PICU 小児集中治療室

武四郎という人物である事がとても自然で、泣き虫という設定だけに毎回泣くシーンがありましたが、"泣く"というより"涙が出てしまう"という演技だったので、そこがスゴイ。良いな。とおもいました。

人の生死が扱われるドラマで重い空気になってしまいがちですが、山田先生に抱きしめられてとっさに僕臭いですよ？と言ったり、河本さんにパンツを見られたくなくて叫んだりといった場面があって好きです。そのちゃんと面白いセリフを面白く言えるのがセンスあるなーと思います。

最後の親子二人での東京旅行は切なくて悲しくて、それでもかけがえのない愛おしい時間でした。些細な会話の中にも愛情が詰まっていてよく号泣せずに持ち堪えたと思います。診察結果にショックを受けながらも母を励ます武四郎、踏ん張る武四郎を心から応援したくなりました。

旅館でのご馳走を前にしての南さんとのやり取りは、悲しくて苦しくて涙が出ました。本当の親子に見えた。感謝と少しの照れが入った「大好き」が素敵すぎて。北海道で、しかも名前が武四郎っていろんな人のたくさんの思いが詰まっていそう。そんな思いに負けないような演技だと思う。

役に入っていてすごくいい。家族や親友との会話も自然体だし、本当の親子みたいに見える。

圭吾くんにこれからのことを聞かれても冷静に優しく語りかける姿に志子田先生の成長を感じました。たった数ヶ月の中でオドオドしていた部分がなくなり立派になったなーと親目線で感動しています。南さんとのシーンも良かった！しっかりとお別れに向かって向き合う覚悟ができたのでしょうね。

いつもは武四郎とお母さんのやりとりが癒しの時間なのに、今回は重たい話で辛かったです。お母さんのどんな嘘も見逃すまいと真剣に見つめる武四郎の視線が痛かったですが、子供として当然の態度だと思いました。一番大切だから全部知りたい、力になりたいと思う気持ちがそうさせたと思います。

武四郎は母親の異変に気づいているのでは？と思う場面が多々ありました。医者だけど親子の立場で無理強いするわけにもいかないことがある。気づかないふりをして間合いをとるように気遣う関係がリアルだなと思いました。泣いている桃子を慰める武四郎がお兄ちゃんのようで素敵でした。

志子田先生は患者さんからは好かれたり、先輩からは頼りにされなかったり、家では普通の青年だったり、ずっと好きだった幼馴染に相手にされなかったりといろんな顔がありとても人間らしいなと思える人物になっています。そこをどの顔も自然に使い分け同一人物に仕上げている吉沢さん、肩の力が入ってないところが自然体でいいですね。

今回のことだけで言えば、一人で赤ちゃんの味方をしていたのだから声が大きくなっても主張が激しくなってもそれで思いに気づいた面もあったので悪くはなかったと思います。身近な若者を見ていると今の子は結構男の子でも泣きます。時代のせいかなー。

どう観ても演出、脚本によるものでしょ

仕事のシーンでの志子田は基本的に抑制された印象を与えるのに、いきなり感情が沸点に到達するみたいな感じで、急に激情したり、妙にしんみりしたり、振れ幅が大きすぎてついていけないところがあります。何だかキレやすい若者が医者になったらこうなるのかなという印象です。家族や幼なじみとのシーンではナチュラルな感じもあるので、これは演出家から吉沢さんに対してのリクエストなのでしょうか？個人的にはちょっと情緒不安定な感じがして、どうかなと首を傾げてしまいます。吉沢さんの陰のある感じは嫌いではないのですが。

人が死ぬのを見たくない医師って職業間違えたんじゃない？って思ったけど、人が好きだから救いたい気持ちを持って勉強し始めたら救えない命が多くて傷ついたって感じかな。ちょっとお調子者で繊細な志子田さん。泣こうとするんじゃなくて溢れ出てしまう涙にこちらも泣かされました。