ハヤブサ消防団

私たちが思い描く田舎の純朴で人を疑わない素直な青年を丸ごと表現してくれた感じ。人懐っこくて愛想がよくて少し口が軽くて、とても和ませてもらいました。人との距離が近い感じも勘介の良さ。ハヤブサのために涙するところが好きでした。

皆既日食の日に省吾を思って泣き出してしまったり、真鍋がまだ銃を構えているのに撃たれた三馬に駆け寄ろうとしたり、意識朦朧としる三馬に「太郎くん！」と泣きながら必死に呼びかけたり、周りを気にせず感情丸出しな姿が最後まで勘介らしくて良かったと思います。子供がそのまま大きくなったような、底抜けに明るくて無邪気なキャラクターが満島さんのイメージにぴったりで、無理してるような違和感を覚えたり、空回りしてるように見えないところも良かったです。

太郎と一緒にいることが多く、早い時期に裏切り者候補から外れる藤本ですが、こういうシンプルで感情表現が豊かな人物を主人公の近くに配置することで、場面の基準を作ることができます。要するに藤本がハヤブサ消防団の最大公約数の気持ちを表現させることで、他の連中は更に別の要素で色付けがしやすくなるわけです。なので分かりやすく、テンション高めで良いし、感情の起伏が大きくて良い。満島さんは演出意図をくみ取った良い芝居をしていると思います。

杉森や信者たちに泣きながら食ってかかったり、大声で怒鳴って掴みかかろうとしたり、常に感情を爆発させて抑えがきかない感じが良くも悪くも素直な勘介らしかったです。子供の頃からずっと見知った仲間たちとハヤブサで楽しく生きてきたのに、急に色んな問題が押し寄せて巻き込まれて、完全にキャパオーバーになっている様子が伝わってきて、そんな勘介の様子からいかにハヤブサが長閑で平和な場所だったのかが改めて感じられたのも良かったです。

いつも気の良い青年でムードメーカー、年下の甘えん坊って感じがしますね。消防団が居心地がよくていつも楽しそう。だからこそ省吾の問題で場が荒れそうになった時誰よりも悲しそうでやるせない顔がとても切なかったです。

省吾が放火犯だと分かった時の今にも泣きそうな表情や涙を浮かべて省吾の話を聞く姿が勘介らしかったです。神妙な面持ちで省吾を問い詰める他のメンバーと違い、言葉が出ずただ悔しそうに泣いているだけだったり、省吾の遺体と対面した時も誰よりも先に声を上げて泣き出す姿など、気持ちが全部表に出てしまうところが、勘介の素直で子供みたいな性格を感じさせて良かったと思います。

６話は団員みんなで行動するシーンが多かったからか、うるさいわりに存在感が薄くてあまり印象に残らなかったです。飲み会シーンはテンション高くて声が大きいから目を引くけど、真剣な話し合いのシーンでは驚くほど周りに埋もれてしまって影が薄くなってしまうのが勿体ない。見た目も若くておじさんたちの中では目立ちそうなのに何でかなあって毎回不思議に思います。

パワースポットに興奮して大はしゃぎしたり、飛び跳ねて山の方に走って行ったり、お猿さんみたいにパワフルで明るい姿がハヤブサに漂う不穏な空気を和らげてくれます。綺麗な石を見つけて得意げに三馬に見せに来る姿も小学生みたい。子供のまま大きくなった人みたいなキャラだけど、三馬の彩への気持ちにしっかり気付いている意外と鋭いところもあったり、誰に対しても優しくて思いやりがあったり、単なるうるさいお馬鹿さんではないところも魅力に感じます。

子どもみたいに無邪気でヤンチャなキャラクターは似合ってるけど、ハイテンションでドタバタした芝居がちょっとうるさい。やり過ぎると無理して明るくしているように見えて疲れちゃうし、他の俳優さんたちの演技とも噛み合っていないように見えて勿体ないし、もう少し力を抜いて抑えめにしても十分勘介の魅力は伝わると思います。

三馬と釣りに行く中山田に嫉妬したり「太郎くんを独り占めする気やろ」とムキになって絡んだり、三馬のことが大好きな気持ちが溢れちゃってる姿が小学生みたいで面白かったです。山原の家が火事になった時には必死で消防車を呼んだり、意識を失った山原の名前を目を真っ赤にして叫んだり、山原の無事を確認すると全速力で消火活動に向かったり、現場の慌ただしく緊迫した空気を全力で表現する姿が強く印象に残りました。

放火や不審死、地元民の心ない噂話など、ハヤブサでのシーンは心がザワつくことが多いので、勘介の底抜けの明るさや人好きのする笑顔に触れるとホッとします。太郎の「寝不足」や「スランプ」という言葉に「さすが作家」とテンション上がってるちょっとアホっぽい姿も勘介らしいし、それが太郎を馬鹿にしてるように聞こえず本気で「凄い、かっこいい」って思ってるように感じられるところも良いなと思います。

人懐っこい笑顔がすごく役に立っていると思います。昔遊んだ友達が田舎に帰ってきて覚えていないと言われても特に動じることもなくマイペースで人との距離が近い。満島さんの持つ明るいオーラで消防団も明るく見えますね。

明るくて人懐っこいキャラクターが満島さんにぴったりですね。気さくを通り越して馴れ馴れしいくらいだけど、人の良さが全面に出ていて憎めないところも良かったです。慣れない土地に越してきて不安な時に、年齢も近く面倒見の良い勘介みたいな人がいてくれたらホッとするだろうなあ。火事に現場に向かう時のキリっと引き締まった表情や、現場についてからの手際の良い作業と明確な指示、緊急時でも不慣れな太郎を「気を付けてや」と気遣う優しさ、ハイテンションなだけではない消防団員としての頼もしい姿も格好良かったです。