先生のおとりよせ

榎村とスパークリングワインを飲むシーン、「そろそろ帰ろうかな」と言いつつ、伸びをしたりわざとモタモタしたり、榎村をチラチラ気にしたり、引きとめてもらうの待ってるのがバレバレな態度が可愛かったです。持参したワインも榎村の故郷の青森産だし、開発者のお二人と自分たちのコラボを重ねていたり、榎村も言っていたけど食べる相手のことを想像してお取り寄せをする気遣いの細やかさや繊細さな心が中田らしくて素敵でした。見た目は強面なのにちゃんと乙女なフェミニン男子に見えてしまう、演技力・表現力の高さも素晴らしかったです。

榎村のファンで彼の才能を認めているからこそ、蜜子と再びコラボ作品を作ることがどれだけ重要なことか手に取るように分かってしまうんだろうな。相手を思うからこそすれ違ってしまって、ラストで榎村にわざとつっかかって喧嘩をふっかけるシーンはとても切なかったです。蜜子の小説を感動して泣きながら読んでたり、前も鬼女島たちの身の上話にもらい泣きしてたし、オーバーなくらい感受性が豊かなところも感覚派の中田らしくて良いと思います。

アンケート結果にソワソワしたり撃沈したりと打たれ弱い榎村と違って「どんな結果でも受け入れるしかないでしょ」とドンと構える姿が頼もしかったです。2人の正反対な性格が際立っていたのも良かった。管理人さんや鬼女島との世間話でも「キュンキュンする～」ってはしゃいだり、感情移入して泣き出したり、相手の話を真剣に親身になって聞いているのが伝わってきて、コミュ力の高さと人柄の良さを感じさせました。内面が大人で榎村にない面を沢山持っていて、だからこそ互いに補いあって日に日に良いコラボになっていってるんだろうなという説得力があったのも良かったです。

目の下にクマつくって頭もボサボサで疲弊しまくっていても、プロとしてしっかり仕事をこなす姿が格好良かったです。倒れそうなくらいフラフラなのに、故郷の味とおばあちゃんとの思い出で表情が明るくなっていくのも良かった。おばあちゃんからのメッセージを読んで号泣するシーンも、ずっと感じていたモヤモヤが晴れて気持ちが救われて、おばあちゃんともちゃんとお別れ出来たんだろうなと感じられてグッときました。

失恋しても「武士は食わねど高楊枝」なんて言って涼しい顔している榎村と違って、テーブルがびしょびしょになるくらい号泣しちゃうところが乙女な中田らしかったです。ソフトクリームですぐご機嫌直っちゃう子供みたいなところや、お尻クネクネさせたり足をプラプラさせて「コ～ネコネ♪」ってソフトクリームを捏ねてる姿も何ともチャーミングで良かったです。

榎村に自分の部屋着を着せてあげたり、熱を計ったり扇子で扇いであげたり、コンビニまで買い物に行ったり、甲斐甲斐しく看病する姿が中田の面倒見の良さを感じさせました。普通に「チチクラさん」「フェミおさ」って呼び合ってるのも2人の距離が縮んでる様子が伝わってきて微笑ましい。苦労話や労いの言葉ですぐに泣いちゃうのも可愛らしいです。調子の良い金平に激怒して追い返す姿も頼もしくて格好良かったです。

家族の来訪に焦ってアタフタして、とんだ災難でしたね～。いつも可愛らしい格好をしているので、スーツに七三分け姿がめちゃくちゃ新鮮で笑っちゃいました。編集長に怒られてシュンってしてる背中も哀愁が漂っていて、慰めてあげたくなるような儚さがあって良かったです。今回は上手く誤魔化せたけど、家族が帰ったあとに結局「漫画家なんてろくでもないのかも」って落ち込んでるし、今度会った時は正直に漫画家だって言えると良いなって思いました。

点心の詰め合わせを見た時の「すごいボリューム～」ってテンション上がってる姿が可愛い。語尾にハートマーク付きそうな柔らかな話し方がフェミニン男子の榎村らしさが出ていて良いですね。黙ってるとクールそうに見えるし髭面で取っ付きにくそうな雰囲気なのに、女子力常に高いし、食リポやリアクションがいちいちオーバーで面白いし繊細なところもあるし、ギャップの塊なところがとても魅力的だと思います。

プロット変更に怒ってぐちゃぐちゃに丸めて捨てた下絵を「ごめんね」と泣きながら拾う姿が中田の作品・キャラクターへの愛情が感じられてとても良かったです。相談なく勝手に変更されたら怒るのは当然だけど、それでも自分の行動を省みて自分にも非があったと認めて榎村に謝る姿も、中田の素直で真っすぐな性格が伝わってきました。お茶碗を持つ手や口に運ぶ時の手の添え方、お椀の置き方まで、作法がとてもしなやかで、どこまでもフェミニン男子になりきってるのがすごい。榎村の隣にいるとより柔らかな仕草が際立って良いですね。

榎村のパソコンデータを消してしまった時の超小声の「ごめんなさい」や、「ポタージュみた～い」と嬉しそうにトマトジュースを勝手に注ぎ足す姿など、メインの台詞以外の細かな芝居がとても可愛らしく、何をしていても「フェミニン男子」になりきっているところが凄い。飛び散ったトマトジュースを慌てて拭く時の丁寧な仕草や、瓶の注ぎ口まで拭う気遣いも、中田の几帳面な性格を感じさせて良かったです。

榎村に「おっさん」呼ばわりされた時の傷ついた泣きそうな顔や「あなたの絵は嫌いじゃない」と言われた時の嬉しそうな笑顔、カップやフォークを持つ仕草など、細かな表情や仕草で中田の繊細さやチャーミングさを表現していて予想外に役に合ってると思います。語尾が柔らかく、優しい雰囲気がする話し方も良いですね。バームクーヘンを食べた時のうっとりとした至福の表情も美味しさが伝わってきて良かったです。

クールだったり皮肉っぽかったりというイメージが強い方だったので、こんなフェミニンでテンション高い役が似合うとは思いませんでした。見た目はわりと強面だし髭も生えてて乙女には程遠いけど、普段より高めで早口気味の台詞まわしやしなやかな仕草などで、段々愛らしく見えてくるのが不思議。榎村のサイン会でのはにかんだような笑顔や「お取り寄せに罪はないよね」と嬉しそうに箱を開ける姿などもとてもチャーミングでした。