ミステリと言う勿れ

きわさんの事件を追求する回では、演じているのが鈴木さんだから、天達さんってなんだかちょっと胡散臭いところもあるのかなと思ってしまいました。けれどもライカの件で物思いに耽っている整に声をかけた時、成長している整に対して微笑みを隠し、とても先生らしい表情を浮かべてアドバイスするシーンは実に素晴らしかったです。鈴木さんのこれまでの役柄に引っ張られ、見ているこっちが先入観をもってしまったことを反省しました。

きわさんのパートナーだし知的で穏やかで整くんが慕うのも分かる。だけどその穏やかな語り口となにか言いたげな目で人を操っているような錯覚も起こした。だから最後まで何かありそうで目が離せなかった。これが何かの伏線ならすごいと思う。

おっとりした雰囲気と語り口調が、いかにも文系学問を教える大学の先生という感じ。心理学の専門家らしくいつも落ち着いた立ち居振る舞いに、心の安定した強い人というイメージも醸し出されていて、天達先生としてとても魅力的。

嶌たちと上手くコミュニケーションが取れない整を何度もフォローする姿が印象的で、整の良き理解者で信頼されている説得力がありました。原作を知らないので、時折見せる意味深な表情や目の動き一つ一つが謎解きの重要なヒントになっているような気になってしまい、鈴木さんの演技に翻弄されています。聞きやすい声と穏やかな語り口も耳心地が良いです。