波うららかに、めおと日和

蜂を追い払うくだりで「格好悪りぃ」と恥ずかしがったり、同僚に芙美子のことを悪く言われるとブチ切れたり、いつものスマートで何でもそつなくこなす姿とは違う「らしくない」姿が沢山見られたのが新鮮で、それだけ芙美子の存在が深見に大きな影響を与えているんだなあとその想いの強さを感じられたのが良かったです。

お見合いでの余裕の笑みからどんどん芙美子に惹かれていく自分にちょっと笑っちゃうところまで幅があって見応えがあるなと思いました。参ったなーと呟いた中にはこんなはずじゃなかったのにと芙美子にハマっている自分を楽しんでいるようなところがあり恋するっていいなと思いました。

お見合いの後「参ったなあ」と呟くシーン、こんなはずじゃなかったという戸惑いや少しの悔しさ、それ以上のときめきと嬉しさが伝わってくる何とも言えない絶妙な笑みを浮かべていて、とても印象深かったです。恋情なんて邪魔って言ってたのに、しっかり芙美子に恋してる姿が可愛らしかったです。お見合いでの芙美子との心理戦もさすがキレ者同士って感じの探り合いで見応えがありました。

りんごを盗んだ少年に柄にもなく熱くなってしまうところや冷静さを取り戻して少年を諭すところなど見どころは十分。チャラチャラして見える人が実はこんなに真面目でいい人だったというギャップに芙美子じゃなくても惹かれる人多数だろう。

芙美子に「最後の一言がなければ好感が持てたのに」と言われた時の虚を突かれたような「え？」が、取り繕って誤魔化していない素の反応が見えた気がして印象に残りました。また手紙を送っても良いか尋ねる時の低く真剣な声音も、返事を待っている時の少し緊張が滲む様子も、「ご自由に」と言われた時の満足げな笑みも、本気で芙美子に惹かれ始めている気持ちが伝わってきてとても良かったです。

ちょっとキザなんだけど、そこを突っ込ませる余地と捉えることができるしなんせ絵になるから痛く見えないんだよね。芙美子に振り回されるのをとても喜んでいて新鮮だなって思っていそうな雰囲気が出てる。ぽろっと出す本音は反則です。

被っていたハットを脱いで手に持ったり、喫茶店のカウンターにもたれかかったり、何気ない所作がスマートで様になっていて映画のワンシーンのように格好良い。歯の浮くようなクサい口説き文句を気負いなくサラリと口にする小慣れた感じも、プレイボーイの深見らしさが出ていて良かった。芙美子の笑みに少し驚いて見惚れるような表情や、塩対応を新鮮そうに楽しんでる姿も、本気で芙美子に惹かれ始めてるような、二人の関係が進展していきそうな予兆を感じさせて良かったと思います。

キザな部分はもちろんなのだが、頭の回転の速さがエリートだったであろう海軍さんだと感心する。
芙美子とのやり取りでも余裕を感じられるし、そりゃモテるよなと。軍服姿も板についているし、なかなかどうして上手く演じておられると思います。

芙美子との口論シーンで見せた流れるように見事な論述はもちろん、その後気まずさなど微塵も感じさせず自己紹介いたりお茶に誘うスマートさや、断られても全く気を悪くした様子を見せない余裕っぷりなど、なぜ深見がMMKと評されるのかがよく分かる姿が沢山見られたのが良かったです。紺の軍服と軍帽姿もよく似合っていて格好良かったです。

くしゃみ＝「また誰かが噂をしている」に直結するところがモテ男の余裕を感じさせました。モテるって自覚しているけど、やたら得意げになったりドヤったりせず、さも当然という空気を醸し出してるからか、鼻持ちならない感じに見えないところも品があって良いですね。

瀧昌をからかう時の余裕の笑みが素敵。先輩風で余裕たっぷりで言うから恋愛初心者の瀧昌はすぐに引っかかってしまう。そのコンビが面白い。よくないことも吹き込めばそのままやってしまいそうだ。そんな瀧昌がかわいくてしかたないって感じがいいな。

堅物の瀧昌をよく揶揄ってるけど、嫌味な感じがしないのが良いですね。ちょっとキザな仕草や台詞まわしも違和感なく様になってるのもさすが。芸者見習いのお嬢さんたちへの対応も紳士でスマートで、あの短いやりとりでも女性慣れしてる様子がちゃんと伝わってきたところも良かったと思います。

軽やかな口調や程よく力の抜けた余裕のある佇まいが、生真面目で堅い瀧昌と良い対比になっていたと思います。醸し出す雰囲気だけでこの人絶対モテるし恋愛経験豊富なんだろうなあって伝わってくるところも、品格はしっかり保っていてただのチャラ男になっていないところもさすが上手いなと感じました。