笑うマトリョーシカ

やっぱり長年アイドルを職業にしてきただけあってガワだけ作るという清家の性質を理解して実践できるのは強みであったと思う。そしてニュースキャスターとして培ったところもいいところが出せていた。彼にとって都合のいい役だったから当たったのかな。

滑舌悪すぎて見ていてストレス。滑舌悪いのに急いで話そうとするので聞き取りずらい。空虚な表情も苦手。

櫻井さんはごく普通に健全な青年より、こういう表面上は良い人なのに、内面は屈折したエリートの役がはまりますね。清家は心が空っぽだから、そこに入り込む誰かを皆が予想する。でも薄っぺらな入れ物に見える彼にも、しっかりと自我がある。まあ当然なんだけどね。表面は好青年、中身はヌエ。そんな人物をうまく表現していたと思います。おそらく櫻井さんは頭が良くて、理解力があるから、単純な感情の人物より、こういう複雑な人物の方が共感しやすいのかもしれませんね。

清家のパフォーマンスは熱狂している人にはいいところしか見えない盲目性があるんだけど、それ以外の人にはとても薄っぺらく見えるのが不思議。取ってつけたような笑顔と大げさなアクションに違和感を覚えるようにできていてすごいと思う。

難しい役に演技力不足すぎ。もう40台なのに大人の円熟感なし。
元ジャニーズに多いいつまでもトッチャン坊や。俳優目指すなら、オレアイドル！イメージ変わらないぞ！を捨てないとね。

聴衆一人ひとりに語り掛けるような親しみを感じさせる口調、効果的に取り入れた身振り手振り、相手に共感するような人好きのする笑顔、野次を飛ばしていた聴衆さえも虜にしてしまう説得力のある演説がとても良かったです。一見完璧なんだけど、表面的というかパフォーマンスじみていて何処か胡散臭さがほんのり滲むところも背後にいる浩子の存在をチラつかせていて良かったです。

鈴木との決別シーン、瞬きもせず、鈴木の呼びかけにも反応せず、ひたすら喋り続ける姿が不気味で怖くて、ものすごくインパクトがありました。用意された台本のような感情の乗らない口調が浩子の影を感じさせたのも良かったし、そんな中でも、時折辛そうに眉間に皺を寄せる姿や、鈴木を特別な友達と語る言葉は清家自身の本音のようにも感じられ、意志のない操り人形というこれまでの評価に疑問を覚えるような印象を残したのも良かったと思います。

道上のSNSをチェックしている時の穏やかな微笑みが、いつものミステリアスさとギャップがあって良かった。普段は本心が分からない不気味さや違和感が漂ってるけど、SNSを見ている時はすごくリラックスしているというか、誰の影響も受けていない状態の素の清家一郎の顔が垣間見れた気がしました。自分に批判的な投稿をされた時の何処かホッとしたような表情も、道上が約束通りちゃんと自分を見ていることに安心しているように感じられ、短いシーンでしたがとても印象深かったです。

言いなりになっている操り人形のようにも見えるし、そう見せかけて腹に一物ある人にも見えるし、どちらとも取れそうな含みのある表情や口調が良いですね。施設の視察で見せる感じの良い対応や笑顔もどこか薄っぺらくて良い人を演じてるように見えて良かった。何だか演技がイマイチだなって思うことが多かったけど、今回は櫻井さんの演技の癖が清家という役にぴったりハマっていて良いと思います。

演技はともかく清廉潔白で賢いイメージのある桜井くんをこの役にしたのはいいチョイスだったと思う。キャスターもやっていたから話し方も落ち着いていて上手だしね。目の奥に何の感情もないのがすごい。全てがポーズでポーズじゃない感じがすごくいい。

相手に寄り添うような親身な語り口や態度も、人好きしそうな笑顔も、全部が嘘くさくて芝居がかって見えて、どこに本心があるのか分からないところが良いですね。個人的には演技が上手い人だとは思わないんだけど、今回の政治家役はイメージに合っているし、いつも気になるニュース原稿を読んでるみたいな台詞まわしも「鈴木に用意された原稿を完璧に暗記する」という清家の設定にマッチしていて、さほど違和感を感じさせないところも良いなと思います。

今まで桜井さんのドラマでハマったことがなかったのは、どの役でもちょっと浮いちゃう桜井さんの存在が現実に引き戻すからだったのですが今回の役は元々の桜井さんに合っているのかとてもしっくりきました。これでのめり込めそうです。

演技下手すぎてびっくり、滑舌悪いし子供っぽい発声声質。一人だけ浮いていてかわいそう。こうやって下駄履かされてきた人は年取ると悲壮です。固定の根強いファンはいるんでしょうけど。こういう人気票キャスティングやめないと日本のエンタメ界レベルは、ずっと他国に追いつけず追い越されたままになってしますよ。作品がもったいない。

笑顔でも目が笑っていなかったり、ニュース原稿を読んでいるような完璧過ぎる話ぶりだったり、AIみたいと称されるのも納得の隙のなさが「凄い人だなあ」と感服するとうより、何となく胡散臭くて不気味でちょっと怖く感じられるところが良かった。ただの操り人形ではなく、相手の本質を見抜いて近づいたり、話を引き出したり、数秒で鈴木の演出入りの原稿を暗記したりと、上に立つ人物に相応しい賢さと鋭さを併せ持っているところも面白いし、櫻井さんの知性派のイメージも役に説得力を持たせていて良いと思います。