西園寺さんは家事をしない

怒鳴りあうようになってしまった告白も溢れる気持ちが出ていて良かったし、自分の意見を言うことでいっぱいだったのにまさか相手が同じことを思っていたなんてと我に帰って「おぉ！！」っと驚くところもすごくよかった。

早口で捲し立てて楠見と言い合いをするシーン、抑えていた感情が大爆発という感じで勢いが凄くて、怒鳴り合っているのにお互いを大切に想う気持ちが溢れていて見応えがありました。楠見に告白された時の「違う！おぉ？！」っていう、恋愛ドラマのヒロインらしからぬ反応の西園寺さんらしくて良かった。しんみりとしたシリアスさと、コミカルさや可愛らしさのバランスが絶妙で、性別年齢問わず周りの人たちに慕われる説得力が感じられるのも良いなと思います。

横井さんに正直に楠見くんへ気持ちがあると話した素直さが西園寺さんの良さだと思うけど、最後に横井さんと2人きりになった場面での気持ちの切り替えが早すぎて、もうお仕事で関係のある人の位置になっていたところに少しだけモヤモヤしました。

楠見への恋愛感情を自覚した後、変に足掻いたり誤魔化したりせず、失礼になるからと正直に横井に伝える姿が西園寺さんの真っすぐさや誠実さを感じさせました。楠見にブチ切れるシーンや、困った時のタコ唇、カマキリに怯える姿やバナナのヤケ食い、父に呆れる姿など、悩んでモヤモヤしていてもシリアスになり過ぎず、コロコロ変わる豊かな表情でコミカルさとチャーミングさがあるところも西園寺さんらしくて良かったです。

エリサの登場で、偽家族としての関わり方や吹っ切れたはずの楠見への気持ちなど、少しずつ色んなバランスが崩れていき、違和感やモヤモヤを抱える様子が不自然な笑顔や浮かない表情から伝わってきたのが良かったです。感情がぐちゃぐちゃになって号泣する楠見を「そのまま聞かせて」と全部受け止めて抱き締める姿も、ほのぼのした家族愛だけではない、包容力や愛おしいっていう想いが溢れていてグッとくるものがありました。

新しい偽家族の形態にワクワクしてご満悦だったり、海外出張でアタフタしたり、今回はいつも以上に表情豊かでコミカルな姿が多く見られたのが良かったです。カタカナ英語全開の説明も、最終的に「バババ～」で押し切るところも、緊急の助っ人なのに見事に海外出張をやり遂げる姿も、いつも一生懸命で全力な西園寺さんらしくて格好良かったです。楠見に「本当は少し好きだったよ」と告白する時のスッキリした表情や口調も、強がりではなく、気持ちにちゃんとけじめがついていて前を向いていることが伝わってきて良かったと思います。

偽家族が大好きで大切だって思う気持ちや、こども食堂での横井の姿を見て心が動いている様子など、西園寺さんの心情がしっかり伝わってくるからか、ワガママな主張にもそれほど嫌悪感が感じられなかったのが良かった。ここまでのお芝居で、松本さんが西園寺さんのキャラクターを丁寧に魅力的に作り上げてきたおかげだなと思います。パンケーキ半分このくだりや家族会議のシーンも、豊かな表情やコミカルなリアクションがチャーミングでとても良かったです。

綺麗で明るい！それだけで主人公として華があるし元気をもらえる。いろいろ悩みはあるけれど、これが西園寺となりたい自分と擦り合わせて自分を鼓舞して引き上げていく姿に勇気づけられる。西園寺さんを見ていると月9がいかに暗いか分かるよねー。

マッチング相手とのデート中にルカとの呪怨ごっこを思い出したり、会議中にルカの動画を見て泣き出してしまったり、楠見のことだけじゃなくルカのことも大好きでとても大切なんだって伝わってくるのが良かった。躊躇なく美貌を崩して百面相する思い切りの良さも気取りがなくて気持ちが良いし、ノリノリでミニモニを歌い踊る姿もチャーミングだし、そういうコミカルな演技が空回りしたり寒々しく見えないところも上手いなと思います。

ルカちゃんと一緒にいるのにシルバニアファミリーのお店で我先にとキャラクターに抱きついて置いてけぼりにするところとか、母親じゃないから出るちょっとした仕草がとてもリアルだなと思います。いい悪いじゃなくて気づかないところがリアルです。

ルカの喧嘩の原因を知り「ちゃんと考えてあげられなかった」と後悔して自分を責める表情、「やりたい」がいつの間にか「やらなければならない」にすり替わって空回りする姿、無事に仲直り出来たルカを自分のことのように嬉しそうに見つめる優しい笑顔、どの顔も楠見親子を大切に想う気持ちで溢れていてとても良かった。ドタバタしてるんだけど全然煩くないし見ていて苛々もせず、むしろ応援したくなる空気になるところも凄いなと思います。楠見のことを意識し過ぎてあらかさまに様子がおかしくなったり、久々のフレアちゃんとの再会にオタクモード全開になるコミカルなシーンも可愛らしかったです。

楠見と義母のためにお節介を焼いてドタバタしているのに、鬱陶しさや押しつけがましさが全然なくて、素直に素敵な人だな、良い人だなって思えるところが良いですね。この手のヒロインってイラっとさせられるキャラが多いけど、それがなくて好感度が高いところが、カラリと明るくて軽やかな松本さんの演技ゆえだなと感じます。マラカス振って盛り上げたり、楠見のふいの急接近にドキドキしてときめいてる姿も可愛らしかったです。

仕事で部下が失敗しても自分の責任と自分が謝りにいくところが清々しい。しかも謝りに行きながらちゃんと次の展開も考えてプレゼンするのは仕事できるなーと感心。真摯な謝りと自分が見てみたいというプレゼンもいやらしさがなくて良かったです。

仕事でもオフでも面倒見が良くて頼りになって、こんな良い人なかなかいないなってくらい魅力的な役どころだけど、トラウマになってる母のことや、父との壁を感じるやりとり、誰かと暮らすのも良いなと気付きつつ疲弊もしてしまう矛盾した気持ち、楠見のスープを飲んだ時の涙など、陰や負の感情もしっかり見せてくれて人間臭さがあるところが、完璧過ぎない親近感を持たせていて良いなと思います。岡田社長に次々と新しいプランを提案する時のワクワクと楽しそうな表情も素敵で、この人と一緒に仕事がしたいと思わせる説得力があったのも良かったです。

やりたいこと、やりたくないことがはっきりしていて、面倒見が良くて仕事も出来て、可愛い趣味もあって、すごく魅力的で気持ちの良いヒロインを嫌味なく演じていて良かったと思います。コロコロ変わる豊かな表情もコミカルさとチャーミングさがあって良かった。「もう少しここにいなよ」と楠見を引き留めるシーンも頼もしくて格好良かったし、強引なんだけど押しつけがましさや暑苦しさを感じさせないところも素敵だなと思いました。