西園寺さんは家事をしない

事情がよく分からなくても、偽大家族特番のために西園寺さん宅に来てくれる姿にほっこりしました。西園寺さんが気軽に声を掛けられるくらい、二人の関係が良い方向に変わってきたんだなって感じ取れたのも良かった。ルカに「じいじ」って呼ばれた時のちょっと照れ臭そうな表情や、リキを撫でたりルカと戯れる時のちょっとぎこちないけど楽しそうな姿も、不器用な康平らしくて良かったと思います。

西園寺さんに「間違っていたのは勝手に思い込んでいたことだ」と語る時の表情や口調に、深い後悔が滲んでいるのがとても良かった。西園寺さんとの距離感が以前よりずっと縮まっていて、変な気まずさが無くなっていたけど、こうやって本音を素直にさらけ出せるようになったからなんだろうなって説得力がありました。

「結婚するのか」って何度も訊いてくるデリカシーの無さは相変わらずだったけど、あんなニコニコとはしゃいだ笑顔を見せられたら憎めないし、自分のせいで娘が結婚しないって責任を感じてるから余計に嬉しくて仕方ないんだろうなって西園寺さんへの愛情も感じられてグッときてしまいました。

モジモジと気まずそうに家に入ってくる姿が、西園寺さんとの何とも言えない距離感や壁を感じさせました。ルカと話す時の戸惑いや困惑が隠しきれない様子も康平の不器用さが伝わってきて良かった。落ち着かなくて居心地の悪い思いをするって分かっていただろうに、それでも断らずに来てくれる姿に娘を心配して大切に思う気持ちが感じられて、台詞の少ないあの短いシーンだけで、父親としての複雑な心情が伝わる演技がさすがだなと思いました。

いらん事言って西園寺さんを怒らせたりして心の距離がなかなか縮まらないけど、西園寺さんの子供の頃のシルバニアコレクションを琴音に託したり、断捨離の手を止めて昔の写真を眺めていたり、言葉はなくても娘を思う確かな愛情が伝わってくるところが良かったです。思い出の品々を整理する丸い背中が何だか寂しくて切なかったです。

悪気はないんだろうし、娘を心配しているのも分かるんだけど、絶妙にイラつくズケズケとした決めつけるような話しぶりや表情から、自分の考えや価値観でしか話そうとしない康平の性格が伝わってきました。それを西園寺さんに指摘された時の、どこがダメなのか全く理解出来ていないようなところも、親子間の溝の深さを際立たせていて良かったと思います。

家事アプリが全然使いこなせていないところや、電話の様子を気にしつつ、電話中は気にしてないふうを装って近寄ってこない変なプライド、琴音が電話を切った途端に西園寺さんの様子を聞きにくる心配性な姿、絵に描いたような昭和世代のお父さんっぷりがとても良かったです。出番も短いし、台詞もほとんど無かったけど、西園寺さんとの微妙な距離やぶっきらぼうで口下手っぽい感じなど、康平の人柄や娘たちとの関係性がちゃんと伝わってくる演技もさすがだなと思いました。