御上先生

塚田から御上の昇進話をされた時の背中に動揺や焦りが滲んでいてるように見えたのが良かった。仲が悪いふりをしてるって踏んでたけど、本当に衝撃を受けてるようにも見えたし、納得できないって空気が滲み出ていたし、実際に不仲なのかもって考え直してしまいそうなくらい、本心が読めない演技も良かったと思います。中岡に言った「このままで済むと思うなよって感じ」という言葉も、穏やかな口調で顔はニコニコ微笑んでるけど、なかなか重たい響きと含みがあって印象に残りました。

倒れた津吹に誰よりも早く駆け寄る姿、必死に名前を呼ぶ悲痛な声、異変に気付けなかった自分を自嘲するような皮肉っぽい笑み、回想シーンもあったけど過去にも同じような経験をしていて心の傷になっているのかなと思わせるような演技が印象的でした。「業務命令だから」としっかり休むよう念を押す姿も、津吹の真面目さをよく理解している槙野らしさと、本気で心配して気遣う優しさが感じられて良かったです。

神妙な顔つきでお墓参りをしていたり、バーに中岡がいなかった時の意味深な「残念」という言葉と表情、お酒を飲みながら真剣にスマホを見つめる姿、含みを感じさせる演技が観ている側の好奇心を煽るところが良いですね。御上の記事がらみで珍しく感情的になって熱く語る姿も印象的で、何を考えてるか分からない人だけど現代の教育について何かしら思いを持って官僚になったことが伝わってきて良かったと思います。

御上を褒める後輩の言葉に「そうね」と吐き捨てるように返事をしたり、御上が中岡と親し気に話してる時も不愉快そうに顔を歪めていたり、仲の悪いふりをしてるのでは？と勘ぐってたけど、もしかして本当に不仲で苛立ってるのかなって思ってしまうくらい、今回は御上への負の感情が目立って感じられました。何を考えてるか分からないミステリアスさは御上と良い勝負で、毎回どちらとも取れそうな絶妙な演技に揺さぶられて振り回せれています。

塚田抜きでも話が出来るようにと中岡とのパイプ作りをしたり、「塚田は自分のポジションを守るのが大事」と皮肉ったり、何かあれば梯子を外す気満々な槙野のしたたかさが垣間見れたのが良かったです。視察の時に「何考えてんだ」と御上を睨んでヒリついた空気になったかと思えば、険悪な電話のやりとりが塚田に聞かせるための芝居のように見えたり、御上との本当の関係がいまだに見えてこないミステリアスさも良かったと思います。

スラっとした長身にスーツが映えて、中岡に容姿を絶賛される説得力があります。御上とのやりとりはヒリついた空気があってヒヤっとするけど、後輩や塚田に不仲をわざわざ強調しているようにも見えるし、本音がどこにあるのか分からないところが官僚らしさを感じさせて良いと思います。