らんまん

文句のつけようもなく、役柄にあった演技をチョイスし、見事に演じ切っている。さすがベテランという感じです。実のところ、出演時間もそう長くはなく、ちょっとした脇役なはずなのに、奥田さんが出ていた印象がしっかりと残っているというのは、役者としての技量はもちろん、存在感の示し方のうまさを感じます。役者にとって、それってとても重要なファクターですからね。その意味でも脇役のお手本というべきものを見せてくれたのではないかと思います。

万太郎の家が思ったよりもずっと大きな家だったことに緊張して、最初の挨拶で詰まっちゃったのが面白かったです。奥さんとの早口のやりとりも江戸っ子らしさが出ていていいです。たーかーさーごーやーも渋くてかっこよかったです。

じりじりする仏滅の夜が明けて夜明けと共に釣書を持って寿恵子の家を訪れる場面がとても好きでした。待ちきれずこんな時間に来たことを詫びてたどたどしく口上を述べるところに江戸っ子の気短さと真面目さ、万太郎を思う気持ちが溢れていました。

生意気な娘にお決まりのセリフ「誰のおかげでおまんま食えてると思ってんだ！！」って勢いよく言ったのに撃沈。娘に言い負かされているところが面白かったです。怒号の中にもチャーミングさがあり、怖さだけじゃないところがすごいなと思います。

昔からのかっこよさに渋さが加わって黙っていればダンディーなのに大畑さんは生粋の江戸っ子。べらんめい口調もサマになり血気盛んな江戸っ子になっています。学者と職人という交わらなそうな人種の交わりに今からワクワクしています。