Re：リベンジ―欲望の果てに―

しらじらしく説教をして隠蔽の罪を海斗一人に押し付けようとしたり、大友に拘束された時も全身をバタつかせて抵抗したり、命がかかっているのに問い詰められてもなかなか口を割らなかったり、開き直ったり、「諸悪の根源」らしい悪どさと往生際の悪い無様な姿が見事で強く印象に残りました。全てを失った時のニヤリとした笑みも狂気じみた不気味さがあって、最後の最後まで濃厚で癖の強い演技で強烈なインパクトを残して、ドラマを盛り上げていたと思います。

海斗の変貌ぶりを目の当たりにして楽しそうに笑っていたり、口の周りをビチャビチャにしてスープを飲んだり、人間の欲について語りながらお茶を淹れたり、表情や所作がいちいち不気味で意味深で、つい深読みしたくなるようなインパクトがあるのが良いですね。よく考えると出番なんてホントに少なくてなかなか勿体ない扱いをされてるのに、誰よりも強烈な個性と存在感でそれを感じさせないところも凄いなと思います。

「厳しくするばかりでは人の心は掌握できない」と海斗に忠告する時のニヤリとした笑みがやたら意味深で、これまで会長自身も様々なやり方で人の心の弱みや隙につけ入って取り入って、病院を守るために何でもやってきたんだろうなと感じられたのが良かったです。凄みがあったり良い感じに品がなくて不気味だったり、背筋がゾッとするような怖さがあったり、笑顔一つで色んな雰囲気を醸し出してその場の空気を自在に操る演技も毎回さすがだなと感じています。

医療過誤の件で臆病になる海斗に「隠蔽だ」「もみ消すんだよ」と声を張って堂々と言い放つ姿が、大病院のドンらしい貫禄と肝の据わりっぷりを感じさせました。美咲に関するデータを削除するよう指示する時も「データが外に漏れ出るぞ」と強い口調で脅したり「全て失うか？」と小馬鹿にするように挑発したり、猫撫で声で煽ったり、豊かな声音の変化とヒリついた緊張感で海斗を揺さぶる姿が怖くて不気味でとても見応えがありました。

ワインを飲み干す海斗を面白そうに見つめる眼差しや、そこからフッと笑みが消えて真顔になる姿など、台詞がなくても表情や視線がいちいち意味深で不穏さ全開で、笹野さんのシーンはつい会長に釘付けになってしまいます。怪演という言葉がぴったりなインパクトのある演技だけど、決して一緒に芝居している人の邪魔はせず、独りよがりになっていないところもさすがだなと思います。

頭を下げる海斗を見て「許しを請う人間の姿は愉快だ」と笑い出したり、ソースのついたスプーンで海斗の頬を叩いたり、狂気じみた演技が不気味で怖くて、大声で恫喝されるよりも何倍も迫力と凄みがあり、その場に居合わせたら身体が硬直してしまいそうな恐怖を感じさせました。見た目は細身で小柄な方だし、声も落ち着いた優しげなものなのに、絶対に逆らってはいけないという緊張感を漂わせるところが毎回さすがだなと思います。

出資者説明会で涙を拭いながら方々に頭を下げ続けたり、わざとらしくよろけたり、しおらしい態度なんだけど何処か嘘くさくて芝居がかっているところが皇一郎の食えない狸っぷりを感じさせて良かったです。ラストの苺を食べるシーンも、ただ無言で苺にかぶりついているだけなのに迫力があって、心がザワザワするような不穏さに満ちているところが凄かったです。

諦めモードの海斗を、人が権力を欲する理由を諭して焚きつけるシーンが良かった。市子と話している時は顔もちゃんと見ないし全く相手にしてない感じだったけど、海斗が相手の時は目をしっかり見ているし、話にもじっくり耳を傾けているように見え、海斗への期待や彼がどこまで出来るんだろうという興味を感じさせるところも良いと思います。スープ飲んでるだけなのにめちゃくちゃ不穏で怖い空気を醸し出せるところもさすがです。

食事会での市子とのやりとり、怒鳴ったり大きな音を立てるなど乱暴なことをするわけじゃないのに、めちゃくちゃ怖くて、絶対に逆らえない圧と凄みが感じられたのが凄かったです。市子の口に無理やり食べ物を突っ込む姿も、その直後に何事もなかったような猫撫で声で笑顔で大友に食事を勧めるところも、背筋がゾワっとするような怖さがあって良かったです。

病院で雇って欲しいと言ってきた海斗への態度や、彼の強い覚悟を感じ取った時の「おや？」という興味深そうな表情が、海斗への期待を感じさせるところが良かったです。飄々としていて何を考えてるかよく分からない人だけど、１話、２話とも海斗に対して負の感情を抱いていないように見えるし、何やら思惑や企みがありそうだけどそれが今後の海斗にとってプラスになりそうな、味方になるとまでは言わないけど、ちょっと明るい希望が持てる空気を僅かに滲ませているところも良いと思います。

ただ食事をしているだけなのに何故かものすごく不気味で怖い。血のつながりのない智信を理事長に推したり、大友を理事に推薦したりと、何を考えているか分からないミステリアスな雰囲気が漂っていて、海斗の敵なのか味方なのか、どちらでもないのか、全く読めないところもキャラとして面白いです。台詞も出番も多くはないのに「怪演」という言葉が頭をよぎるくらいインパクトがあって、強烈な存在感を示していたのもさすがです。