元彼の遺言状

法廷の演技はとても素晴らしかった。素振り、話し方、今の日本人女優で、ここまでやれる方を思いつきません。また、ダメダメなイメージも、最後の証人尋問のための伏線であり、計算された脚本であったと思う。異議ありを何度も言わせ、質問を代える、しかし、勝負どころでは、裁判官の話を遮り、透明人間という皆の興味をひくワードで、裁判員の心を掴む。そして、最後の問いかけも、お金を返した、外に出たと聞くのではなく、ストールをかけたのかと聞く。証人にも配慮した、言葉のチョイスとなっている。何回も見直してみると、なぜ惹き付けられるのかがよく理解できる脚本である。複雑な証拠や時系列、突飛なアイデアのミステリーも良いが、人間の性格や感情を的確にとらえたミステリー的な作品も良いものだなと思った。

自由気ままで気に入らないことは気に入らないという、竹を割ったような性格とはこのことか。目に見えることだけが全てのように見えるけど情に厚く、そういう部分を見せることを照れているように見えるのがとてもいい。漢気があって逞しくて、ちょっとだけかわいい。そんな麗子ちゃんの虜になった。

自由な生活を満喫して夢だった本の出版に喜ぶ篠田の気持ちを慮って、出版詐欺だとは伝えずに1人で解決しようと動く姿が麗子の優しさや正義感の強さを感じさせました。デリバリーやSNSなど、今まで出来なかったことを楽しむ篠田を嬉しそうに見つめる笑顔も良かった。演技はもちろんだけど、よく通る声と滑舌の良さも魅力で、長台詞も流れるようにテンポがよくて聞き取りやすく、麗子の賢さや頭の回転の速さが感じれれてとても良かったと思います。毎回、美味しそうによく食べる姿もチャーミングでした。

自分の利益にしか興味がないと言いつつ、誰よりも嘘が許せなくて真っ直ぐで正義感が強い。ツンとしてるけど情に厚い。そんなツンデレの麗子ちゃんが頼もしくかっこよく大好きになりました。カツカツ響かせるヒールもはかされているんじゃなくて履いている。めちゃくちゃカッコいい。

憶測で発言するし、検察の質問中に立ち歩くし勝手に喋りだすし、初めての裁判で不慣れ感丸出しな姿が珍しかったです。それでも怯まずに堂々として自信たっぷりだし、意義を申し立てられるたびに即座に「質問を変えます」と切り替える頭の回転の速さも顕在、どこにいっても麗子らしさを失わない姿が美しくて格好良かった。村人たちに「私は本当に腹が立ちます」と一喝するシーンも、感情が昂って声が震えて裏返りそうになっていて、篠田を蔑ろにされた憤りや悔しさが伝わってきてグッときました。裁判シーンもレストランでの謎解きも、よく通る声と滑舌の良い台詞まわしでとても聞きやすいところも良かったです。

法廷シーンにこのキャラクターの魅力と、綾瀬さんの魅力がすべて詰まっていた感じがします。麗子というキャラクターにはぶれない芯があります。それはお金ではなく、終始一貫して、弁護士としての自分、あるいは法の下では嘘をつかないことです。この国の自由は法の下の平等で成り立っているわけで、それをないがしろにする者には容赦がない。法廷シーンでは法律関係者の視線は気にせず、一般の裁判員を意識したところが見事でした。そしてそれを演じた綾瀬さんも、いつものおっとりとした雰囲気はどこへやら、法廷シーンでも解決編でも、舌鋒鋭く、たたみみかける姿は迫力がありました。

真っ赤なジャケットを着てヒールをカツカツ鳴らして村人の前に颯爽と登場する姿がめちゃくちゃ格好良かったです。誰かが発言するたびに鋭い視線で関係者の反応を見定めるところも、嘘を見極めることに長けた「良い弁護士」らしくて良かった。ラストで篠田に「絶対に勝つわよ」とはっきりと言い放つ自信たっぷりな姿もとても頼もしくて、絶対に何とかしてくれるという安心感が半端無かったです。

篠田に殺人犯だと告白されても動じず、警察に引き渡したのも再捜査させるため、事務所に戻ることを条件に津々井に頭まで下げて身元引受人になってもらう。篠田のことを信じているからこその行動に、2人の信頼関係と絆の強さを感じてグッときました。「無実の人間は裁かれてはいけない」と毅然と言い放つ姿も、弁護士としての信念が感じられて格好良かったし、篠田を救うことで栄治の遺言を律儀に守ろうとするところも麗子の意外と義理堅い性格が感じられて良かったです。

お寿司もシチューも本当に美味しそうに食べるし、ニコニコご機嫌で幸せそうな笑顔が可愛らしくて、仕事中のツンと澄ました態度とのギャップが魅力的。津々井の痴漢事件で、相手弁護士の挑発的な態度にブチ切れる姿も迫力あって、勝ち気でプライドの高い麗子らしさがよく出ていました。「雑用係ではなく私の助手」と素性の分からない篠田を受け入れるところも麗子の優しさや懐の深さ、2人の信頼関係が感じられて良かったです。

食べ物には目がなくていつも豪快に食べている姿が好きです。狙った獲物は逃さない目力も好きです。ふわっとした雰囲気を封印してシャープな綾瀬さんも魅力的。お金に汚いかと思えば自分なりの美学でいい話を蹴ったりもする。潔さがかっこいい。

ツンツンしていて拝金主義と見せかけて、その実は違っているようで。それを栄治との会話という回想シーンも混ぜることで、栄治が麗子の本当の姿を知っているのだと思えてきます。シノダとのシーンはコミカルで楽しいシーンも多く可愛らしい面も見られて嬉しいです。

大金が手に入る案件だし、上手くいけば大手企業の顧問弁護士にもなれるのに「嘘をつく依頼人は弁護出来ない」と自ら弁護を辞退したり、神父にも「人を裁けるのは法律だけ」と言ったり、今回はお金至上主義というだけではない、麗子の弁護士としての信念や彼女なりの正義感が垣間見れたのが良かったです。辞退を申し出る時の迷いのない表情と凛とした態度も格好良かった。マグロが食べられなかった時のものすごい落ち込みっぷりも食いしん坊キャラらしくて可愛らしかったです。

いつも強気でツンケンしてるけど、食べ物が絡むと情けない顔になったり満面の笑みになったり表情がコロコロ変わるところが食いしん坊キャラっぽくて良いし、美人で優秀で…という完璧キャラとギャップがあって可愛らしいです。津々井にサンドイッチを食べられちゃった時も、心底がっくりした良い顔してました。ツンと顎をあげてピンヒールで颯爽と歩く姿も自信たっぷりな麗子らしくて格好良いです。

篠田が話していた感想を丸パクリして秦野の大ファンだと嘘をついて自分を売り込む姿に笑ってしまいました。ホント、ブレないキャラクターで憎めない。自信たっぷりで熱烈なアプローチぶりが「何としても顧問弁護士になってやる」という執念を感じさせました。あの状況でも「警察が来る前に」と秦野にしっかり請求書を渡すシーンも「お金にならない仕事はしない」という麗子らしくて良かったです。お金にガツガツしてるけど下品に見えないところも魅力だと思います。

「お金にならない仕事はしない！」といいつつ、お金にあまりならない仕事ばかり舞い込んできそうな雰囲気で。あのこだわりはどこから来るのだろう。麗子の背景があまり描かれていないけれど、ちょっと無理してる感が、過去に何かあったのかなと思わせる。

仕事を選んでいる場合じゃないのに「お金にならない仕事はしない」というポリシーは絶対に崩さないブレないところ、迷う素振りすら見せずに断る潔さが麗子らしくて良かった。どんな状況でもプライド高くて勝ち気で偉そうで、実際いたらあんまり関わりたくないけど、綾瀬さんの持つチャーミングさや柔らかい空気感のおかげでただの嫌な女になっていないのがさすがだと思います。何でも美味しそうに食べる姿も可愛いです。

この期に及んでまだ篠田を犯人にしようとする強引さに笑ってしまったけど、麗子ならやりかねないなっていう説得力もありました。屋敷を去る時、亮に「困ったことがあったら代理人になってあげる」と名刺を渡したり、居場所のない篠田を新しい事務所においてあげたり、優しい一面も垣間見れたのも良かったです。栄治はちゃんと麗子の本質を見抜いていたんだろうな。食べっぷりの良さも見ていて気持ちが良いです。

頭の回転早く、気位高く、気が強く…栄治の言う「優しい」が今のところ見当たらないのだけれど、それがキーワードになるのだろうか？それにしても海老天のエピソード可愛すぎる。それを知った麗子の高くついた！も最高！

「お金、お金」言ってても下品に見えないし、全身高級ブランドで着飾ってても嫌味にならず似合ってる、性格最悪だけどどこかに可愛げというか、憎みきれない魅力が感じられるところも良かったです。声がよく通るので、専門用語交じりの長台詞も聞き取りやすいし、若い刑事に喰ってかかるシーンも迫力があって麗子の気位の高さを感じさせました。