正直不動産2

桐山に「プロジェクトを横取りするなら絶対に許しません」と毅然と言い放ったり、ミネルヴァの社長に素人呼ばわりされても動じずに言い返したり、ふんわり可愛らしいだけでなく芯がしっかりしていて負けん気が強いところが良いですね。月下の内面の成長を感じさせます。永瀬に「彼女は素人じゃない。弊社の大事な戦力で相棒」と言われた時の驚いたり浮足立ったりせずにただ堂々と前を見据えている表情もとても頼もしくて、自分自身で成長や仕事への手応えを実感していて自信を持っているのが伝わってきて良かったと思います。

松井のことを心配してわざわざ家を訪ねたり、相談を拒否する息子に必死に食い下がったり、助けてあげたい・力になりたいと一生懸命松井親子に寄り添う姿がカスタマーファーストの月下らしくて良かったです。ミネルヴァのえげつないやり方を見た後だと余計にその温かさが沁みる。永瀬がいよいよプロポーズするかも？と察して自分のことのように大喜びする姿も、ずっともどかしい二人を見守ってきた月下ならではの思い入れが感じられて良かったです。

黒須のことを心配したり、神木のえげつなさに憤ったり、買い手が見つかった時には満面の笑みで喜んだり、相手に心を寄せて自分のことのように泣いたり笑ったりする姿が良いですね。表面的な優しさではない、心からのものだって伝わってくる温かさがあって、黒須が売主との話し合いに一緒に行くと言う彼女の言葉に甘えるのも分かる。永瀬と榎本の関係を尋ねる時の嬉しさが隠しきれないニヤけた様子も可愛かったです。

手付金を用意してきた土井に「ちょっとてっきり…」と口を滑らせたり、榎本について正直に語り過ぎる永瀬の口におにぎりを突っ込んだり、コミカルな姿がちょいちょい見られたのが良かった。綺麗ごと並べるただの良い子ちゃんだけだと見ていて疲れちゃうけど、こういうチャーミングさが垣間見れると親近感が湧いて好感度が増します。榎本のおばあちゃんとすぐに打ち解けるのも月下らしいし、そういう人懐っこさや他人との距離の近さが馴れ馴れしかったり図々しく見えず、微笑ましく感じられるのも福原さんが持つほんわかしか空気感のおかげかなと思います。

月下は真っ当すぎるほど真っ当な人。絵にかいたような真面目な人間性を持ってます。物語としては曲者ばかりではダメなので、こういう時には視野狭窄になるくらいまともな人が必要なのでしょうね。その分、キャラとしての面白みはほぼありません。演じる福原さんにとっても、あまり旨味がない役だと思います。福原さんはむしろちょっと癖のある役の方が見せ方がうまい。月下というごく普通の真面目な人を無難には演じていますが、本当にそれだけ。福原さんの個性や力量が生かされていない。

清川の夢を応援して、喜んだり辛そうだったり、落ち込んだり、自分の家族のように親身になって尽力する姿が月下らしくて良かった。家族にも相談出来ず、バイト三昧で疲弊してこの先どうなるか不安で仕方なかった清川にとってものすごく頼もしくて心強かったろうなあ。十影の成長と変化を嬉しそうに見つめる表情も先輩らしい良い顔をしていて良かったと思います。

ラーメン屋の店長さんのために力を尽くす姿が本当に一生懸命で健気で、店長さんが本音を言い出せなくなってしまう説得力がありました。力になりたいっていうカスタマーファースト精神が前に出過ぎて視野が狭くなり、「店を続ける＝店長さんの願い」っていう考え方に固執してしまうところも、月下の不器用さや若さゆえの甘さが感じられて良かった。失敗してヘコんで落ち込んでも、しっかり反省して成長していけるガッツと前向きさがあるところも素敵で応援したくなります。

正直過ぎる発言連発で藤森を怒らせる永瀬と、自分の担当なのに他人事でやる気ゼロな十影の板挟みになって必死でフォローする姿が、大変そうで気の毒なんだけど、月下の成長を感じさせて頼もしかったです。わざわざ美玲の保育園まで訪ねて行ったり、病院に付き添って自宅まで送ったり、藤森との関係を自分のことのように心配して悩んだり、不動産屋の業務の範疇を超えた心の寄せようだったけど、その一生懸命さや優しさに全く嫌味がなくて、ひたすら真っすぐで、ただの良い子ちゃんや偽善者に見えないところが福原さんならではの魅力だと感じました。

遥ちゃんには優等生キャラがよく似合う。中でも月下さんには媚びるという感情がなくて見ていて清々しい。柔らかい雰囲気を保ちつつカスタマーファーストは忘れず譲れないところは頑固に、という月下さんの信念をきちんと理解されていると思います。

ラーメン屋で花澤と張り合ってムキになっているところや、永瀬の営業成績を抜いてちょっと得意げになっている姿が子供みたいで可愛い。岡田夫妻の家を売らなければいけないのに、筒井夫妻にとって最適な選択になるよう別のマンションをお勧めしたり、無事に筒井夫妻がマンションの方を選んだ時もホッとしていたり、自分の営業成績よりも目の前のお客様の幸せを最優先するところも、カスタマーファーストの月下らしくて、やり方が不器用だけどそのブレない姿勢が格好良いなと思いました。

寺島一家のために妻の実家まで足を運んだり、寺島の再就職が決まった時も心底嬉しそうな笑顔を浮かべて喜んでいたり、家を売るだけではなくその家族一人ひとりに寄り添う心のこもった仕事ぶりが月下らしくて良かったです。十影に「これが私の仕事のやり方なの」ときっぱり言い切る姿も格好良かった。探偵みたいな恰好で永瀬と榎本のやりとりを偵察するシーンも可愛らしかったです。

フワっと柔らかく可愛らしい雰囲気と、神木に食ってかかったり「正直で良いじゃないですか」と永瀬の背中を押したりと負けん気が強くて頼もしい姿のギャップが良いですね。営業成績よりも、田口の妻や息子の事情や気持ちに寄り添う姿も、心優しいお客様ファーストな月下らしさがあって良かったです。