ダイイング・アイ

救いようのないクズ悪党を気持ち良いくらい振り切った演技で魅せてくれたと思います。成美を追いつめる時や慎介や瑠璃子に手をかける時など、毎回ギョロっと目を見開いて嬉しそうに笑っているのが本当に怖くて、人として大切なものが欠落している異常さを感じさせました。自分で自分の目を潰すシーンも狂気的で、叫び声がいつまでも耳に残り強いインパクトがありました。

由佳とバーテンのアイコンタクトを鋭い眼差しで見ていたり、慎介に再取引きを持ち掛ける時に目だけ笑っていなかったり、成美を物のように見下ろしたり、とにかく目の演技・表現力が素晴らしいです。口調はわりといつも落ち着いて同じ感じのトーンだけど、目にしっかり表情があって江島の怖さを丁寧に演じていると思います。やっぱり生瀬さんは悪役やクズ役が似合いますね。

成美を見つけた時のニヤっとした笑顔が怖すぎました。良い人の役も似合いますが、生瀬さんといえば悪役というイメージが強いので、この江島役はハマリ役だと思います。成美を追い詰める時もどこか楽しんでいるように口元は笑っていて、でも目だけはギョロっと鋭くて獲物は絶対逃がさないという迫力がありました。

慎介に対しては気さくで面倒見が良い雰囲気を醸し出していますが、由佳からスマホを奪い返す時の怒号や凄みに迫力があり、江島の本性が垣間見れたのが良かったです。表情や眼差しに人間の情が感じられないというか、人を人と思っていないような冷酷さがあり、江島の怖さが滲み出ているところも上手いなあと思います。

慎介の状態を探るように話しかけたり、親身になっているような口調だけど目は全然笑っていなかったり、彼に事故のことを思い出して欲しくなさそうな態度を分かりやすく、でもやり過ぎない抜群のさじ加減で表現しているところがさすがだなと思います。ギョロっとした大きな目は何を考えているか分からない怖さを感じさせます。

主人公の起こした事故にかなり絡んでいる謎の多そうなバーのオーナー、悪い何かを企んでる感じ、秘密を握っている感じをセリフというよりその雰囲気、醸し出されるオーラで演じていて、かっこいい。黒い生瀬勝久をじっくり見れる。