べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜

自分は身を差し出すのは慣れていると言ったところがもう切なくて悲しくて。その善意が巡り巡って悪い方へいってしまって殺されて。とんでもなく悲しかったのだけれど、意外と亡き骸が美しくて。どん底をはい回った人生だったかもしれないけれど、それでも亡くなる寸前まで幸せだったのかもと思った。

久しぶりに泣いた…

男らしい新さんの隣にほわんと優しい空気を纏ったふくがとてもお似合いで2人の足抜けしてからの生活がスピンオフであったらいいのにと思うほど好きな2人でした。地べたを這いつくばる生活は楽じゃなく険しい顔もあったけれど、他人の子を抱く姿は尊く優しさと生きる強さを感じました。

蔦重からの差し入れがあっても十分足りてるとは言えない状況だろうし、しんどいことに変わりはないのに、「困った時はお互い様」とよその子にまでお乳をあげる姿がうつせみの優しく温かい人柄を感じさせました。その善意が終盤の悲劇に繋がってしまうのが本当に残酷で悔しくて、どうしてこんな目に遭わなければならないんだろうって容赦ない展開にただただ胸が痛く苦しかったです。

足抜けに失敗してから会っていないであろう2人が祭りで再会。その前から姿の似た人を見ると「新さん‥」と呟く姿が切なかったけど、会った時の泣き出しそうな顔がうつせみの思いの大きさが分かって良かったです。どうにか思いを成就させてあげたいと願わずにはいられません。

うつせみの幸せになりたいって気持ちが切ない叫びでした。その恋を全力で否定されたけれど、思いが真っ直ぐな分こちらにも真っ直ぐ届いて切ない気持ちになりました。腕に傷をつけられても袖を噛んで耐えるところは見ていられなかった。廓という特殊な世界を見せられた気持ちです。

新之助とうつ伏せで寝転がりながら可愛らしいトークをするうつせみ、新之助の言葉に嬉しそうに微笑む姿が可愛らしい。本当に好きなんだなと思えたし、遊郭という場所でありながら普通のカップルに見えるギャップがよかった。

ふわふわとした喋り方がとても柔らかくていい夢を見させてくれる遊女っぽい。わちきでは天女ってわけにはいきませんねと言った顔は少し寂しげで守ってあげたくなるか弱さがある。そんなことはないと言われてパッと顔が明るくなるところが素直でかわいいと思った。