グレイトギフト

とても人懐っこくて明るいキャラクターなのに、目が笑っていない気がしていたし、言葉に心がない気がしていた。そんな人もいるかもと思ったりしていたけれど、やっぱり犯人だったか。納得の演技でした。

奈良さんが真犯人だったのか。それから思い返すとそう言えばと思い当たる節がいくつか見つかるから面白い。センパーイなんて人懐っこく絡みながらほんとは心の中でライバル心がメラメラしてたんだろうなとかさりげなく関わってこようとしてたんだなと思いあたる。よく計算されていたと思う。

いつもの軽い口調で楽しそうに真相を語る姿が怖過ぎる。おどけた明るい雰囲気だけど、言葉の端々や勝ち誇ったような表情に久留米に勝ちたいという強い執念とライバル心を滲ませるところも上手いです。伊集院が殺された時の号泣や、郡司の妻が亡くなった時の「ヤバイですよね～」という他人事のような態度など、全てが明らかになってから振り返るとサイコパス全開でゾッとするし、明るくてサバサバしたキャラクターとのギャップも奈良の異常さを際立たせていて良かったと思います。

最初から妙に久留米に絡んでくるし、無邪気な感じにしているけど、いちいちどこか含みがあった。なので早い時期から彼女を真犯人だと疑っていたけど、やっぱりかという感じです。まさにサイコパスで、頭が完全にいかれている。こういう人間が一番怖い。演じる小野さんですが、無邪気な中に感じさせるほの暗い邪気や、真犯人だとわかった後の壊れっぷりが凄かったです。熱演でしたね。子役から経験を積んでいるだけあって、間の作り方などとても上手かったです。

お金のためなら深いこと考えずにサラっと引き受けちゃう軽い感じが奈良らしい。噂好きだしお喋りだし「誰にも言いません」って約束もめっちゃ軽くて信用ならないし、白鳥たちが何度も口止めを繰り返すのも分かる。あと藤巻たちがかなり苦労していた培養を短時間でチャチャっと成功させていたけど、実はすごく優秀な人なのかなあ。それとも実は失敗してる？事件と無関係のムードメーカー的存在かと思いきや、ここにきて一気にキーマンっぽい存在になっていて、今後の動きがとても気になります。

独身寮で藤巻たちと鉢合わせた時の「家の…家があれだから…」と全て察して気まずそうに笑うシーンが面白かったです。遠慮なく何でも口にするしグイグイ押しも強いけど、不思議と鬱陶しかったり見ていて嫌な気持ちにならないところも魅力に感じます。久留米が一緒にいるのを見て「もしかして…」って探りを入れたり嬉しそうにはしゃいだり、相変わらず他人の恋バナに興味深々なミーハーっぷりも奈良らしくて良かったし、重苦しい展開が続く中、このカラリとした明るい笑顔と良い意味で能天気なキャラを見るとホッと安心出来ます。

藤巻と久留米の2人ご飯をアシストする時のウインク＆サムズアップや、ドレスアップした久留米を藤巻に披露する時のドヤ顔など、久留米を応援したいっていう気持ちはもちろんだけど、野次馬根性というか恋バナ好きというか、奈良自身が誰よりも一番ワクワクして楽しんでるところが良いですね。事件と無関係なあっけらかんとした明るさに救われます。

思ったこと何でも口に出す、遠慮のないキャラが良いですね。謎に息の合った本坊とのテンポの良い会話や、麻帆と郡司の不倫話を聞いた時の「ええ～？！」っていう絶叫も面白かった。一連のギフト事件とは無関係っていう立ち位置と、カラっと明るくてチャーミングな演技が魅力的で、重々しい空気を緩める良い息抜きというか、ホッと安心出来る存在になっていると思います。

藤巻へのお祝いの花束を久留米に持っていかせたり、「ずっと先輩のこと見てましたね」って嬉しそうにしていたり、藤巻と３人で食事をセッティングしようとしたり、久留米の恋を応援して一生懸命アシストする姿が可愛らしい。ランチ中、同僚たちと藤巻と久留米の噂話をしている時も何だか生き生きして楽しそうだったし、他人の恋バナ大好きで噂好きな一面が垣間見れたのも良かったし、伊集院の死からしっかり立ち直って元気に過ごしている姿にもホッとしました。

伊集院の葬儀で一人号泣する姿や、デスクに飾られたお花を見て「いなくなると寂しいものですね」としんみりしている姿が人間らしくてホッとします。伊集院の死に関わっている人間が二人もいるし、久留米は常に淡々としていて感情を出さないキャラだから仕方ないかもしれないけど、亡くなった人の死を心から悼んで悲しむっていう普通の反応を見せてくれる奈良の姿に救われた気がします。

久留米をご飯に誘う時の圧がすごくて笑ってしまいました。伊集院と絶対に二人きりになりたくないって気持ちや、嫌なら断れば良いのにご飯代のために誘いに乗っちゃって、毎回久留米を巻き込もうとする奈良の打算的な性格が伝わってきたのも良かったです。病院内の物騒でドロドロした問題と無関係そうな、あっけらかんとしたキャラクターも魅力的で、奈良が登場するとホッとするというか、良い感じに張り詰めた緊張がゆるんで、良いアクセントになっていると思います。