ハヤブサ消防団

ほとんどしゃべらないのに見た目が非常に印象的で、最後には重要なキーパーソンのひとりとして、聖母展子の真実を語ってくれました。この展開を生かすためにも、序盤からインパクトのある存在でなければいけなかったし、演出やメイクなどのファインプレーもあるし、演じる村岡さんの不気味さの奥に、何か言いたげな雰囲気を感じさせる芝居が見事だったと思います。村岡さんは阿佐ヶ谷スパイダースで舞台経験が豊富だからか、立ち方や歩き方だけでちゃんと雰囲気が出せていました。

三馬の目を真っすぐ見つめて「彩ちゃんを救ってや」とお願いする姿が、映子の温かく優しい人柄や「この人なら大丈夫」という三馬への深い信頼を感じさせました。彩に「アビゲイルと同じくらい大切な存在になってしまった」と三馬の話を訊いた時のハッとした表情が、三馬のもとへ向かうその後の映子の行動力に説得力を持たせていたのも良かったです。

三馬の背後から突然現れるシーン、めちゃくちゃびっくりしました。写真を手に三馬に何かを訴える表情も、去り際の意味深な視線もインパクトがあって、短い出番だったけどものすごい存在感を示していました。いつもの人形みたいに虚ろな姿とのギャップも印象的で、あんな必死になって何を伝えたかったんだろうと気になって仕方ないです。

一言も喋ってないのに毎回存在感が凄い。瞬きを一切しないガラス玉みたいな目や精気のない虚ろな表情、ボサっとした白髪のロングヘア、インパクトのある見た目と醸し出す不気味な雰囲気がハヤブサの不穏な空気をより際立たせているところも良いですね。老婆を演じる年齢の俳優さんではないけど、メイクや佇まいで見事になり切っている表現力の高さもさすがだなと思います。

ボサボサの白髪頭に虚ろな眼差し、無表情っぷりがめちゃくちゃ怖くて、出番も少なく台詞もないのに強烈な存在感を放っていたと思います。立木と一緒にいるシーンがあったから人間なんだろうけど、暗い林の中で佇む姿は幽霊に間違われても仕方ないくらいの浮世離れした雰囲気があって印象深かったです。