片想い

最終回は展開が早くてバタバタと慌しく終わった感があったのが残念ですが、長編小説をたった6話のドラマによくまとめたなと思います。中谷さんや鈴木さんの熱演も素晴らしかったです。ただ、戸籍の性別を変えられる現代において、中尾が命がけで戸籍の交換を進める必要性があまり伝わってこなかったので、もっとジェンダーの人が現実に苦悩するような場面があれば共感しやすかったと思いました。

長い原作を要点を抑えてよくまとめていてドラマの内容自体は面白いですが、役者の演技が追いついてない印象があります。中谷さんと鈴木さんのシーンは台詞にも深みがあって表情も繊細でとても見ごたえがありますが、桐谷さんや大谷さん、国仲さんなどその他のキャストの演技がイマイチで…。台詞の裏の感情が伝わってこなくて、ただ覚えた台詞を喋ってるだけという感じがします。皆さん好きな俳優さんなんですが、役柄に合っていないんだと思います。

男女が名前を交換して入れ替わっていたり、本人が登場せずに台詞の中で名前しか出てこない人物がいたり、しっかり集中して観ていないと人間関係がごちゃごちゃになってしまいますが、原作に近い作りで非常に見ごたえがあります。ただ主演の中谷さんの演技は素晴らしいのですが、桐谷さんや大谷さんなど他の主要キャストの演技がイマイチなのが残念です。

いまのところ原作に沿った流れで作られていて、長いストーリーを上手くまとめていると思います。3話は美月の父親役の橋爪功さんの演技が素晴らしかったです。性同一性障害の子どもを持った父親の葛藤や娘でいることを望んでしまった後悔の念が痛いほど伝わってきて、観ていてもらい泣きをしてしまいました。

性同一性障害という現代話題にあることの多いテーマに加え、人殺しまで加わってとても不思議で、ですが引き込まれる世界観でした。
主人公とは全く違った立場ですし暗かったですが、いろいろ上手くいかない葛藤などはすごく共感することが出来ました。

原作の小説を読んだことがあり、だいたいの内容は頭に入っているのですが、1話を観た限りでは原作に沿って忠実に再現されているように感じました。東野圭吾さん原作のドラマは内容や設定を勝手にアレンジされることが多いので安心しました。中谷さんをはじめ演技派の方が多く、始まったばかりですがグッと引き込まれて集中して観ることができ、あっという間に1時間が終わってしまいました。