黒井戸殺し

顔の作り方や変顔、喋り方などとてもしっかり役作りしており一貫している印象を受けました。これはもう一言、さすが能楽師だな、と言わざるを得ないと思います。

アガサ・クリスティ原作の名探偵ポアロという人物が、日本版で三谷幸喜監督が演出するとこうなるのかという絶妙なコメディ具合とシリアス具合のバランスが面白かったです。しゃべり方は最初ふざけているのかと思うほどですが、野村萬斎さんがやると名探偵であり変人でもある勝呂という人物像がドラマとマッチしていて良かったです。

デフォルメされたかなり濃いキャラクターですが、浮世離れした野村さんが演じると妙にしっくりハマります。品のある雰囲気で紳士的な立ち居振る舞いも様になっていて、謎解きの際の勿体ぶった話しぶりもポアロを彷彿とさせ良かったです。終盤、大泉さんをじわじわ追い詰めていくシーンも迫力満点で見ごたえがありました。

期待して見ましたが、期待以上によかったです。
萬斎さん独特のちょっと狂言が入ったような言い回し、普段こんなしゃべり方してる人がいたら変なんですけど、キャラクター的にはぴったりでした。
個人的には「花の乱」「陰陽師」に次ぐ当たり役じゃないかなと思っています。
萬斎さんが探偵役で、ぜひ三谷さんオリジナル脚本で「古畑任三郎」みたいにシリーズ化してほしいなあと切望しています。