おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか！

おっさんとして、父親として、旦那として、すべてにおいてアップデートして行く姿は、しんどい面と喜ばしい面との双方が描かれ、それに翻弄されながらも、時に毅然と、時に柔軟に立ち向かう姿は、なかなか良かったと思います。泰造さんの演技はコント的でありながら、表情の複雑さがあり、そのために心を動かされる感じがします。お笑い芸人だからこそ、ビートたけしさんなんかと同様に、ペーソスというものを知っている。なかなか得難い存在感だなと思います。

対応が不味かったのではないかと自認する時があるけどそれはいつも誠さんが相手のリアクションをちゃんと見てるって証拠でもあると思う。だからこそ誠さんを演じるには男らしさも求められるけど人の機敏を感じ取れる繊細さも必要でそこが原田さんとピッタリ一致したのかなと思います。

仕事相手に対するちょっとへつらいすぎなところは昔の営業マンって感じがするし、おじぎの角度とか物の渡し方がとても丁寧で営業マンを長年やってきたんだなと思わせる。今回は女装した翔くんと鉢合わせした時の表情がとても良かった。翔くんは逃げ出したけどショックくらい受けさせてあげてよと思ってしまった。

世間的には今の時代アウトなことをサラッとは言うが、その理由を考えれば無謀なことを言っているとも思えない。カッとなることもあるけれど冷静になれば違う価値観も受け入れる度量もある。誠さんを誠実に実直に思いやりある人にちゃんと演じてくれているから感情移入できる。ただの古臭いおじさんにならないところがすごい。