星降る夜に

防波堤で大きな声で泣いた伴さんも、やっと遺品整理ができて泣いた深夜さんも、泣いたことでやっと前に進めたのかなと思いました。個人的にはですが、深夜の家を整理した後３人分の靴が出てきて号泣するわけですがその遺品のインパクトが強すぎて残酷なようにも見えました。もう履くことのできない靴ってこの上なく悲しいです。その靴をずっと持っていくのかと思うと切ないので手紙だけでも良かったかなと思います。ここまでくると一星の耳の聞こえない設定って必要だったのかな？そこがよく分かりませんでした。

深夜の号泣シーンがよかったです。皆、とりあえずはハッピーエンドといえる展開だったわけですが、でも正直な話、心に残ったことはほぼなく、深夜が主人公だったのかなというほど、主人公カップルについてはあまり心に響きませんでした。人の傷ついた心の再生、といったテーマなのでしょうが、主人公が産科医で、そこは死と誕生が背中合わせにある現場だというのがアクセントにはなっていましたが、主人公カップルが結びつくところが弱かったし、典型的な「実は悪い人はいない」みたいな感覚は、現に皆、さまざま傷ついているのにどうなのかと首を傾げます。結局、悪くはないけど良くもないドラマでした。

素敵なBGMと一星と鈴の穏やかな恋愛が心地よくてずっと見ていたくなります。ラブストーリーで最初からずっといい感じで付き合ってからもケンカもなく急に元カノが現れるなどハプニングも起きずって展開は案外珍しいと思いますがそこが好きです。一星の大きな愛は伴さんをも救うことになりました。伴さんだって鈴先生を恨んでも仕方ないことも分かっているけどどうにもならなかったんでしょうね。それを乗り越えたように見える佐々木先生も本当は乗り越えていないのでしょう。医者になったのは復讐っていうところが引っかかりました。佐々木先生も救われるといいな。

伴さんは鈴を逆恨みして憎み続けてないと、生きてこられなかったんでしょうね。その境遇には同情はしても、だからってあんな暴力行為や嫌がらせを正当化する理由にはならないけど。
物心ともに不安定な父親との暮らしのなかでも、思いやりのある子に成長してる娘を希望の糧として、ここから前を向いて生きていければいいのにね。

伴の逆恨みによる被害者と言ってもいい鈴も、その相手を抱きしめてやるという一星も、この寛容さが理解できません。人はそこまで寛容にならなければ、誰も救えないのでしょうか。現代社会のように不寛容すぎるのはどうかと思いますが、怒りだって正常な反応です。千明が見せたようなむき出しの感情がないと、寛容だけでは自分を守れないことがあります。それに寛容すぎると、鈴の中にある罪悪感との整合性がつきません。伴に対してどこか罪悪感を感じているのに、憐れんでもいるというのではちょっと傲慢だと思います。

人生は予想もしないことが突然起こる。伴さんの続くはずだった幸せな日常はある時急に壊れてしまった。奥さんを亡くした悲しみが癒えることなく始まった育児。稼ぐことも育てることもたった1人。最初は同情してくれた人もずっとは付き合ってくれないし、自分が悪いわけじゃないのに頭を下げることは多く疲れてしまったのだろう。分かるよ、めちゃくちゃ大変だよね。だからって先生を責めるのは違うけど根っからの悪人ではない。だから鈴は責めなかった。ここにいれば良かったは、寄り添ってくれる人がいれば良かったって意味だよね。伴さんも救われる日が来るといいな。

鈴の気持ちも分からなくもないけど、伴が他の患者さんに絡んだり、佐々木に怪我を負わせたり、病院で暴れたり、無関係の人間がこれだけ巻き込まれてる時点でもう「私と彼の問題」ではなくなっているので、通報しようとした院長を止めるという行動が無責任に思える。待合室に妊婦さんが沢山いたし、妊娠してる伊達もいるあの状況で、真っ先に彼女たちの身の安全を確保するという選択が出来ないのは医師としてどうなんだろうってモヤモヤしてしまいました。

伴の気持ちもわからなくはありませんが、被害者ぶるのは結局のところ無力な自分への怒りであって、それを鈴へ向ければ向けるほど、残された娘に孤独と痛みを植え付けることに気づかないようではダメです。あそこまでやれば威力業務妨害だし、捕まっても自分は本望かもしれないけど、白い目で見られるのは娘なのに。こういうキャラの単純さは正直、海外ドラマの影響なのかな。もう少し含みというか、日本らしい情緒とふくらみのある人間模様が見たいのだけど。とにかくわかりやすくというのは配信時代の悪弊かもしれません。

鶴子とチャーリー、千明と桜の2組の親子の話に心が温まりました。チャーリーは構ってもらえなかった寂しさから一時は荒れたけど少し大人になってお母さんの苦労も愛情も理解できたのでしょう。今の関係がとっても素敵。桜も産みの母親と会ったけれど自分の感情は動かなかった。それは血が繋がっている以外の何もなかったからでしょう。どんな時もそばにいたのは千明でお母さんは千明だと思い知る。出産がゴールなんかじゃなくスタートなんですよね。子供は思うよりもずっと親のことを見ている。なんだか背筋が伸びる思いがしました。

生みの親より育ての親。使い古された言葉だけれど、産婦人科の医師や看護師が言っているから、ある種のアイロニーになっています。何にしても桜ちゃんはいいコですね。またチャーリーのチャラさが救いになっていました。一星と深夜の距離が一気に縮みましたが、この構図は正義を振りかざすストーカーもどきに対して、鈴を守るための同盟関係という感じなのでしょうか。そしてついにそいつが鈴の目の前に現れました。演じるはムロツヨシさん。「ムロかよ」とつい笑ってしまったのは申し訳ないけど、それなりに怖さはありました。

あの書き込みをしたのは院長だと思ってたけど違うのかな？釣りの写真は院長しか持ってないはずだしちらっと見えた顔がそうだと思った。だけど自分の産院に実害出てるし、メリットがなさそうなんだよね。とはいえこのどさくさに隠れて三角関係が進行してる！佐々木先生がさりげなく距離を詰めてきているのがとても気になる。奥さんを亡くしたことで医者をどこまでも追い詰める人と、奥さんと子供を亡くして自分が医者になる人。どんなことでも糧になる人は強いですね。

結構好きで観ているが、、SNSの件にしろ、悪意のある張り紙にしろ、窓ガラスにしろすぐに警察に連絡しないのではらはらするし腑に落ちない。そういう描写がないとおとぎ話みたいになっちゃうような。それと女子高生が人目につくところで付き合ってもいない人に積極的すぎるのはリアリティーがない。

春とうたはちゃんと話し合えてよかったですね。春が怖いならうたも怖いという一星の言葉が本当に核心をついています。話せない一星からの言葉であるところに、いろいろな意味を感じさせます。また逆に一星が聞こえていないからこそ、桜の言葉が切ない。そして鈴の疑惑ですが、同期の搬送依頼は明らかに意図的な嘘ですね。彼女を貶めるメッセージを発しているのは、遺族とは限らない。その同期ということも考えられます。いずれにしてもこういうやり方は告発ではなく、ただの暴力です。

いつも明るく楽しそうにしていた春にあんな暗い過去があったなんて意外でした。復活したと言ってもまだいつでも前の状態に戻っちゃうような不安定な状態なんだろうな、とは思う。だけど子供作っといて現実を見れないからって奥さんに堕胎を迫るの？自分は一切傷をつけられることなく奥さんの体を傷つけるの？そこまで考えが至らないなんて、独りよがりすぎる。まぁでも世の中にはいろんなカップルがいるし、いろんなタイミングがある。命の重さをよく考えて決めてほしい。

演技の上手い役者さんが揃っているので見応えのあるドラマに仕上がってるな、という印象です。暗くてお涙ちょうだいになりがちなテーマを扱いながら自然体なセリフと演技力で感情の移り変わりが伝わるところがこのドラマの良さだと思います。飽きて途中離脱するドラマが続いたけどこれは最後まで完走できそう。どんなラストを迎えるのか楽しみです。

心に傷を抱えながらも、いつも明るく屈託無さそうにふるまっていた春の気持ちを考えると心が痛む。でもだからって、一星に吐いたあの言葉はあまりにショックだわ。
佐々木先生の善人そのものというか、誠実さのかたまりみたいな邪気のない存在感に毎回癒される。容姿の良さが多大に影響してそうな気もするけど、温かい人柄が伝わってきてホントに素敵。

主題歌が何故、Ms.OOJAさんの「星降る夜に」じゃないのが納得いかない。
あんな素敵で、ドラマにピッタリなのに、選曲ミスしかない。

春も覚悟がないのだったら、ちゃんと避妊しろという話なのですが、まあそこは置いとくとして、気持ちはよくわかります。結局、経済的にも精神的にも余裕がないから子どもが欲しいとは思えない。少子化の根本は、自分たちの生活に余裕とかゆとりが持てない状況を作ってしまったことにあるのでしょう。人材なんて代わりはいくらでもいると使い捨ててきた企業側の責任でもある。また親友を放っておけない一星の気持ちもわからないではないけど、障害を持つ身だからこそ、世の中にはどうにもできないこともあるのだと誰よりも理解すべきなのではと思ってしまいます。

佐々木先生といるところを見たってだけで熱を出しちゃう一星がかわいすぎる！恋はさざなみって教えてもらって実践してるけど、押してくる一星も好きだったなー。おばあちゃんも耳が聞こえないけどめっちゃ明るくて好き。このおばあちゃんがいたから一星もハンデを重く捉えていないんだろうな。ひとつ突っ込ませてもらうと、北斗さんが手話を習うタイミングが遅すぎない？もう何年もの付き合いになるのに今から習うの？北斗さんと鈴を出会わせたかったのは分かるけどちょっとびっくりしました。

初めから深夜は鈴に対して別感情を抱いている様子でしたが、深夜の悲劇的な過去に鈴は関わっていたのですね。まあ予測はついていましたが。いずれにせよ、あの過去、あの年齢から産科医になるというのはすごいことで、現実には相当に難しいと思うけど、頭が良さそうなディーンさんだと何かありかなと感じてしまう。やはり医者役は賢そうじゃないとダメですね。一星ですが、遺品を取っておくのはいいとして、返しに行くのはやっぱりリスクがあります。善意のつもりでも、状況によっては悪意に感じる。そこまで考えるようになれば大人だと言えるのですが。鈴と一星は今のところロマンチックラブな感じだけど、そう甘くはないんだろうな。

確かに高校生の耳の聞こえない子一人残して両親他界って見出しのニュースがあったらかわいそうにと思うし大変だろうなと推測する。ただ一星のそばにいる人ならかわいそうにならないように手を差し伸べてほしいし、寄り添ってほしい。そして一星のありのままを見てほしい。泣いた日だってたくさんあっただろうけど、自由に遊びに行けるしコミュニケーションも上手で世界中に友達がいる。楽しい職場でみんなと仲良し。それでもかわいそう？かわいそうなんて言葉で人の気持ちを沈めないで。いいことを見逃してしまうから。

だいぶ昔っぽいというか、今時っぽくない話ですね。20年くらい前のラブストーリーみたい。まあ何が不幸で、何が幸せなのか、鈴じゃないけど本当にわかりません。未来が予知できない以上、人は刹那な中に生きているわけで、その一瞬一瞬ですべての価値が決まるわけでもない。そんなの当たり前のことだけど、人はついついその瞬間に一喜一憂します。それが人間というものなのでしょう。鈴と一星の距離が一気に縮みましたが、深夜もまた鈴に対して尊敬以上のものを感じ始めているかもしれませんね。恋のライバルはスパイス的なのも昔っぽいかな。とにかく古いロマンチックラブなストーリーが好きなら面白いかもしれないけど・・・ね。

夜のキャンプ場で初めて会った相手が、いきなり至近距離で何度もカメラを向けてきたら怖いし、ましれやキスなんてしてきたら、普通に警察沙汰だと思うけど。鈴が憤慨しながらも受け入れてしまってるのが不思議だわ。というか、そこで怒って警察呼んだら、このドラマは展開していかないんですよね。
ピュアで温かい人柄が伝わってくる、ちょっとドジな佐々木先生の存在が見ていて癒しって感じ。

ソロキャンプを楽しんでいたら知らない男性に写真を撮られるって怖いなと思いました。一目惚れもあることだし二人とも大人だしなによりヒロインが良しとしてるのだからいいのだけど、ひっかかる人は多いと思います。ただ障害がある人の日常を描いている部分に関してはサイレントより好きです。生まれ持ったものと途中で奪われたものでは大きな差があるのだろうけど、湿っぽくないのがいいです。あといくら一人娘に心配をかけたくないと言っても死んだ後に知らされるのもその時にはもう家もないのもちょっと感覚が分からなかったです。なんかいろいろズレてると思います。

主題歌を、Ms.OOJAさんの「星降る夜に」に何故しないのか不思議です。
選曲ミスだね！

美しい星空と音楽でロマンチックな雰囲気になってたけど、普通に考えて、夜一人でいる時に見知らぬ男にいきなり写真撮られたりキスされるなんて怖過ぎるんですけど…。あれ、キュンとするの？って初っ端からドン引きしてしまいました。コミカルというより軽くて品のない小ネタが多いのも気になる。生と死、どちらも扱うシリアスで美しいラブストーリーだと思っていたので、どういうテンションで見たら良いのか、イマイチ馴染めない１話でした。

前のクールではフジが、今クールではテレ朝が聴覚障害者の話ですね。父の遺品整理をしたことがあるけど、まさに一星の主張通り、後々になって母があれは取っておけばよかったという愚痴をこぼすのを何度か聞かされました。だからといって遺品整理業者に保管しておいて欲しいわけではありませんが、人の死は死んだ時だけでなく、その後も何かとついてくるものだなと思います。主演の吉高さんと脚本の大石静さんは、2024年の大河ドラマコンビだし、その前哨戦としても興味深いものがありますね。