虎に翼

人には「無くて七癖」と言われるように、自覚していないだけで様々な癖があります。ところが役者はなぜかそれを消した無味無臭な男女を演じることが多い。

たとえばこのドラマでは寅子の「はて？」とか航一の「なるほど」といった口癖を作るというのも、個性化のひとつの手段ですが、登場数の多い主役級ならともかく、出番が限られる役では、癖が強い方が視聴者もその役を理解しやすくなります。

松山さんはそれを理解した上で、桂場というキャラにあえて強い癖をつけて演じているのだろうと思います。

重要なのは限られた登場時間で、寅子と浅からぬ因縁を持ち、梅子の餡子を判定する者であり、多岐川の友人であり、最高裁判事として重大な尊属殺の判決を担うという多様な側面をもつ一人の人物の人格をまとめあげること。その鍵としてあの癖のある態度を演技の基本に置いたのだと推測します。

ある意味でとてもプロらしい仕事だと思います。

わざと女子部に嫌われるようなことを言うのもどんな反応が返ってくるのか試しているようで憎めない。向かい合って話さないところも桂場さんらしいなと思いました。さくらの花びらはなに狙いなのか、やりすぎなような気がしました。

梅子のあんこに何度も何度も渋い顔でダメだと言い続けて何年も経ってしまったが、とうとうお眼鏡にかなう日がやってきた。味わうように食べ無言での拍手！その拍手に最大の賛辞が込められていて桂場の梅子さんへのリスペクトが伝わった。その後の嬉しそうに頬張る顔も良かった。

非常にまじめで堅物、それでいて当時としては進歩的な考えを持っている。柔和な印象の穂高教授とは対照的に見えるけれど、最初から寅子のことを気にかけているし評価しているという部分では同じだ。堅物だからこそ、その見立てが確かだと感じられる。取っ付きにくく見えるが甘党であったり、ちょこちょこ挟まれる顔芸で、寅子との距離感が近いのも違和感なく見れる。

少しずつ少しずつ、ヒロインに寄り添ってくれているような気がします。甘党なところがカワイイしこれからの寅ちゃんとどうかかわっていくのか楽しみです。

一人だけセリフの言い方が独特すぎて浮いてるなあという印象

これが個性派俳優というやつなのか？最近の松山さんはどの役も変にクセをつけて演じることが目立ちます。どこまで求められているのか分かりませんが少なくとも私にはそのキャラ付けは要らない気がしています。桂場さんもなんだかなーって感じです。