとても楽しみです。

親の七光りも自分の顔がいいこともサラッと言えちゃうところがほんとにいいとこの坊ちゃんなんだろうなと思う。悪意がなさすぎるから、それがまた誰かの勘に障るという悪循環。そこを気にしてない感じがお坊ちゃんなんだろうな。

花の井から「一世一代の頼み」という文を受け取ると全速力で駆けつけたり、待っている間もソワソワして落ち着かなかったり、鏡を見て髪を直したり、本気で花の井に惚れてる姿が可愛らしくてちょっとコミカルで、良い味出してました。見た目が美しくて本人は粋を気取ってるのに実際は三枚目っていうのも良い。もう吉原に来れないし、出番が減ってしまうのかなあ。またフラリと吉原に戻って来て欲しいなって思える、愛すべきキャラを見事に作り上げていたと思います。

花の井の笑顔のために、重三郎の助言を忠実に守って実行する素直さが世間知らずの良いとこのボンボンって感じで良かったです。花の井の反応に慌てたり焦ったりとアタフタしてる情けない表情も、調子に乗って紙花をばら撒く姿も、チャーミングでちょっとお馬鹿さんっぽくて、１話のイキがってる感じの悪さとギャップがあって良かったと思います。

さすが歌舞伎役者さん見事に嫌なやつをやり切ってくれますねぇ。いいとこのお坊ちゃんが遊び方も知らないところでイキがっているのも面白い。花の井に分かりやすく一目惚れも面白い。やっぱり表現に幅があって絵が持つよね。