もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう

フラれた大瀬に「ドンマイ」って声かけて走り去ったり、蓬莱の胸を笑顔でポンポンって叩いてエールを送ったり、何気ない仕草が可愛らしくて見ていてほっこりする。不穏な展開になってきたから余計に樹里のピュアさや真っすぐさが目を引いて存在感が増してる気がするし、いつも一生懸命で、良い舞台を作りたいっていう本気が伝わってくるから見ていて応援したくなります。

夜遅くに「久部とリカが別れますように」って一心不乱に呪ってる姿が面白かったです。チャーミングでコミカルさもあって、陰湿さを全く感じさせないところも良かった。自分が苦手に思ってる女性に父親が夢中なんて複雑だろうに「リカさんの相手役よ」と父親を焚きつけてピンチを救う姿も、樹里のクベシアターへの愛情とリスペクトが感じられて良かったです。

あんな男のためにリカさんが120万で売られるのはおかしいって理不尽さに息巻いたり、「久部さんも格好良いところ見せて下さい」とハッパをかける姿が格好良かったです。リカに苦手意識があるけど、それとこれとは別って考えられるところも、自分の気持ちより久部のリカへの想いを尊重するところも、樹里の真っすぐさや正義感の強さが感じられて良かったと思います。

またもやリカにボロカス言われていて可哀想だったけど、その場で泣き出したり怒って言い返したりせず平静を装う姿が樹里の芯の強さとプライドを感じさせました。天津甘栗で自分のご機嫌を取る姿もいじらしかったし、リカとトロのキスシーンを目撃しちゃった時の表情も、それを父親に見せまいとするドタバタも可愛らしかったです。

久部から打ち上げに誘われた時、嬉しそうに「父を誘って見ます」と坂道をかけていくところがとてもかわいらしかった。演劇について自分なりの言葉で一生懸命伝えるところもかわいい。それがリカには鼻につくのだけど、そのバランスもいいね。

打ち上げで樹里に詰められるシーン、パンフレットを抱きしめて久部の出待ちをするくらい感動していた姿を見ていたからちょっと可哀想だったけど、ただやられっ放しなわけではなくて、敵意剥き出しなリカに押されつつも、自分の感想や考えはちゃんと伝えて不快感もあらわにするところが、樹里の真っすぐさや負けん気の強さを感じさせて良かったと思います。

劇場から出て来た時のポーっとした夢の中にいるような目が印象的でした。何秒もない短いシーンで台詞もなかったけど、これまでの軽蔑や呆れが混じる眼差しとは全く違っていて、久部の舞台に感銘を受けたんだろうなあって伝わってきて、どんなテンションでどんな感想を伝えるのか、これまでの辛辣態度がどう変わるのか、次回がより楽しみになりました。