僕らは奇跡でできている

とにかく存在感がすごい！もし、台詞がなかったとしても、彼の存在があるだけでいいというくらい大きな存在でした。孫のことを受け入れ、孫を捨ててしまった息子の嫁のことも受け入れ、すべてを受け入れつつ温かく見守る・・・・彼の存在で物語も大きく変わっていたと思っています。

寡黙で優しく一輝を見守る姿が素敵だった。一輝の一番の理解者だし山田さんのことも理解していて、田中泯が出てくると一瞬ピーンとこのドラマが良い意味で締まるように感じた。言葉数は少なくても、一言一言に重みがあって心に響いた。包容力のある役がぴったりでした。

いつも渋い役者さんですが、一風変わった子どもだった主人公を、興味の趣く方向へと素直に伸ばしてあげる、世捨て人のような陶芸家を、優しく感性豊かに演じています。こういう人だからこそ、ああいう子が育ったんだなと誰もが納得させられる、実に見事な芝居です。

心踊る動物や昆虫に夢中になってしまう孫の一輝を温かく見守り、そこから何を見つけ理解したかを評価する感覚を使う陶芸家らしい雰囲気と、少ないセリフと出演シーンで一輝がホッとできる場所である事を表現している所が他の俳優さんよりも優れて見えています。

主人公､相河一輝の祖父役で陶芸家､という役柄で､おそらく一徹な人なのだろうという風格が漂ってきます。だけど､ふつうとはかなり違う孫の一輝を愛していて､変人なところもちゃんと受容していることが伝わってきて､こんなおじいちゃんがほしい､とついつい思ってしまいました。