何曜日に生まれたの

体には触れられないけどあなたの子供が欲しい。分かりそうで分からない感覚を表現するのは難しかったと思います。純平が男が好きだと言っても動じないで最終的には粘り勝ち。純平のそばにいたいという気持ちはすごく伝わって最後は良かったねという気持ちにさせてくれました。

劇中でリリ子をサイコパスと喩えるシーンが何度かあるけど、反社会性パーソナリティ障害としてのサイコパス要素は低い。世の中の人が何となくイメージするサイコパスという点で、彼女のキャラにそういう表現が良かったのかどうか、脚本の野島さんに問いたいところではあります。リリ子の強烈なキャラは物語の真実をミスリードするのに役立っています。真実を隠す毒とでもいう感じでしょうか。そのためにキャラありきで、リリ子の内面性は案外薄っぺらい。それを執着というものでごまかす脚本には深みを感じない。でも演じる片山さんは無表情な中にも軽重があったし、壊れたようになるシーンも怖さの中に純真さも感じられるものがありました。またすべてが明らかになった後のすいたちの会話は、不器用ながらも可愛らしさもありました。よい芝居だったと思います。

リリコにはリリコにしか分からない美学みたいなものがあると思っていたから、罪を犯してもあんな風に顔を崩して泣きながら許しをこうなんてことはしてほしくなかった。あの顔を見たら興醒めしてより許せなくなってしまった。

抜け目のないファッションとどこも乱れていない髪型がリリコの生真面目さと人に触れられない潔癖なところを表していてキャラ作りはバッチリだと思います。指一本触れられるか触れられないかしか接触はできないくせにあなたの子供を産みたいとみんなの前で言えてしまうサイコパスなところに惹かれます。