アトムの童

酔っ払って「ジョン・ドゥ最高～」って叫んで盛り上がってる姿、ほっこりしました。ここまでハイテンションになって喜んでる姿を初めて見た気がします。よっぽどオリンピックの競技に選ばれたのが嬉しかったんだろうなと、これまでの様々な困難を思うとグッときてしまいますね。G3ズのTシャツもよく似合っていたし、それを着てゲームを楽しむ姿も無邪気な少年のようで微笑ましかったです。

古めかしい会社に昭和の時代のような社員かと思っていたけれど、若い人がどんどん入って自分の知らない言葉が飛び交っても勉強するという姿勢はとても真似できるものじゃない。それを素直にできるところがアトムの社員の頭の柔らかさだろう。その柔軟さを体現していると思う。

那由他のことで落ち込む海に「私の気持ちも曇り空です」と共感して優しく気遣ったり、那由他がアトムに顔を出した時も、何となく気まずそうな空気を察して「ゲーム作りは順調ですか？」と会話の口火を切ったり、SAGASのプロジェクトを手伝っている時も皆におにぎりを作って差し入れたり、とにかく気配りと気遣いが素晴らしくて、それが押しつけがましくなくお節介に見えないところが良いですね。面倒見の良いおじちゃんって感じがよく似合っていると思います。

会社が軌道に乗って大忙しな様子だったけど、生き生きと楽しそうに働く姿がとても素敵でした。備品管理も電話応対も全部引き受けて、ご飯まで作ってあげて、昔も今もアトムの縁の下の力持ち的存在なんだろうなと感じられました。那由他たちの新たな挑戦を「その出会いを大事にするべきです」と涙を堪えて応援する姿も、仲間思いで熱い八重樫らしくて良かったです。

那由他たちにゲーム制作の手伝いを頼まれた時のテンションの高さ、見ているこちらも浮足立ってしまいそうなワクワク感や楽しそうな様子が伝わってきました。那由他が止めるのも聞かず、勝手に私有地に侵入して持ち主に怒られちゃうところも、八重樫の浮かれっぷりが伝わってきて良かったし、那由他たちとアトムでゲーム作りをしていた時間は、八重樫にとっても楽しくてかけがえのないものだったんだなと感じられてグッときました。

販促用のゲッチャリロボを海たちに披露する時の得意げな表情、老舗玩具メーカーのプライドと自信が感じられて良かったです。若者に任せっきりではなく、自分たちの出来ることでゲーム売り上げに貢献しようとする姿勢が格好良い。色々あった鵜飼ともすっかり打ち解けていて、授賞式の結果に落胆したり納得したりと一緒に気持ちを共有している姿にもほっこりしました。

アトム玩具という古めかしい小さな会社の社員。見た目はそのまま昭和に取り残された感じがするけれど、いつだってピシッと背筋を伸ばし古いものに固執するわけじゃなく若い人の力を認め伸ばし応援している姿がとても好きです。

土下座して謝る鵜飼を見て「多少は見直しました」と腕を取って立たせてあげるシーンがとても良かった。アトムを愛してるし熱い人だから完全には許していないっぽかったけど、誠心誠意謝る鵜飼の姿に心を動かされているのはしっかり伝わってきたし、喫煙者じゃないのに照れ隠しに「タバコ吸ってくる」と部屋を出ていく言い訳下手な不器用なところも人間味があって良かったです。

完成間近のゲームをプレイする時の楽しそうにはしゃぐ姿が少年みたいで可愛らしかったです。アトムのことになると感情的になってすぐ大声出すけど、支店長を説得出来なかったと謝る鵜飼を「あんたが謝ることじゃないですよ」と優しく気遣ったり、プレゼンに失敗したと落ち込む那由他たちに「若いんだからどんどん食べて」とお寿司を差し出したり、決して特定の誰かを責めることはせず、努力を認めて労をねぎらう姿が年長者としての懐の深さや温かさを感じさせて良かったです。

交流会を頓挫するなど、那由他の無責任さや度が過ぎるマイペースには年長者として苦言を呈するけど、基本は敬語で話すし「凄いゲームを作った人」として一目置いていて、「自分が知らないことを教えてもらう」という姿勢がうかがえるところが素敵です。「長い息抜きでしたなあ」などの嫌味も、でんでんさん特有のまったりした口調のおかげでさほど棘が感じられず、聞いていて嫌な気持ちにならないところも良いと思います。

海に対して常に敬語で話し、久々に会った時には目尻下げまくって大喜びしたり、火事で爆発が起こった時も海を庇うように守ったり、小さい時から海のことを「社長のお嬢さん」として敬意を払って接しつつずっと可愛がっていて、八重樫にとってはまさしく「姫」なんだろうなと伝わってきたのが微笑ましくて良かったです。アトムの今後について海と激論をかわすシーンも会社とおもちゃ作りへの愛と情熱が伝わってきてとても良かったです。