となりのナースエイド

事が大きくなり過ぎてビビっている様子やサングラスで変装してコソコソ歩いている姿が、プライド高いくせいに小心者な猿田らしかったです。不安でソワソワして落ち着かない様子がリアルで良かった。大河からの言葉を受け、やっと外科医としての意識を改めてゴシップ記者を突っぱねるシーンも印象的で、全10話の中で初めて猿田を格好良いって思えました。嫌味で高圧的でホント最低な人だけど、たまにコミカルさや愛嬌を覗かせるから憎めなくて、ドラマの良いアクセントになっていたと思います。

早苗と大河の修羅場をしたり顔で盗撮する様子や、動画を拡散して澪と大河に復讐を企む時の醜く歪んだ顔、二人を逆恨みして恨み言をグチグチ言ってる時のヒステリックな姿、どれもこれも人として小さくて情けなくて、腹立たしいを通り越して何だか気の毒になってしまいました。人格者役も似合うけど、こういう器の小さい嫌味な感じもすごく上手いですよね。このままでは本当に救いようのないただのクズで終わってしまうので、改心して最後に１度くらいは格好良いところ見せて欲しいです。

澪のお姉さんがどう火神らと絡んでいたのかやその後どうして亡くなったのかとか結構核心に迫る大事な場面で自分の地位とプライドだけを気にしている猿田先生。コメディ担当だけどそこまで自分の方には引っ張らない、その匙加減が上手いと思いました。

火神に呼び出された晴美たちに見せるドヤ顔、病院に必要なのは外科医である自分だと勝ち誇ったように語る高慢ちきな口調、短い出番の中でも猿田らしい鬱陶しさと嫌味ったらしさを存分に見せてくれて、しっかり存在感を示していたのはさすがです。「クビは君の方だ」と火神に言われた時のキョトンとした顔も、全く予想してなかったんだろうなって伝わる目が点って感じの良い表情をしていて面白かったです。

ハンサムのくだりや澪・大河・橘へのアテレコシーンなど、コミカルな芝居はすごく楽しかったけど、夏芽を脅すシーンの高圧的で暴力的な態度は虫唾が走るくらい嫌悪感があって、そのギャップが凄いなって思いました。テンション真逆だけど、ちゃんと違和感なく同一人物として成立させているのもさすが。夏芽に鼻を殴られたあと、ラストまでずーっと鼻が詰まったような声で芝居をしている演技の細かさも良かったです。

退院する患者さんに恩着せがましく話しかけたり、その患者さんに「偉そうな医者」呼ばわりされて気まずい空気になったり、相変わらず嫌味で空気の読めない姿が猿田らしくて良かったです。中山たちとの「時計を見た時の～」のくだりも、一人だけウキウキはしゃいでいて可愛い。嫌なヤツなんだけど、時々こういうチャーミングさを見せてくるから何だかんだ憎めないし、嫌いになれないんだよなあ。出番は多くないけど存在感抜群だし、毎回良い味出してると思います。

良い年したおじさんが、レストラン中に響き渡る声で「手捏ねハンバーグだ～」ってはしゃいでる姿、シュールで面白かったです。高級ランチをご馳走するって言っておいて、ファミレスで済ませるケチなところも、他人の噂話を周りに聞こえる声で平然と話すデリカシーの無さも、器が小さくて無神経な猿田らしさ全開で良かったと思います。

どうも織田さんと並んでしまうとコンディマンス感が出ちゃうのがなんとも微笑ましい。癖のある役をのびのびと演じていて楽しそうなのがいいなと思います。勝手にやっててという呆れた視線にも全然気づいてないところが面白いです。

玲香に論破されてぐうの音も出ない姿、スカッとしました。居た堪れなくなってその場から逃げ出す姿もダサ過ぎだし、桜庭に嫌味言っても平然と言い返されちゃってるし、一人でムキになって空回ってる情けない姿が猿田の人間の小ささや大人げなさを感じさせるところも良いと思います。

桜庭と竜崎にネチネチ絡んだものの、完全にスルーされちゃってる姿がダサ過ぎて面白かったです。反応がなくて「あれ？」みたいに動揺してるのもスルーされたのをしらばっくれてるのも、小者感満載で良かった。こういう残念で三枚目な一面をちょいちょい覗かせるからか、憎めない愛嬌のようなものが感じられて嫌味で性格最悪だけど不思議と嫌いになれないところも魅力に感じます。

腱鞘炎になるくらい竜崎の悪口をノートに書きまくったり、あからさまな嫌味を口にしたり、竜崎にオペ室を追い出されたことをいまだに根に持っている姿が、猿田の人間の小ささや陰湿さを感じさせて良かったです。桜庭に絡む時の口調や態度が本当に感じが悪くてネチっこくて、聞いていてゾワっとするくらい憎々し気な気持ちが伝わってくるのも良かったと思います。

こういう役、ちょくちょく見るけどやっぱり似合いますね。嫌味な口調や小馬鹿にしたような態度がホントハマる。桜庭に憤るシーンが何度かあったけど、最初から激怒するのではなく、1回目、2回目と段階を踏んで徐々に怒りのボルテージがアップしていく感じが「我慢の限界を超えた」って雰囲気が伝わってきて良かったし、それだけ桜庭の行動があり得ないものなんだっていう印象がより際立ったところも良かったと思います。