下剋上球児

賀門は後々、自分自身も成長して、初めてなるほどと理解できる教訓をくれる人。まさに南雲にとって先達というべき人ですね。南雲に対して厳しいことは言っても、責めはしない。むしろ教育者として、先達として、いくつになっても教え子を導こうとする姿こそ、まさに先に生きる者が見せるべき姿だなと思いました。松平さんの演技はさすがに迫力があるので、威圧されるくらいの雰囲気が、うまくこの賀門というキャラの本質を引き立たせていて、さすがベテランの芝居だなと納得させられました。

名門を率いてきた先生。貫禄があるしオーラが違う。選手たちのためには頭も下げることができる柔軟な姿が大人としてとてもかっこよかったです。試合で負けた生徒を丸ごと受け入れて受け止める姿がとても素敵でいいなと思いました。

揉める観客席に向かって「大人として失望させないでいただきたい」と頭を下げる姿、頑張る生徒たちと野球への深い愛が感じられて格好良かったです。試合に負けたあと「胸を張れ」「ありがとう」と選手たちをハグする姿も労いと感謝の気持ちが伝わってきてグッときました。南雲とのシーンでも器の大きさや今も変わらぬ南雲への情が感じられたし、9話では賀門の愛情深い人格者っぷりがより丁寧に描かれていたのが良かったと思います。

山住に「選手が悔いなく戦えるよう全力で支えるのが監督の仕事」とアドバイスするシーン、とても良かったです。お前に出来るのか？みたいな空気や上から目線な感じが一切ないところが、物事の見方がフラットで、基本相手を信頼する賀門の器の大きさを感じさせて良かったし、ピッチングマシンやボールを提供するなど、惜しみなく協力する姿も頼もしくて、皆から慕われる面倒見の良い名監督らしさが感じられて格好良かったです。

貫禄。声もいいし、好きです。この監督なりに苦労があったんだろうな、という背景があるのが、わずかなシーンでわからせてもらえた。

南雲と酒を飲んでいる時の楽しそうな表情や「いつでも胸を貸す」と協力を惜しまない姿、越山との試合後の「めちゃくちゃだな、お前の野球」という呆れと嬉しさが入り混じったような笑顔など、教え子が自分と同じ道を歩むのが嬉しくて誇らしいという気持ちが滲み出ている姿が良かった。グランドが出来上がった時もボールを大量に差し入れしていたし、弱小の越山との練習試合にも快く応じてくれるし、面倒見の良さや懐の深さが感じられるところも、長年名門校を率いる監督という説得力があって良かったです。

体格もがっしりしていてユニフォームもよく似合っているし、現役監督として全く違和感がなかったです。南雲に気付いて懐かしげに声をかける姿も、感じが良くて何のわだかまりも感じさせず、その態度が顔を伏せてぎこちなく接する南雲とギャップがあって、南雲の心の傷の深さや背負う過去の重苦しさをより際立たせていたのも良かったと思います。

体を鍛えていらっしゃるのか野球のユニホームを着てもダレたところがなく貫禄もあるので、強豪校の監督にぴったりだと思いました。卒業生である南雲先生に優しく話しかけるところもあって悪いだけの人ではないんだろうなと思いました。