リーガルＶ～元弁護士・小島遊翔子～

ホストの体臭にうっとりしていたり、婚活にノリノリだったり、泥酔してベロンベロンになったり、生き生きと楽しそうに中沢役を演じる姿は好感が持てます。自分を可愛く綺麗に見せようではなく、あくまで中沢として存在しようとする姿勢も好きです。クールでお堅いイメージだけど人間味があってチャーミングで…少ない出番の中でも丁寧な役作りをして演じていることが伝わってきますし、それが中沢の存在感に繋がっていると思います。

子役の頃と印象があまり変わらない、小柄で童顔ということがマイナスになっている女優さんだなと思っていましたが、結婚詐欺を追求する回では、法廷で被害を訴えるシーンでは、しっかり大人の女性としての切なさが伝わってきました。それが裁判の流れを大きく変えるのですが、きっとそうなるだろうと思わせられる芝居でした。間違いなく実力がある女優なのだと再認識させられました。

元銀行員で横領してしまっただけあって細かな事に気が届き、経費削減を話す所に説得力がある反面、好きな男性にはお金を用立ててしまう弱さなどをオモシロ可笑しく演じるのが凄く、個性的過ぎる男性たちが多い中で上手く上品にキャラクターの魅力を出せていると感じる。

頭が切れて仕事が出来て、ちっちゃいけどとても頼もしいという彼女ならではの良いキャラを確立していると思います。小鳥遊のことを語る時の遠くを見つめるような眼差しや口調から、小鳥遊と乗り越えた辛い過去や試練、彼女への感謝の気持ちが伝わってきたのが良かったです。

裁判シーンで涙ながらに「私にだって幸せになる権利はある」と訴える姿に胸を打たれました。自分が馬鹿なことをしたという自覚がちゃんとあって、自分の罪に真正面から向き合ってきちんと償いをしてきたんだろうなと、中沢のこれまでの人生が思い浮かぶような心のこもった演技で、高市たちの心を動かすという説得力がありました。

セリフがぶっきらぼうで棒読みで喋り方もぎこちなくて聞いていてストレスさえ感じて残念に思います。ぶっきらぼうな話し方ということもあり冷たい印象が残ってしまうので安達さんには申し訳ないのですがこのドラマの中で唯一この役は他の女優さんが良かったと思いました。

潜入捜査に浮かれてノリノリなところが普段のクールな姿とギャップがあって可愛かったです。婚活のためにお洒落をしたり自棄酒をしたり、今回は出番も多くて色んな表情の中沢が見られたのが良かったです。童顔だし仕草や話し方がおばさんぽいわけでもないのに、婚活に気合いを入れる妙齢の女性にちゃんと見えるところはさすがの表現力の高さだと思います。

きりりとした表情でコメディ的要素をぶち込む間合いに毎回笑える。小柄な体格が逆にこのドラマでは活かせている。動きやセリフ回しもメリハリが効いていて小気味よい。荒川良々さんとの掛け合いも絶妙でこのドラマのコミカルな部分にピッタリはまっていると思う。

地味な役柄でも、数字の並んだ台詞をはっきり言いながらも、無表情の時とテンションあがった時のスマイルのギャップがすごく面白いです。毎回、地味なスーツであれだけ爪痕を残せるのは彼女の演技力のおかげと思います。

元横領犯だっただけに、京極法律事務所の中で一番お金に関して深く考えていて、依頼人から受け取れる報酬に敏感な所が面白く、さらに管理人であるはずの小鳥遊翔子よりも冷静に状況を判断している所で、横領という頭脳を使った犯罪をしたい事を匂わせる演技が素晴らしく思います。

背筋をピンと伸ばしてパソコンに向かう姿や無駄のないテキパキした話し方でお堅いキャラをしっかり確立していて、登場人物が多くてごちゃごちゃしている中でも目を引き、印象に残る演技をしていると思います。小柄で華奢な体型も長身のキャストの横にいると強い個性になっていて良いと思います。

お人形のように可愛らしい童顔に堅物っぽい喋り方、それに前科者という設定、見た目と役のギャップがハマっていてなかなか良いキャラに仕上がっていると思います。キャストが多いドラマなので出番は少なめですが、丁寧な演技でしっかり存在感を示していて、視聴者にちゃんと中沢のキャラを印象付けていたのはさすがベテラン女優だなと感心しました。