御上先生

溝端に暗に脅されても「私が、ですか？それとも私たちがですか？」と平然と脅し返すところが溝端より何枚も上手で狡猾な古代らしさを感じさせました。自分の用事が済んだらさっさと溝端から視線を外したり、声をかけられると鬱陶しそうに返事をする姿も溝端のことを本当に捨て駒としか思っていないんだなって伝わってきて良かったです。

分が悪くなると全部を他人のせいにしてそれを飲み込ませる圧が強いところが古代の闇で、生徒の意見を聞き入れてすんなり許しちゃうところが古代の狡賢さ。この二面性をうまく演じていると思います。全てが手のひらで踊っていると思っている浅はかさをこれからどのくらい見せられるかですね。

椎葉の退学を撤回する談話シーン、やたら芝居がかった口調や表情が、寛容で理解ある教育者という自分に酔いしれてるような雰囲気を感じさせ、是枝の「生徒よりも自分が主役」という台詞に説得力があったのが良かったです。ラストの塚田との意味深な電話も気になるし、ちょいちょい「あれ？」って思うような表情や空気もあって、そろそろ裏の顔がはっきり見えてきそうな気配をプンプンさせてるところもドラマを盛り上げる良いスパイスになっていたと思います。

人たらしな笑顔と底知れぬ不気味さが上手い具合に同居している。学園の経営が上手くいく、つまりは儲けの為ならなんでもしそう。描かれていないところでも、あの笑顔でいろんな人の懐に入り込んでいくんだろうなと想像できてしまうのが良い。

生徒とも気さくに話すし、丁寧で心も広くて、理想も情熱もしっかりあって素晴らしい人だけど、腹の底が見えないっていうか、どこか信用しきれない不穏さが滲むところが良いですね。自分の理想を実現するためなら何でも平気で犠牲にしちゃいそうな冷酷さが潜んでいそうで、登場するたびに「何を考えてるんだろう」ってハラハラしてしまいます。