SUITS/スーツ

中島裕翔さんは期待できる俳優だと思うが､この役は重たかった｡オリジナルに中途半端に似せてるせいで逆に差が顕著になった｡いっそもう少し違う役柄にした方が良かったと思う｡本人の責任ではなくてミスキャスト｡繰り返すが､中島さん本人はすごくいい役者さんで可能性を秘めていると思う｡

この作品の最大の仕掛けであり、最後までストーリーをけん引させる役割なのに、彼には荷が重かったようです。偽弁護士ならではの、後ろめたさとスリルをもっと前面に出せられる役者なら、もっと本作は締まったものになったでしょう。単に明るくて爽やかなだけ。完全に織田裕二の前で存在感を無くしていました。

最初の頃は大人の余裕たっぷりの織田さんの隣で何とも頼りない雰囲気でしたが、回を増すごとに大貴が経験を積んで自信をつけていくのと同じように、中島さんの表情もどんどん引き締まって「大人の働く男」の顔に変わっていくのが見ていて頼もしかったです。優しげな表情と、年齢のわりに落ち着きのある穏やかな声で大貴の困っている人を放っておけない正義感の強い一面が伝わってきたところも良かったです。

彼は何より若くて格好いい所、聡明なムードに、世のおば様を含む女性に愛される事は間違いないと思います。それ故、もてまくりでしたね。悪友にも裏切られても、この度はクビになる事もなく、その才能を必要とされましたが、このままいけるのでしょうか？

頭抜けた知性を持ちながらも、１０代の頃からどこか屈折した感情を持ち、そのせいで人生損をしている役を見事に演じています。頭がよく、時にズル賢い手法を使いながらも、根本的に優しいキャラクターというのは中々難しいと思いますが、そんなキャラクターの存在を不自然に思わせないんですね。声のトーンと話し方、手の動きを中心とした立ち居振る舞いが、その要因だと思います。

良い意味でジャニーズっぽくない自然でクセのない演技が良いですね。最近はスーツ姿も様になってきて表情も引き締まり、大貴の成長が感じられます。やんちゃな一面はありつつ普段は物腰も柔らかで穏やかな雰囲気ですが、8話で聖澤に罪をなすりつけた健斗につかみかかるシーンは迫力があり、大貴の怒りと正義感の強さ、聖澤を大切に思う気持ちが伝わってきたのが良かったです。

「スーツ姿で新人」という設定の役柄が多く、今回も前回同様のキャラクター設定ですが、合っていると思います。上司役の織田裕二に振り回されながらも自分の得意な分野でピンチを切り抜けていくストーリーは少し現実的ではない事も多いですが私は見ていて面白いので好きです。

賛否両論はあるみたいだけど、個人的にはいい意味で裏切られた感がありましたね。ジャニタレは、あまり演技の中身の奥深さがないイメージでしたが、意外にも好演技だったので、見直しました。長い台詞を覚えるのは、元々、頭の回転とかもよくなかったらダメなので、きっと頭いいのでしょう！？

今まで知らなかった役者さんですがこのドラマの主役にピッタリで演技も新鮮です。悪友とつるんで運び屋をやっている時も弁護士をやっている時もどちらもハマっているので見ていて面白いです。存在感もあるしこの人を見るのが毎回ドラマの楽しみになっています。

背が高くてイケメンなんだけど変にカッコつけずに役になりきるところに好感が持てます。3話の酔っ払いシーンもフラフラした足取りやヘラヘラした締まりのない顔、テンションの高い話し方で今にもお酒の匂いがプンプン漂ってきそうな見事な演技でした。低く落ち着いた良い声をしていて、感情が高ぶるシーンでも耳障りでなく台詞が聞きやすいところも良いと思います。

おばあちゃんに向ける優しい眼差しや依頼人を辛そうに見つめる表情から、やんちゃしてきたけど心根は思いやりのある良いヤツだなと感じられるところが魅力だと思います。織田さんや小手さんなど、濃い目の演技をする先輩俳優さんを相手に、気負うことなく自分らしい自然な芝居を見せているところも良いですね。

友人の谷元と仲良くしているようで、谷元の誘いに乗った不正に関わったために、転落人生を歩んでしまった事を悔やむ場面の感情を言い放つ表現はとても良かったと感じました。
大輔の持っている抜群の記憶力を上手く活かせない若者らしさが出ていたと思います。

おばあちゃん思いの優しい一面や今の状況から抜け出したいというジレンマを繊細な表情の変化で丁寧に表現していたと思います。以前に比べて台詞もとても聞き取りやすくなったし、どんどん演技が上手くなりますね。イケメンだけど良い意味で華やか過ぎず、髪型や服装で印象がガラリと変わるところも強みだと思います。中島さんご本人なら本気を出せばスーツもバッチリ着こなせると思いますが、大貴として何だかしっくりきてない、無理やり着せられてる雰囲気をちゃんと醸し出していたところも良かったです。