書けないッ!?～脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活～

視聴率命の器の小さい人かと思ってたけど、「最後まで書かせてほしい」という圭佑の頼みを「君と心中するよ」と承諾したり、脚本を読んで感動して陰で泣いてるのを暴露されたり、最終回では圭佑への信頼とドラマへの愛情が伝わってきて一気に男を上げた気がします。ドラマ終了後、圭佑に「オペラ座に勝てなかったのは悔しい」って笑いながら話すシーンも、あんなにライバル視していた女性Pに視聴率で負けたのにすっきりした表情をしているのが印象的で、良いドラマを作れたという手応えを感じているのが伝わってきたのも良かったです。

やはり、演技のテンポが良くて、見ていて面白いと思いました。ただの横柄なプロデューサーかと思いきや、吉丸とのやりとりや助言などから彼なりの信念を持ちながらの言動なんだなとわかりました。親しみの持てる演技で、吉丸との掛け合いが毎回楽しみです。

脚本家とキャスティング(バータージャニーズを除く)を見てすごく楽しみにしていたが、バータージャニーズが演技力ないせいで家庭のシーンが台無しでガッカリした。テレビ局の方のキャストは演技力のある面々で、期待に応えてくれる面白さ。テレビ局のシーンだけを観て楽しんでます。キャストに北村有起哉さんの名前を見付けると期待しちゃうのですが、今回も期待を裏切らない演技で嬉しい。

何でも脚本のせいにするし、「V字じゃなくてUだろ」って屁理屈こねるし、終いには悔し過ぎて泣き出すし、めぐみも言ってたけど本当に格好悪くて小さくて、でも「自分の本に誇りを持て」とか、たま～に格好良いまともな事も言ったりして、そういうアンバランスさが人間らしくて良い味だしてます。圭佑に八神の提案を伝える時に、ちょっと他人事っていうか、どこかなげやりな口調でヤケクソ気味だったのも東海林らしくて良かったです。

言ってることがコロコロ変わるし、理不尽なことを押し付けてくるけど、どこか憎めない、つい信用してしまう雰囲気を持ったプロデューサー。この人に褒められたら嬉しいしね。業界人ってこんなカンジなんだろうなぁと。どうか吉丸をまた使ってあげてと願ってしまうけど、吉丸にとって東海林さんのプレッシャーの日々はストレスかな。

ライバルの女性プロデューサーにドヤ顔で嫌味を言うシーン、声と態度の大きさが東海林の人間の小ささに比例してるようでめっちゃ笑えました。良いドラマを作るというより、ライバルに勝つ、数字を取るということが全てのモチベーションなんだろうなあという喜びようが、アイデアを絞り出すのに必死な圭佑の姿とのズレを感じさせるところも良かったです。現場に密に関わる人間と脚本家との距離が伝わってきて、圭佑の孤独や過酷さがより際立ったと思います。

視聴率が悪いと他人のせいにしまくって、めぐみにも八つ当たりしたり、視聴率アップ祈願のついでにライバルの視聴率が下がるようにお願いしたり、ホント器が小さくて笑えます。実際に上司だったら嫌だけど、でもこういう人絶対いる。ドタバタドラマに合わせてちょっと誇張して演じてるけど、本当にいそうだなというリアリティもあって、その絶妙な塩梅が上手いなあと毎回思います。

横柄でいい加減で感じの悪い人だなと思っていましたが、如月にプロの厳しさを教えるシーンは格好良かったです。「発注に応えるのがプロ」と落ち着いて静かに諭す姿が印象的で、いつものように感情的に怒鳴り散らすよりも真剣度が伝わるというか、東海林のプロ意識とプロデューサーとしてのプライドが感じられてとても良かったです。

無名な圭佑には片手で雑に、将来有望な如月には目を見て両手で丁寧に…と名刺の渡し方だけで東海林の器の小ささや横暴さがしっかり伝わってきたのがさすが！たまに台詞が篭って何喋ってるか分からないところは残念だったけど、脚本家が怪我して自棄になってるのかなってくらい雑で乱暴な仕事ぶりや態度が圭佑の苦難をより際立させていて、少ない出番でもしっかり存在感を示していたのが良かったと思います。