天使にリクエストを～人生最後の願い～

泣く演技が良かったです。
色々な場面で、静かに泣く、激しく泣くと何回かありましたが、最後の本当の気持ちが溢れ出す様な、顔がボロボロになりながらの演技がとても良かったです。
熱血刑事からやさぐれた探偵、少し穏やかになり老人の為に動き出す、号泣を経てからの温和な表情と、どれも自然に役になり切っていて、この人こんなに上手かったんだと再認識しました。

初回あんなに自堕落で元警察官とは思えない人だったのに、最終回では人が変わったように穏やかでびっくりしました。結果的に奥さんとも寄りを戻せたようで、サイレントエンジェルの仕事で人生が変わりましたね。白髪交じりですが、かっこいい歳の取り方をされていると思いました。

いつの間にかこんなにも味のある役者になったんだなあと、しみじみしながら江口さんの演技を味わっています。白髪交じりで、シワもある。役柄的に、乱暴でだらしないところもあるけれど、それが深みに思える。死を間近にした老人の、ある意味イタイ思いに寄り添っている姿はすごくリアリティがあります。小説家になれなかった老人に対しての、彼の心からの言葉は、泣けました。きっと若い時の彼が演じても、こんな胸を打たなかったと思います。今の彼だからこそ、演じることが出来る役なのでしょう。普段は、人生を捨てたような雰囲気だけど、彼が必死になった時に見せる時の目が、本来の人間性を表しているように感じました。そんな中年になった江口さんだけど、バーでお酒を飲んでいる姿は相変わらずかっこいい！歌う姿もすごくいい！

警察官時代のトラブルが原因で息子を失ったことを引きずっている設定なので、無精ひげも見える自堕落気味のおっさん島田修悟なのだろうか。毎話に必ず息子の死亡シーンが登場するので、島田の心情はよく分かる。おっさんを応援したくなった。でも、死期の近い人のために奮闘するシーンでは冴えているし、結末では問題を解決しているので、スッキリとした雰囲気の風貌のほうが江口洋介さんには似合うように思う。若い頃のトレンディドラマでは型破りなキャラ、近年はルールを頑なに守るビジネスマン役を見慣れているが、心に傷を持つ今回のキャラは珍しかった。今後ますますおっさんになっていく江口洋介さんには、人間味に溢れたキャラを演じてほしい、というか、その方向性が一番の活路ではないか。

ちょっとやさぐれた感じですが、強くって格好いいです。
心の中にトラウマがあるな、って分かるような哀愁漂う表情も素敵。
元マル暴の刑事だけあって、ヤクザが相手でも怯むことなく、しかも威嚇まで(笑)
役によってオーラまで変わってしまうので「さすがだな」と思います。