相続探偵

命がけで真実を炙り出す姿が格好良かったです。真実のためなら何でもやる危うさや駆け引きの上手さ、取材力の高さ、灰江を信頼してすべてを託す人を見る目の確かさ、多くはない出番の中でもハゲタカの有能さとジャーナリスト魂がちゃんと伝わってくる演技が素晴らしかったです。徹底した見た目の作りこみも凄かったです。

少しでもスマートにカッコよく映りたいって人が大半なのに、口元の特殊メイクや小汚い服装にびっくり。カッカッカという独特な笑い声もコテコテの喋り方もいちいち癇に障りますが、存在感はバッチリです。残り少ない命を燃やし尽くす勢いが見ものです。

少しずつヒントを与えて煤田に揺さぶりをかける姿がハゲタカの狡猾さや駆け引きの上手さを感じさせました。痛みで苦しみながら「こっからやぞ」って自分に喝を入れたり、灰江に「色々すまんかった」とこれまでのことを謝る姿、ラストに灰江のもとに届いた遺言書など、いつ死んでも後悔のないように１分１秒無駄にしたくないっていうハゲタカの執念が随所で感じられるところも、胸に重く響き印象に残りました。

灰江との電話シーンがとても良かったです。最期に自分のジャーナリズムを見せつけてやろうっていう気概や執念が伝わってきて、ドラマを観ていて初めてハゲタカのことを格好良いって思えました。自棄になってるのとは少し違うけど、どこか「どうせ余命僅かなんだから」と、真実を暴くためならどんな危険なことも躊躇せずにやってしまいそうな危うさを漂わせているところも、ハゲタカらしさが出ていて良かったと思います。

笑い方だけでハゲタカの人間性が伝わってくるのが良いですね。馬鹿にしたようだったり、挑発するようだったり、思わぬ好転にニヤケが止まらなかったり、笑い声も笑顔もその時の状況や感情によって全然違っていて、でも共通して鳥肌が立つくらい気持ちが悪いところもすごいです。

無精髭や衣装などの見た目の印象だけでなく、ネチネチした嫌味な喋り方や、やたら顔を近づけて下から舐めるように灰江を見やる挑発的な表情、小馬鹿にしてるような笑い方、見ていてゾワっと鳥肌が立つような嫌悪感を抱く雰囲気を細やかな演技で見事に表現していると思います。1分もないくらいの短い出番だったけどインパクトも存在感も凄かったです。

清潔感のない見た目や胡散臭い雰囲気、品のない喋り方、短い出番だったけど羽毛田のいけ好かないキャラクターがしっかり伝わってきたのが良かったです。灰江を煽るような嫌味な口調が彼との深い因縁を感じさせたのも、「二人に何があったんだろう」と好奇心を掻き立てて良かったと思います。