100万回 言えばよかった

視聴者と同じ目線でラブストーリーを眺める人っていう視点が新しかった。それに乗じるようにユイを心配したり直木を諭したり、そして2人を眺めてニヤニヤしたり。2人の間に入っても大きくでしゃばることなくお芝居していたのがすごいと思いました。

絶妙な芝居だったと思います。この魚住というキャラがいないかったら、ただありがちなメロウなドラマだったでしょう。この魚住という第三者がふたりを繋ぐ役目を持ってしまうことが、このドラマの肝だったと思います。さまざまな感情に苛まれるふたりの間で、時に熱く、時にテレながら、時に突き放し、時に優しく、時に面白く、二人を繋ぐ姿は健気で優しいし、ある意味で強い。こういう役を完璧にこなせるところに松山さんのセンスがある。この人は賢くて、観察力があるのでしょうね。そこに経験も加わり、本当にいい役者だと思います。

「伝えたいことがある時は僕の体を使ってくださぁぁぁい！」と一目も憚らず泣くところが魚住さんの性格の良さを表していましたよね。純粋だから直木が見えるのかな。2人が寄り添って歩くところは後ろ姿でしたが信頼関係が見えました。

直木の声は魚住さんにしか聞こえないし姿も見えないからどうしても直木とゆいの間にいるみたいな立ち位置になる魚住さん。だけど極力邪魔にならないように隅っこにいたり、ゆいにだけ分かるように直木のことを教えたりと人の良さが出ています。気遣いのできる男、素敵です。

半分ドアから体が出ている直木にびっくりするなどちょっとコメディっぽさも残しつつ直木にもゆいにもすごく気を使っているのがよく分かります。直木がいないと思ってどんどん離してしまう両親の前で聞かせていいのかと戸惑うような仕草が優しくて魚住さんっぽいなと思いました。