PICU 小児集中治療室

植野先生だから武四郎があそこまで伸びたと感じるほど2人のコンビがとても良かったです。人が成長するのを見守るのは根気がいることです。まして自分で気づかせるように教えることはこちらにも辛抱がいる。そこをじっと我慢して見守るところが植野先生のいいところ。こんな風になりたいなといつも思っていました。

改革者であり、人格者でもあるけど、最後には自分の至らなさにも気付く植野という人物を、北海道愛に溢れる安田さんが演じることで、北海道の抱える僻地医療とか広域医療の問題点が浮き彫りになりました。西の人が意識するより、北海道とか東北は広い。北海道の広さは九州の2.26倍だし、東北も九州+四国より全然広いからね。安田さんは北海道の広さを実感として知っている。そのせいか想い入れの違いみたいな力を感じます。芝居だけでなく、地元愛みたいなものが伝わってきました。

いつもは余裕があり動揺一つ見せない植野先生だけど、武四郎に圭吾くんのことを聞かれて見せた表情は今まで見たことのないものでびっくりした。どんなに医者としてのキャリアが長くても一つ一つ患者が違えば治療法も違う。これでいいのかと自問しながら向き合っているのだろう。悔しさが滲み出ていてとても良かったです。

こんな人が人の上に立ってほしいと心から思う。いつも周りに目を配る事ができ関わる人全員のためにできることをして、下のものには全てを与えずに気付きを与える。南にも尊厳を保ちながらお手伝いできることを提案してくれる。押し付けがましくなく困ってることだけ手伝おうという優しさをゆっくりとしっかりと説明する姿勢がとても素敵です。

植野先生にも今までいろいろあったんだな。それをちゃんと踏まえて、同じことが起こらないように後輩の指導をしている。ずっと続いてきたことを変えると言うことは大変なエネルギーがいることなんだけれど、それ以上に思いが強いんだろうな。優しい言葉それぞれにたくさんの思いがつまっている。

志子田先生がどんなに的外れなことを言ってもその場で押さえつけるのではなく自分で気づくようにきっかけをくれる。指導医として上司として見ていて学ぶことが多いです。落ち着いた声を聞くだけで病気が治りそう、素敵ですね。

志子田先生の上司としてというか指導医として素晴らしい助言や後ろ姿を見せてくれていると思います。急患でみんながバタバタしている中でも視野を広く持ちみんながよく働けるように指示を出したりする植野先生。落ち着いた声がみんなに安心感を与えます。志子田先生を叱る時は毅然としてカッコよかったです。

すごく熱がこもっているなと思っていたら、北海道のご出身でしたね。そのこともあっての熱量なのかなと感じました。物語を通してみなさんに伝えたいと思うことがたくさんあるのかな。冷静ながら悲しい気持ちや死を悼む気持ちが伝わるいい演技でした。