二月の勝者-絶対合格の教室

ここまで本気で受験をしたことがない人生だったし、それを特別おかしなことだとも感じていなかったけど、この作品を最後まで見てここまで本気の受験を経験してたら人生何か違ったんだろうと少し羨ましくなりました。
それにここまで"受験"というものが親の協力がなくてはならないもので、子供の成長を感じられるものだとは思ってなかった。
一つ一つの家庭の未来を明るくするために、無理をしてもそれをいい経験だったと思える強さが育つことはとても素敵でした。
ただ受験のストーリーが良かっただけに、灰谷というキャラがストーカーする描写とか必要だったかなと疑問に感じました。

金持ちの道楽だと思っていた中学受験、子供たちの熱演にいつしか応援している自分がいました。やったってやらなくたっていい中学受験にこれほど賭けるのはやっぱり狂気が必要。黒木先生はお金のあるところにはじゃんじゃん使ってもらって、一方のお金がなくて教育が受けられない子供たちのアシストをする。それで経済が回って受験に受かればWIN-WINで言うことないよね。高額な塾代も、塾に運ばれるお弁当も、雨の日の送り迎えも、親の経済力と愛情にかかっている。経済格差は無くならないけれど、陰で助けている人の存在はありがたい。

灰谷は"受験期"しか見てなくて黒木は"受験後"に目を向けた、ただそれだけのことなのに何だか塾講師として天と地ほど差があるように感じてしまうのは黒木の自分のことは顧みない少し頼りない面を見たからかもしれない。ルトワックにいた頃の黒木はさぞ完璧だったんだろうけど、完璧だからこそ"受験後"の家庭崩壊を知って衝撃を受けたんだろう。一つでも偏差値の高い学校に入れることができれば塾講師としての評価は上がり続ける。でも黒木は自分のミスに気づいてしまったから同じところには立っていられなかった。頭が良いからできる切り替え。
灰谷がもし同じことに気づいたとき、同じ切り替えができるか気になりました。

海斗くんが言った言葉に胸が痛い。お母さんは赤ちゃんの頃からその子の適性に合わせて可能性を伸ばそうとしてきたんだと思う。多くの習い事の中からその子に合うものを選び、1番いい時期に習わせ始めるって大変なのよ。海斗くんと陸斗くんは双子だからぶつかり合うことなくその子の個性を伸ばしたいって思ったのかもね。親がなんでも選択して与えていた、でもいつのまにかそんな時期は過ぎていたんだね。子供の成長は嬉しい。たまにドキッとする言葉をもらうけれど、親もその都度アップデートできる柔軟さを持っていたいと思った。

子供があれだけいればそれだけの人生があって家庭環境がある。受験をやらされてる子もいれば自ら選ぶ子もいる。お父さんの暴力に屈せずお母さんを守った姿、家計を心配して私立への進学は贅沢だといった姿、12歳、侮ってはいけないと感動した。お父さんへの処分はきっちりしてほしかったけど、じゅんくんの圧勝だね。自分の暴力の末の離婚なんだからきっちり払うもの払ってほしい。今回は島津くんの決意と強い気持ちに涙が止まらなかった。

父親に暴力をふるうのかって自分のことは棚に上げてよく言えるなと思った。自分ができたから、自分はすごいから、お前もやれば出来るみたいな親の勝手な思い込みって本当に怖い。すごいねと褒めることは簡単なのに、すごくないと誉めなければもっと出来るようになるみたいな、自分が周りからされたことを子供にし返す親って親と言えるのかな。順の方がよっぽど大人で、自分のために開成にいくんだと言い切ったのはカッコ良かった。親は子供のことくらいわかってると思いがち。子供だっていろいろ考えてることに受験というものを介して親が気づけるかが一番大切なことなのかもと思いました。

集金！！って言葉にドキッとした。塾の側にそんな風に思われていながらもそこにすがらなきゃいけないのかと思うと切ない。子供の伸びるか伸びないのかも分からない学力に突っ込んでも突っ込んでも終わらない集金‥シビアだわ。ピリピリしてきている教室に王羅くんみたいな子がいたら耐えられないだろうな。でも辞めてその辺をぶらぶらするだけの子供にしてしまうのは親として避けたい気持ちも分かる。そんな王羅くんの特性を見定めて塾を替えた黒木先生はすごいと思った。

灰谷はパーティーにまで参加しておいてまだ"あんな塾"と蔑む。そうしないとなにも話してもらえなかった自分が惨めになるから。せっかく黒木は灰谷ならわかってくれるかもと思って教えたのにね。社会貢献していい気分かみたいなことを言ってたけど、それぞれに事情を抱えた子供と話すのってすごく貴重なことだと思う。黒木があの緩い格好で笑顔で過ごしてるのを見て余計に嫉妬したとしか思えない。もう理由もわかったんだしストーカーは止めるよね？理解できない相手なら距離を置くよね？生徒の問題よりこちらの問題が気になってしかたないです。

灰谷の他人が大切にしてるものを見下す発言が本当に嫌。あんな塾のためにルトワックを辞めたのかじゃなくて、あんな塾のために自分を裏切ったのかと自分が大切にされなかったことを怒ってて、気持ち悪くて見てられなかった。
頭がいい子にもその子なりの悩みがあるのに、自分よりできるからと出来ないところを見ないで"私の気持ちなんかわからない！"と言うのは卑怯だよね。樹里の話を聞いてちゃんと見てなかったところを見て、本当の友人なれたのは良かったと思うし、黒木の言う化学反応で2人とも合格できそうな流れがよかったです。

中学受験なんて富裕層のいくらでもお金を出せる家庭がやるもんだと思っていたけど、周囲の学校には馴染めなくここではない違う環境で一からやり直したい子もいるんだね。不登校だったまるみちゃんをずっと見守って心配してきたお母さんの気持ちはわかるけどお母さん役の役者さんのお芝居が苦手だな。興ざめ。夢を持つのはいいことだけど高すぎる目標の現実を知り改めて挑戦する心を育てるのも大事。黒木先生は自ら熱血指導をしない魔術師のようだ。

優秀な自分の子だから優秀なはずみたいな思い込みって本当に怖い。無理矢理勉強させられて成績が親の思う通りに伸びていく子がそういるわけがない。パパのいう通りにしろと、塾の宿題なんてしなくていいと言うなら塾なんて辞めたらいいのに。人前で家族に手をあげられるような人間性は変わらない気がするけど、父親が異常だと、順がちゃんと周りを見れるようになったのは良かった。
黒木の勉強に関わることなら話もできるけど、家庭の問題には踏み込めないというセリフは重いなと思いました。
灰谷はそろそろ怪しい人として職質されてほしいレベル。勝手にストーカーしてて生徒が受験に失敗したら黒木のせいにしそうで本当に怖い。

一つの教室に集まって同じように中学を受験するために机に座っている子供も一人一人背負っているものが違うんだなと改めて思った。高校や大学受験と違うのはあくまでも本人の人生なのに大部分を親の関わり方一つで方向が変えられるってことなんだろうね。金子貴俊さんのような役のお父さんって実際にもいて何年かごとに子供を刺したとか子供に刺されたとかで問題になるもんね。熱を入れすぎてなにが目的なのか見失うには十分な期間があるのも特徴なのかもしれない。親子の問題に立ち入れないもどかしさがあった。

ゲームに課金できるお金はあるのに子どもの塾に払うお金はないって父親として最低すぎて唖然とした。母親と黒木がうまいこと子どもの受験をゲームに例えたから父親は納得してたけど、そこまで言われないとわからないんだと、子供に興味のない描写が怖かったです。
いつも突っかかって行ってるくせに佐倉が黒木を尊敬してると言っていて嗤えました。子供たちのどこに問題があって、今すべきことが何なのか見えてないのに当たり前のように黒木を否定するのを繰り返していて、佐倉が何も学習してないように見えるのが残念。
灰谷はそろそろストーカーで訴えてもいいのでは？本当に気持ち悪い。

中学受験なんて甘い気持ちで始めたらダメよ。中途半端にやれば大金をかけたって結果はついてこない。子供だって傷つくしね。6年生なのに父親が塾よりディズニー旅行なんてチラつかせたらほんとにどうしてくれようか？母親がゲームに課金するなら子供に課金していい武器持たせてよ！って発狂してたけど、ほんとにそれが正しいのかな？武器なんて自分で見つけるもんだよ？塾代だけで悲鳴あげてる親はすぐに諦めた方がいいと思うけどな。

受験の神様以来の出来栄え。受験生は見るべし。ただ、ルトワックの講師はもう少し演出を工夫しないとペラペラの存在感

黒木は花恋がどんな性格かまで把握して、頭のいい花恋にもそれを自覚させるためにあえて時間をとっていて、そこまでやるんだ…！と驚いたし関心しました。一番成績のいいクラスで生徒ひとりひとりのことを把握していたとはいえ、どういった性格でどこで押せばいいかを判断するのは大変なこと。だからこそ体験入学に花恋がきただけで転塾が決まったように話し、しかも自分の手柄のようにみせていた灰谷は本当に小物だなと思いました。生徒のこと何も見てないのがまるわかりで、ルトワックで黒木のような功績は残せないんだろなと感じました。

かれんちゃんの物語。すごく良かった。ほんとにどうしてスポーツや音楽では羨ましがられるのに勉強の1番は羨ましがられるどころか妬まれるんだろう。勉強を頑張れるってすごいことなのにね。かれんちゃんは向上心があるすごくいい子。でもあれだけの負けん気をもって集中して夜中まで勉強してるのに1番になれない壁を知るっていうのもすごくいい経験だったんじゃないかな？黒木先生が言っていた1番元気に泳げる池っていう表現に目から鱗。親や大人の見る目が大切なんだろうな。

佐倉は本当に黒木の指示が聞けないね。教師としての仕事から逃げてきたのに、自分ならなんとか出来るってどこかで思っているなら怖い。なぜあんなん頑なに黒木の指示に反発するのか、やりすぎな気がします。正直、佐倉が黒木と出会ってから黒木は正論しか言ってないはず。もちろん生徒や親には聞かれてはいけないことだけど。
加藤くんが辞めないための説得も凄かった。あの目の輝き方の違いは100%やる気に見えました。黒木の人身掌握術は素晴らしかったです。
灰谷のストーカー行為はどうにかならないのかな…？黒木が話しかけるまでつけてただけなのに、話し出したら上からって本当にどうしようもない。

いるいる、こういう何聞いても覇気がない子。親が過保護なんじゃないの？って思われがちだけど、反応が薄いからあれこれ聞きたくなっちゃうもんなのよ。そしてあれこれしてくれる親がいるから反応が薄くてもやっていける構図ができてしまう。子供の顔に何のために中学受験なんかするんだろうって書いてあったね。その意義が分からなければ受験勉強なんて辛いだけだもんね。でも鉄道という1番興味のあるものと中学が繋がった！そういう時の子供の力はすごいんだよね。きっと合格するだろうなー。

外見なのか声の張りなのか、何がそれを支えているのかはわからなかったけど、黒木のビッグマウスは信用できると思える何かがありました。辛辣な言葉もオブラートに包んでないだけで事実だったので面白かったです。
佐倉は黒木にも目をつけられていたけど、教師を辞めることになった出来事が小さくて嗤えた。だって顧問をしてたならその子が大会に出たいか推薦を受けたいかなんてわかるものでしょ。その子の意思を無視したんだから恨まれるのは当然。さらに言えば、キャプテンがいなくなったくらいでボロボロの演技しかできないなんて部活として終わってる。佐倉が教師としても顧問としても適してなかっただけといオチに唖然としました。

中学受験は父親の経済力と母親の狂気！に身震いしました。はー恐ろしい。1話で描かれた親子は典型的。父親はサッカー選手にしたいと思っているし、母親は学校の成績を褒められてこの子ならいい学校に入れるのではないかと期待している。まあね、我が子のこととなると盲目になるのよね。少しでも可能性があればそれを広げてあげられるのは小さいうちは親しかいないんだから。習い事はだいたいそうだもんね。可能性を見つけるためにやっているんだもん。でもさ、冷静になってみなよ。自分たちの子供だよ？なかなかトンビが鷹を生まないんだよ。