サイン―法医学者 柚木貴志の事件―

比較的、中堅～若い俳優がメインのドラマの中で、やはりその存在感は全然違うなと思いました。ドラマが重みを増すというか、さすがだなという印象だったのに、さっさと死んでしまってとても残念です。最後の方まで、キーパーソンとして残ってドラマを面白くして欲しかったです。

自分の父親が兵藤さんなら良かったのにと思いました｡色んな事情があって主人公と関わるようになるのですが、それでもあんな風に育てられたら感謝しかありません。
職場の待遇の改善を願ったのも自分の為にというよりも未来の法医学の為でした。人の為に努力してくれる上司はほんとに尊いです。兵藤さんのような方が上司なら仕事も楽しいのにと思いました｡

柚木と中園のために料理を作る姿や、2人が悪態を付き合う様子を見つめる笑顔がとても楽しそうで、父親のような温かさに溢れていたのが良かったです。この時の幸せそうな表情が印象的だったからこそ、後半の悲劇がより悲しく衝撃的なものに感じられたのだと思います。出番は少なかったけど存在感が素晴らしく、ショックと喪失感が大きくて心にぽっかり穴が空いた気分になっています。

柚木のことを「貴志」と呼ぶ時の優しい笑顔が本当の父親のようで、脚本には描かれていない2人の深い絆を感じることが出来ました。西田さんが持つ包容力と温かい雰囲気が、兵藤の誠実さや人間力の高さに通じるものがあり、「誰も信じない」という柚木が唯一心を許しているという設定に説得力が感じられるところも良かったです。