ザ・トラベルナース

一人でもがいてがんばっていると思っていたのに、ずっと見守ってくれている人がいたと知って心なしか顔つきが柔らかくなったような気がします。静さんをどうにか生かしたいと必死に走り回る歩ちゃんが愛おしかったです。冗談を言って戯れ合う静さんと歩ちゃんが幸せそうでよかったです。

久鬼の病気について調べたり、神崎に久鬼の手術をしてほしいと頼みに行ったり、徹夜で病院に付き添ったり、ナースとして患者の久鬼に必死で寄り添う姿が那須田の成長を感じさせました。久鬼の本音を聞いて涙するシーンも、久鬼との絆の深さや尊敬や感謝の気持ちが伝わってきて良かったです。初回のプライド高くて勝ち気な姿から、徐々に内面もナースとしての心構えも変化して成長していく姿も自然で良かったです。

那須田というキャラクターとしては悪くないかなと思います。プライドが高くて態度がでかく、知識をひけらかすようなところがあり、頑固だけど、本当は良い奴というところがよく出ていたように思います。ただキャラではなく岡田さんの芝居として考えると、いつも通りの芝居という印象です。芝居をしない芝居というのもあるので、あまり変わらないというのは一概にダメだとはいえません。相手役だった中井貴一さんも若い時は変化の少ない似た感じの役者でした。だからこそ何か感じて欲しいですね。今後への期待をこめての評価です。

なんでも器用にこなせてしまう歩さんだからいいのかもしれないけれど、あの助監督はやり過ぎだったような気がしました。明らかナースの時よりしっくりきていて動きもなめらかで多分歩さんが発したことないであろう撮影で使う言葉もポンポン出てくる。ナースってことを忘れていたね（笑）

礼くんの夢を親身になって応援する姿が素敵でした。礼くんが本当は何を望んでいるのか、どれだけ映画作りに情熱を持っているのか、久鬼の言葉通りしっかり患者さん自身のことを見て理解し、サポートする姿は那須田のナースとしての成長を感じさせました。病院を訴えると激怒する礼くんの母親に「僕を訴えてください」と進み出るシーンも、並大抵の覚悟で礼くんの背中を押したのではないことが伝わってきてグッときました。

「ナースは毎日体を張ってる、跡取りのあなたがどうにかすれば良い」と太郎に詰め寄ったり、院長に直談判する金谷たちを「今やるべきことは患者さんと向き合うこと」と諭したり、仲間や患者さんを大切に思う気持ちが伝わるシーンが多く、那須田の成長が感じられました。愛川の看護ノートを読んでいる時の胸を打たれるような表情や、去っていく愛川に深々と頭を下げる姿も、愛川への敬意と感謝が伝わってきてグッときました。

九鬼さんが言うようにこんなはずじゃなかったって顔に書いてあるんですよね。鼻っ柱が強くて技術はあるけれどナースの精神はわかっちゃいない。医者になれなかったからナースですっね顔に出ている。でもいろんな経験をするとハッと気づいた顔だったり気まずそうだったりと表情が変わるので成長する人だと思える。だから嫌いになれないんだよなー。

自分が久鬼を部屋から追い出したのに、今どこに泊まっているのか心配したり、夜遅くまで勉強を頑張る礼くんを微笑ましげに見守っていたり、要所で那須田の優しい性格が感じられるところが良かったです。五反田に告知してしまったことを頭を下げて謝罪したり、久鬼の助言に反発しつつも心を動かされてもうしばらく病院に残る決断をしたり、プライド高そうに見えて意外と素直で柔軟な一面が垣間見れるところも魅力に感じます。

郡司と言い合いになるシーン、「ナースのくせに」と言われたことよりも患者を見捨てることに憤っている姿が意外と熱い一面を持つ那須田らしくて良かったです。四方田の息子に連絡したり、直接会いに行って母親と会うよう説得したり、息子のふりをして四方田を励ましたり、自分の過去と重ねているのかいつも以上に親身になって必死に患者に寄り添う姿も印象的でした。

モンスター患者に喰ってかかったり怒鳴ったり、久鬼の胸ぐら掴んだり、感情的になって気持ちが抑えられない姿が人間味があって、有能で隙がなさそうな那須田の内面の未熟さや看護師としてまだまだ伸びシロがあることが感じられました。礼くんのことを気にかけて気さくに声を掛けたり、自分が訴えられてるのに向坂の心配をしていたり、優しく思いやりのある一面が垣間見れたのも良かったと思います。

二階堂の嚥下トレーニングを見守る時の真剣な表情や「モグモグ」と一緒に顔を動かす姿、無事に飲み込めた時の嬉しそうな笑顔や拍手、患者さんを第一に考える那須田のナースとしての姿勢が窺えてとても良かったです。嚥下検査が成功した時も目に涙を浮かべていたし、他の患者さんの食事トレーニングにも久鬼の特製スプーンを取り入れていたり、クールで取っ付きにくい人だけど根は素直で優しいところがあるんだなと感じられたのも良かったと思います。

歩は小さい頃から頭もよかったし顔も良かったしで多分挫折を知らない系でしょ。その鼻っぱしらの強さが表情や態度に出ているけれど、特に嫌な感じを受けないのがすごいと思った。人にひけらかすのではなく、看護することに一生懸命なところが好感が持てた。

素気ない口調やクールな表情、誰にも媚びない態度が人当たりの良い久鬼と良い対比になっていました。動きに無駄や迷いがなくて、経験豊富な仕事が出来る人という雰囲気がちゃんと出ているのも良かった。イケメンとか足が長いとか見た目を褒められる台詞が沢山あったけど、それに違和感がないのもすごい。急変した神崎を何とか助けようとする必死な姿も「患者を救いたい」という那須田のナースとしての信念や責任感が感じられて良かったです。