舟を編む 〜私、辞書つくります〜

本当にみんなの灯台でした。安心してみんなが作業に没頭できるようにいろんな細かいことに気を回しサポートしているところがよく見えていました。タクシー呼びましょうか？の間も素晴らしく本当に普段通りって感じでしたね。

電話対応のシーンや松本の奥様が編集部に来た時の、何気ない対応が丁寧でそつがなくて安心する。佐々木さんがいてくれれば間違いないっていう頼もしさが感じられるのも良いですね。「もうダメだ～」って弱音を吐くみどりを「ダメじゃない」「必ず終わる」って励まして肩を揉んであげる姿も、佐々木さんの優しさと面倒見の良さが感じられて良かったです。

辞書編集部の中で大きなアクセントになっているのが、この佐々木さん。いろんな意味で熱い者が多い編集部の中で、唯一クールでいて、状況を把握してくれている。もちろん仕事に熱量がないわけではなく、自分の役割を全うする。彼女もプロだね。

演じる渡辺さんですが、表情を出すのを少なめにし、あえて言葉の抑揚をおさえて、早口にすることで、佐々木のキャラをうまく作り上げています。まさしくプロの技です。

病気の松本を心配するみどりに「大丈夫よ」と優しく触れながら声をかけたり、皆でお見舞いに行くという話になった時も「大人数ではね」とやんわり諭したり、口調や仕草がお母さんっぽいというか、色んな経験を積んできたからこその説得力と頼もしさと温かさが感じられるところが良かったと思います。

「被せてきた」って悔しそうなみどりに「いや、被せてはいないでしょう」って即突っ込むところが冷静な佐々木らしくて良かったです。いつも落ち着いていて、状況や物事を俯瞰的に捉える姿が頼もしくて、なかなか曲者揃いの辞書編集部になくてはならない存在だなと感じます。

ストーカーの心配をしている時に「ここに来たのは私がやります」ってきっぱり言い切る姿が頼もしかったです。何をやるのか分からないところが怖いけど面白い。こういう勇ましい姿を見せてくれたと思えば、ハルガスミが来た時はめちゃくちゃ警戒して天童を盾にしていたり、頼りになって格好良い一面とのギャップを見せてくれるところも親近感が沸いて良いなあって思います。

まなとくんのお母さんへの対応が1人だけ同じ母親としての目線でとてもよかった。子供を持つ母親だからこそ一歩踏み込んでのアドバイスが効いていたし、しっかりしなさいって姿勢も良かった。低く抑えめの声で落ち着かせようとしていたのもよかった。

愛斗にお菓子を持ってきた馬締たちを「アレルギーがあるかもしれないから」と窘めたり、「うむん」について愛斗から話を聞き出す時の慣れた様子やスムーズなやりとりだったり、さすがお母さんだなあっていう姿が沢山見られたのが新鮮で良かったです。優しく愛斗の母親の背中を擦ったり、「今度旦那連れてきて、ガツンと言ってやるから」と寄り添う姿も頼もしくて格好良かったです。

図案会議シーン、その都度「〇〇によるんじゃない？」で片づけようとするのも、やたら藁人形を打ち付けるシチュエーションに詳しいのもめちゃくちゃ面白かったです。いつも通りの落ち着いた口調と微笑みだから余計にシュールで笑える。みどりと天童との息ぴったりなやりとりもテンポが良くて楽しかったです。

松本たち有識者が言ってることも理解してるし、あまりのマニアックぶりにドン引きするみどりの気持ちにも共感を示してフォロー入れてくれるし、初心者で突然辞書作りの現場に飛ばされたみどりにとってすごく心強い存在だろうなあって思います。周りをよく見ていて何をすべきか瞬時に把握して動く姿も頼もしいし、その仕事ぶりがさらっとさりげないところも格好良いです。

紙のぬめり感のくだりでの「変でした」や、動画撮影の時の「気持ち悪い」「犯罪ですよ」など、馬締に対して容赦ないのが面白い。口調に棘がないから聞いていて嫌な気持ちにならないし、遠慮のいらない阿吽の呼吸感が伝わってきて、変わり者の馬締のことをよく理解していて日々フォローしてるんだなあって感じられたのも良かったです。

部署内の会話を聞きながら気になったことをすぐに調べ出してしまうのはこの部署にいる人の特性のような気がして良かったです。オタクっぽい部内の雰囲気も出たし、おばちゃん特有の雰囲気も場を暖めていて良かったです。