ドクターホワイト

自分勝手な患者を表情も変えずに嫌味でサラっと捌く姿がさすが。麻里亜との息のあったコミカルなやりとりも夫婦漫才みたいで面白かったです。やる気と成長を見せる佐久間を嬉しそうに見ていたり、白夜の受験勉強を見てあげたり、不合格だったと早合点して「また来年でも良い」って慰めてあげたり、意外と面倒見が良くて優しい一面も嫌味なキャラとギャップがあって良かったです。

わざとらしさが強くて、最初は首を傾げましたが、途中から悪くないなと感じました。医療ものでもあるので、経験豊富な医師として、白夜の確定診断まで狂言回し的な役割を持っています。他の部分ではいろいろ癖のあるキャラとして、時に笑いを、時に緊張をもたらし、使い勝手のいい便利なキャラでもあります。勝地さんは夏樹の個性をうまく引き出して、ドラマに緊張と弛緩をもたらしています。気障に成り切れない感じも、良いスパイスになっていると思います。

立ちはだかる警察に立ち向かっていくかと思いきや寸前で尻ごみしたり、「それは冤罪だ！」とビシっと指摘したものの、微妙な空気になると発言を麻里亜のせいにしたり、最後まで夏樹先生らしさ全開で良い味出してました。無事に病院に戻ってきた白夜と将貴を見て「まったく…」とホッとしたように呟いたり、目覚めた晴汝と白夜のやりとりに感動して泣き出したり、ちょいちょい夏樹先生の人の良さも感じさせて、嫌味だけど憎めない、良いキャラクターを作り上げていたと思います。

勇気をオペ室まで誘導するシーン、警察相手にいつもの屁理屈こねたり、ピンチって時でも表情全然変えずにシラっと誤魔化したり、気取った捻くれキャラかと思いきや意外と何でも協力的だし実際役に立つし、CDTになくてはならない存在になっていると思います。「迷惑ばかりかけている」と落ち込む白夜の言葉を聞いて、西島先生たちと揃って無言で首を横に振る姿も、夏樹先生のチームへの馴染みっぷりと優しさが感じられて良かったです。

ちょっとクセの強いイケメンをやらせたら右に出るものはいないですよね。ナルシストで自分の技術に自身ありげな医者。たぶんあんな医者はいないんだけど、デフォルメもキツくはなくぎりぎりいるんじゃないかというラインを攻めてくるのが上手い。

突然大声を出す白夜にめちゃくちゃ驚く姿が普段の気取ったキャラとギャップがあって面白かったです。その後、すぐに冷静を装って挙動不審になるところも夏樹先生らしくて良かった。屁理屈っぽい長台詞も程良く緩急がついていて聞きやすい。お酒が苦手なのにヘロヘロになるまで接待に付きあって院長のために薬をGETしてくるところも、人脈が広いというプライドを守るためだけではなく、院長を助けたいという医者としての信念や意外な仲間意識の強さを感じさせて良かったです。

最初はチャラいだけかと思っていましたが、医者としてもなかなか優秀だし、何だかんだ言ってもしっかりチームに献身しているところがあります。勝地さんの演技も役柄にあわせチャラさを前面に押し出し、それが笑いのもとにもなっていますが、シリアスさとの切り替えが上手いので、しつこく絡むお笑い芸人みたいな邪魔にはなっていません。そのあたりは見事です。チームでも彼の意見がとば口となるケースが多く、議論を引っ張る役目にもなっていて、芝居のリズムを作っていると思います。

こういう高飛車で嫌味ったらしい役、似合うし上手い。協調性ゼロかと思いきや、何だかんだチームに馴染んでいるし、たまに見せるコミカルさも愛嬌があって良い味出してます。検査を嫌がる子供や隠し事をする患者のマネージャーを説得するシーンも、相手を追い詰めて焦らせたり自尊心を刺激したりと話術が巧みで、夏樹先生の頭の回転の速さや観察力の鋭さを感じさせて良かったです。