笑うマトリョーシカ

「ジャーナリストとしてあなたと社会に向き合いたい」と清家のブレーンを断る姿が、こうと決めたらブレずに突き進む道上らしくて良かったです。無意識ではあるけど、一時でも清家を操ろうとしてしまうのも人間臭くて良かったし、あの道上までも…と浩子や鈴木、亜里沙を魅了した清家の特別な才能の魅力がより際立って見えたのも良かった。清家と対峙するシーンで見せた涙も、自分の的外れな考えへの悔しさや「そんな理由で？」という憤りだけでなく、自分自身が分からない清家の苦しみや哀しみも感じ取ったような、複雑に入り乱れる思いが滲み出ていてとても良かったです。

演技に深みがなくてどのドラマ観ても同じ。演技下手なのに過剰評価されている女優のひとり。

父親の一件はあるにせよ、猪突猛進の仕事大好き人間であるのはわかる。それは視野の狭さにもつながり、だからこそ清家が彼女に目をつけたという構図だろう。けれど人は成長する。成長というより上書きされるだけの清家にはそこがわからない。なので道上はしっかり成長の跡を見せなければいけない。成長したことで清家に取り込まれなかったのだから。水川さんの芝居はその点がちょっと物足りない。道上の仕事以外のバックボーンのところでもうちょっと工夫して欲しかった。でも熱演したといえるし、評価はできる芝居だったと思います。

浩子が清家に縁を切られたと知ってからの2人で話すシーンがうざすぎた。自分もろくに育ててないのに息子が言った言葉を浩子に披露してマウントをとっているのがムカつく、急に上から目線なところがすごく嫌だった。

小松に「あんたなら明らかに出来るんか」と問われた時の「はい」という迷いのない応えや真っすぐな眼差し、浩子に「彼を救いたい」と語る時の静かだけど強い覚悟を感じさせる口調や表情など、警戒していた相手の信頼を得るのも納得の真っすぐさや頼もしさ、この人なら大丈夫だと思える雰囲気が滲み出ているのが良かったです。無茶をしがちでハラハラさせられることも多いけど、真実を明らかにするために忙しなく動き回る姿は生き生きしていて格好良く、勇気が「仕事してるママも好き」と尊敬する説得力があるのも良かったと思います。

「バカですみません」と丸腰で浩子に直撃する大胆で向こう見ずな姿が、根っからジャーナリストで猪突猛進な道上らしかったです。優秀だけど危なっかしくて、見ているこちらが「もう少し冷静になったら？」とヒヤヒヤするシーンも多く、事あるごとに山中が「無茶をするな」と念を押す説得力があるのも良かった。病み上がりの勇気とのやりとりで、体調を心配しつつも息子の成長を実感して嬉しそうな、誇らしげな笑みを浮かべていたのも印象的で、ジャーナリストの顔だけでなく母の顔が垣間見れたのも良かったです。

鋭いのに脇が甘かったり肝がすわっているように見えてすぐに動揺するし、わちゃわちゃとした動きが多くて見ていて疲れる。随分と大きなものに近づいている気がするけど対峙するには弱い感じがする。見ていてハラハラしたい人にはいいのかも？

清家の支援者たちに避難されて詰められるシーン、戸惑いつつも毅然と自分の意見を述べる姿が、強くて真っすぐな道上らしくて格好良かったです。浩子に息子や過去のことを指摘されて動揺したり、少し怯えた様子も見せたり、仕事に夢中になって息子が起きている時間に帰れなかったり、強くて逞しいだけではない、弱さや母として未熟な面をちょいちょい覗かせる姿も人間臭くて良いなと思います。

拒絶されても邪険にされても怯むことなく、粘り強く取材を続ける強くて逞しい姿が格好良くて、荒んでいた鈴木の心を動かす説得力がありました。中島の妻とのシーンも、「お願いします」と彼女の顔を真っすぐ見つめてから深く頭を下げる姿が父親の仕草とそっくりでグッとくるものがあったし、取材相手に対する精一杯の誠意が感じられたのも良かったと思います。

粘り強くてしつこくて、相手に嫌われていても全く気にせず突き進んでくる姿が、道上の並大抵ではない根性と記者魂を感じさせて良いですね。この人に目をつけられたら厄介だなあ、同業としても鬱陶しいだろうなあって鈴木や他局記者の反応に説得力が感じられます。論文を世間に公表するという由紀に「ご主人は必ず守ります」と必死に止めるシーンも、口から出まかせではなく本当に出来うる限りの手を尽くしてくれるんだろうなという信頼が感じられて良かったです。

山中に事務所の感想を訊かれても完全スルーで、すぐに荷解きを始めて職場環境を整える姿が仕事人間の道上らしかったです。「凄い事務所ですね～」と張り付いたような笑顔で棒読みで褒める姿も、道上の正直さやこの2人らしい遠慮のない雰囲気が感じられて良かった。鈴木の自宅で彼を問い詰める時も、低く淡々とした口調だけど、時折鈴木の表情を窺ったり、感情を動かすであろう話題に移る時は一旦間を置いたり、しっかり駆け引きをして揺さぶりをかける姿が印象的で、それが道上の有能さや経験の豊富さを感じさせたのも良かったです。

会社を辞める時の「今日からフリージャーナリストです」と宣言するきっぱりとした迷いのない口調やスッキリした表情が、とことんやってやるという道上の覚悟とある種の開き直りのようなものを感じさせました。これまで以上にアグレッシブに生き生きと取材をする姿も、真実が知りたい、明らかにしたいという強い思いを感じさせ、道上にとって記者の仕事は天職なんだなと再認識出来たのも良かったと思います。

清家の背後にいる得体の知れないものの正体を突き止めるまで中途半端な記事は書かないと明言する姿が、道上の記者としての強い信念と、二度と同じことは繰り返さないという過去への深い後悔を感じさせ、頑なだった藤田の心を動かす説得力がありました。「ニヤニヤしてきっしょ」と山中をバッサリ斬るところも、二人の遠慮のいらない距離感や信頼関係が伝わってきて良かったです。

まぁあんなにいろいろ喋ってもらえるなら取材を簡単にやめられないのは分かる。どんどん聞きたいことが聞けるからすっかり仕事モードになってしまうよね。そこで子供を1人で置いてきたことを思い出した時のやっちゃった！って顔が母親の顔。どっちが大切って選べるものじゃない苦悩が出ていました。

「触れちゃいけないことに触れるのが記者です」ときっぱり言い切る姿が、どんなに危険なネタでも自分が真実を明らかにするんだという強い意志と覚悟を感じさせて格好良かったです。社会部時代の過去と青山の怪我を重ねて自己嫌悪に陥ったり、周りを巻き込んで不幸にしていると落ち込むこともあるけど、いつまでもウジウジ悩まずスパッと浮上出来るところも、さっぱりした性格の道上らしくて良かった。息子から貰ったペンをお守りのように持ち歩く姿や、大切そうにそっと触れる優しい手つきも、息子からのエールが何よりも仕事の原動力になっているのが伝わってきて良かったと思います。

低く落ち着いた声と、相手が誰であっても飾らずストレートに質問を投げかけてしつこく食い下がる姿が、元社会部の敏腕記者らしいガッツと有能さを感じさせました。取材中、鈴木と対峙する時の鋭く力強い眼差しも、絶対に真実を聞き出してやるという覚悟と記者魂を感じさせて良かったです。母親とのやりとりや息子とLINEしてる時の穏やかで優しい笑顔など、ただのお堅い仕事人というだけではない人間味のある姿も素敵でした。