舟を編む 〜私、辞書つくります〜

コロナ禍でマスクをつけているのに大きな声を出すから驚いた。あの頃の時世を考えればキャラとはいえもうちょっとなんとかしても良かったと思う。でもいつも前向きであんな風に仕事ができたら素敵だなと思っていた。誠実でみどりのことを大切にしてくれそうなところがよかった。

事態を把握してすぐに空いている印刷機を押さえてくれる機転と有能さ、ものすごく頼もしかったです。究極の紙だからどの印刷機でも対応出来ると語る時の自信と誇りに満ちた表情も、紙作りへの拘りとプライドが感じられて格好良かった。みどりとの幸せそうなカップルぶりもほのぼのとして微笑ましかったです。

宮本の驚くほどピュアで真っ直ぐな熱情は、仕事に対しても、みどりに対しても、大きな力となり、いろいろな問題を良い方向へと導く光になっています。こういう人が物事を前に動かすキーパーソンになるのでしょう。胡散臭い自己啓発とやらの影響ではなく、本当の意味でのポジティブを持っているキャラです。

演じる矢本さんですが、決して二枚目ではないけど、誠実さと懸命さが伝わってきます。演技がうまいという感じではありませんが、キャラが伝わってくるという点では満点だと思います。

みどりが約束の場所に現れなくてLINEで会話する時、なんて入れようか何度も文字を入れては消していたところがとても面白かったです。何度も訂正するのにどんどん言葉がウザくなっていくのも面白かった。自分に突っ込んでいるところが笑えました。

「あなたが大好きです」っていう飾らないストレートな告白も、みどりに好きだって言われた時の目を潤ませて大喜びする姿も、素直で真っすぐな宮本らしくてとても良かったです。特に両想いだって分かった時の一瞬ポカンとしてじわじわ喜びを実感していく感じが、本当にどうしようもなくみどりのことが大好きなんだなあって伝わってきて、見てるこちらまで幸せで温かい気持ちになれました。

みどりのどんな要望にも真摯に向き合い嫌な顔一つせずいてくれるところが営業の鑑だなと思いました。それを持ち帰り社内で製造の人に頭を下げるところもすごく良かった。世の中には丸投げの人が多いからね。こういう誠意溢れる姿を見ると爪の垢でも煎じてやりたくなるわ。

究極の紙のために工場の担当さんに必死で頭を下げる姿が格好良かったです。「仕事だから格好つける」という言葉も、もう同じ後悔を味わいたくないからとことんやりたいという熱い思いとこの仕事へのプライドが感じられて良かったし、大渡海は売れる、後世に残っていく辞書だという確信も、みどりたち辞書編集部との絆や信頼関係が伝わってきてグッとくるものがありました。

みどりがシールの剥離紙をめちゃくちゃ愛用していたって知った時の表情がとても良かった。誰も気にしない、虚しいって思っていた仕事にちゃんと意味があったって初めて実感出来たような、胸がいっぱいで泣きそうになってるのが伝わってきて、みどりがもらい泣きしそうになるのも分かる気がします。

あんなに無邪気に笑わないで〜とみどりだったら思っちゃうよね。最高の紙を作るためにあんなにも一生懸命取り組んでくれて出来上がりにワクワクされたら紙の辞書は作れないかもなんて口が裂けても言えやしない。笑顔が眩しすぎて沁みました。

元気のないみどりを放っておけなかったり、母親に直接訊くことを不安がった時も「電話下さい」「旨いもん食いに行きましょう」って明るく背中を押したり、社交辞令や表面的ではなくて、自身の経験からちゃんとみどりの心情を察して共感していること、本気で心配して気にかけてることが伝わってくるところが良かったです。

相手の話を大きく頷きながら聞いたり、自分が話す時は相手の方に体を向けて顔をしっかり見たり、手の指し示し方やお辞儀など一つ一つの所作がきちっと丁寧だったり、何の説明がなくてもその姿を見ているだけで、宮本の真面目な人柄や営業マンとしての適性が伝わってくるところがさすがです。みどりに紙の説明をする時の生き生きしたとした表情やテンションの高さも、みどりと一緒に究極の紙を作りたいっていう気合が伝わってきて良かったです。

ぬめり感がなくなった原因をわざわざ直接伝えにくる姿や、大きな声とハキハキ丁寧な話し方、腰を９０度曲げて頭を下げる丁寧さ、宮本の真面目さや真っすぐさ、仕事熱心さが所作や口調からしっかり伝わってくる演技が良かったです。真面目なんだけどお堅い感じではなく、どこかコミカルさがあってクスっと笑えるような軽やかさがあるところも矢本さんならではの魅力で良いなと思いました。

すごく大らかで柔軟で真面目。自分にないものはどんどん他者から入れることのできる人ってとても成長できると思う。新しい発見に喜び試行錯誤を厭わずまた挑戦しようとする。とても気持ちがいい。ごまかす姿勢が1ミリもないところがいいな。

腰が低くて丁寧で人懐っこくて、テンションも声も大きくて、登場からお手本のような営業マンらしさ全開な姿が良かったです。辞書を愛してる馬締に失礼だからと彼の真似をして楽しそうにしてるっていうのも宮本の生真面目さや誠実さが感じられて良かったし、そこに取り入ってやろうみたいな計算高さや厭らしさを一切感じさせないところも愛嬌のある矢本さんならではの魅力だなと思いました。