セクシー田中さん

細すぎーとも思ったけれど上品でキレのあるダンスは説得力がありソロで十分踊れるだけの力があると思う。最後のシーンでは海外に行って自信がついたのかいつもより堂々としていて笙野と目を合わせるところは色っぽくてドキドキしてしまった。なにがあったのだろうと想像したくなる演技ですね。

クラシックバレーや日舞を経験したという木南さんだけに、ベリーダンスのシーンでは華奢であっても体幹がしっかりしているのがわかります。この田中さんのダンスシーンが魅力的でないと説得力がなくなるドラマなので、プロフェッショナルではないものの、情熱を込めて学んでいるセミプロ感みたいなものがしっかり感じられました。芝居部分は「トクサツガガガ」とか「ハゲタカ」で見せた、すでに木南さんらしいとも言える無表情キャラをベースにした演技です。もしかしたらそれらとさほど変わらないという意見もあるかもしれませんが、その役者さんらしい定型を持つのは悪いことではないと私は思います。

面白いことを面白いでしょ？って押しつけないところがいい。朱里ちゃんに今どきのメイクをされて明らかに浮いているのに鏡を見ながらいろんな角度から自分の顔を見ているだけで面白い。狙ったおもしろさじゃなくて真面目だから笑えることってあるんだよね。

すごく品があり声が心地よい。自己主張がなくて控えめなのに何を話しているのか耳を澄ませてしまう、引き込む力がすごい。賢くてある意味潔くて自分の足でしっかり生きている感じが田中さんの魅力、そこがよく出ていると思います。

いつも冷静沈着な田中さんがハムスターの真壁くんを探す時に後悔したり悲しんだり、笙野さんとの一夜の後に思い出して奇声を発してしまったりどんどん人間らしいというか冷たい堅物ではないんだなというところが出てきて身近なキャラクターに見えてきました。田中さんの細やかな感情を上手に表現しているなと思います。

ベリーダンスは正解がない、だから自分自身で考えて表現しているという。田中さんのそれはそれを踏まえていて下品じゃなくてかっこいいとさえ思う。自分と向き合うダンスであかりが見惚れちゃうのも分かるなと思いました。

普段は曲がったことは許せない廊下さえ直角に曲がっちゃう人で、夜は妖艶なベリーダンサー。私はそこまでセクシーさを感じることができなくて、健康的な自己表現を感じました。そこが倉橋さんが惹かれるところなのでうまく表現できていたと思います。