ドクターX 外科医・大門未知子 第7シリーズ

未知子のオペなら命は助かる。でも感染症にかかってしまったならオペも意味がないと立て籠るのはわかる。でもあんな弱々しい姿を見せられたら普通なら誰だって放置しておけないよ。オペではいつも通り問題が起きるも未知子の機転で危機を回避。興梠が最後に改心したような感じでオペに参加したのには笑ってしまった。
蛭間はうまいこと危機を回避するよね。すごくたまたまなのに、違和感がないのがすごい。鍬形はもう2度と出てきてほしくないから逮捕にホッとしました。
蜂須賀の最後のプロポーズらしきセリフを素直に"一緒にタコ食べよう"の部分だけ切り取った未知子が最高でした。

プロポーズに「一緒にタコを食べませんか」って言う方も言う方だけど、そのまま受け取る方もどうかしてますね。スーパードクターも色恋の処方箋は書けないようです。手術に因縁のあるドクターたちが集まってくるシーンは、少年マンガで主人公のピンチに仲間やライバルたちが集結する定番の手法ですが、手堅いというか、ありがちというかは、難しいところです。医療ものというより娯楽ものであると考えるならば、手堅いというべきなのでしょうね。大門の病院が出来るまでシリーズは続くのかもしれません。

ウイルスに感染してしまった蜂須賀が研究センターに籠城したことは、感染拡大予防の意味では最善の選択だったとも思うけど、手術を受けるまでの数日間は、飲まず食わずで過ごしてたのかしら。手術を受けさせようとやってきた未知子の前で卒倒したのは、病気のせいもあるけど、空腹すぎたせいもあるんじゃないの？
ガンのほうは未知子が手術するんだから絶対成功して完治するのはわかってたけど、感染症はどうやって治癒したのかも描いてほしかったかな。

蛭間の悪いところが出ちゃったね。あんなに若い子といちゃいちゃしてても許してくれてた奥さんにこの間健診したばかりだから"気のせい"なんて、今まで最低だったけど最悪まで付け加えた感じ。健診だって必要不可欠のしかしてないはずで、症状もあるんだから検査くらいしろよと思いました。
未知子の異変察知能力(笑)のおかげで病気はわかったけどかなり深刻で、この流れで離婚届を夫に叩きつけない妻はいないなと思いました。自分のせいなのに落ち込む蛭間は面白くもなんともなかった。離婚しないかもしれないけど、人として罰を受けてほしい。
鍬形の手のひら返しも最低。未知子がオペして上手くいったらまた戻るのかと思ったけど、別の問題が発生してそれどころじゃない感じでびっくり。

鍬形はやっぱり見た目通りの、腹黒い奴だったわ。蜂須賀が重病だと知ったとたんに蛭間院長に寝返るのも、あまりに有りがちなパターンで、何の芸もヒネリもなくて面白くない。そもそも医者には守秘義務もあるはずなのに、それすら守らないなんてね。でも蛭間院長も食えない人だから、あのまま素直に喜んで鍬形を受け入れるはずもないだろうし、絶妙のタイミングでハシゴを外してやってほしいわ。

未知子と博美の意見が対立するのシーズン毎に1回はあると思ってたけど、その流れで患者さんが亡くなるのは予想外でした。ゲストとして瀬戸朝香さんがさつき役だったし、博美の同級生だし、子供もいるし助かるものだと考えてたのは甘かった。執刀医が未知子なら死なないというだけで、他は確実性がなくて当たり前なのに。それにさつきは癌ではなく急性心筋梗塞で亡くなった。ケミカルサージェリーではなく未知子が外科手術で取り除いていたらどうなってたかはわからないけど、さつきが笑顔だったんだから最高の治療が出来たと認めてあげないと心が壊れちゃうと感じました。

さつきが急変して危険な状態になっても、いつものパターンで絶対に助かるという安心感があったので、そのまま亡くなってしまう展開にかなりショックを受けました。このドラマで人が亡くなるのってシーズン1以来？コロナ禍で敢えて死者を出すという展開に、命の尊さや今元気で生きていることは当たり前のことではないということを強く印象付けられた気がします。ストーリーは辛かったけど、また海老名先生が復活したのは嬉しかったです。

さつきさんが亡くなってしまったことが残念。このドラマは、どんな重症患者でも未知子が必ず完治させるから、そういう意味でも医療物だけどシメっぽくならず楽しい作品だったのに。
一方では海老名先生が戻ってきて、蛭間院長とのコンビ復活でまた面白くなりそう。

最初森本って誰だっけと思ったけど、ポンコツぶりを発揮してくれて思い出せました。医療系インフルエンサーとかいう謎の肩書きが増えても、オペの数をこなしてなきゃ腕は上がらない。オペ中に何度も何度も扉が開いて大門がこないかと待ちわびてるのはダサかったけど、森本らしさはあったのでよかったのかな(笑)
大門は患者さんが危ない状況なのに出番が遅く、何だか危機感もないし大門の凄さが伝わりづらいと思いました。助けに来るよりも勝手にオペしちゃう方が大門っぽいのに途中で入れ替わるだけになってつまらなくなった気がします。

年齢だけは重ねたのに、精神的にも手術のスキルも全く成長してない森本先生には苦笑するしかないって感じ。特に外科医って、人柄だけ良くてもどうしようもないし。
患者を入れ替えて、環境大臣が胃癌手術をうけたことにするとか、ストーリーはもうますますコミックめいてきてるし、「一匹狼の女医の話」と毎回ナレーション入るけど、主役の未知子の存在感がどうも希薄。手術シーンにチョロっと登場して、いつものあのセリフを言ってるくらいにしか印象がない。もうこのドラマも、今シーズンで本当に最終回かもね。

以前のドクターXが戻ってきたような感じがあってとてもわくわくしました。
原の請求分が3万円というのと、フリーランスというストレス過多な職場で働くよりも"御意"とか言って方が楽という流れには笑ってしまいました。
未知子がなぜ原のストレスのことがわかったのかわからないけど、原が平常心でオペができて、結局未知子と入れ替わったったけど、弥六のオペが成功してよかったです。
晶さんは何やら問題を抱えてるみたいで、晶さんはなんだかんだ未知子を守る人なので未知子関連の問題なら、未知子がおかしなことに巻き込まれないといいなと思いました。

弥六くんは大富豪の大事な跡取り息子でＳＰは何人も付いてはいるものの、たった一人で海外から手術を受けに来るなんて、多少奇妙だし可哀想。子供なのに一言も弱音を吐かないのも、痛々しい感じだったわ。
未知子は原先生の眼の不調が心因性のものだって、どうしてわかったんでしょ？　だけど蛭間院長に原先生、加地先生が揃うと、やっと本来の「ドクターX」って雰囲気だし、見ていてもおさまりが良い感じ。次回以降ももう、面白くもない蜂須賀や蝶子は抜きにして、この王道メンバーでやっていってほしいわ。

海老名もいなくなっちゃって、神原と蛭間の言い合いもなくて面白さの面が物足りない。
興梠の逃げ体質は未知子の敵としては弱いというか、手術を変わるいいタイミングになっているだけな気がする。しかも神原に請求書を押し付けられて受けとる弱さには唖然。"大門に手術室を乗っ取られただけで自分にミスはない"と言っていたのはなんだったのか。
神原が灯をスカウトしようとしてたけど、今未知子の敵はいないようなもの。ここで未知子側に新たに優秀な人が増えたら蜂須賀との対立構造が崩れちゃう。でもまた未知子と灯が一緒にオペするシーンが見たい。

医療の世界でフリーランスで働いてると、誰でも無表情で無愛想な態度になってしまうのか？というくらい、未知子も派遣看護師も似たタイプ。でもどちらも超一流の仕事人だから、中途半端に愛想だけいい興梠みたいな医者よりずっと良い。でも、医者の失敗を看護師のミスとして押しつけて、首を切って無かったことにするとか、実際にも少なくなさそう。あのクビを宣言された看護師の解雇は撤回されたのかな？　
今回は蛭間先生が一度も登場しなくて残念。手術代金請求のやり取りも、晶さんと蛭間院長のコンビネーションだからこそ面白いのに。

焼肉パーティーは楽しそうだったけど、自腹切って蛭間に寄り添ったのに海老名だけ左遷。蛭間の大門に文句言いながら頼ったり、自分が利益を得られるならなんでもしちゃうとこ本当に嫌い。海老名がまた戻ってきたらいいな。
蜂須賀も自分の利益のために患者さんを苦しめるタイプで見てて嫌になる。しかもそれだけではなく、他の病気は見逃してたのに言い訳までするなんて。晶さんの言葉はとても重く意味があったけど、蛭間を蹴落とすために真っ黒になってしまった蜂須賀にはきっと届いてないんだろうな。今がなきゃ未来なんてないのに。

切開しなくて良いケミカルサージェリーも悪くはないけど、病気を見落としていては元も子もないない感じ。それに、時間がかかったり完治できなければ何の意味もないでしょ。蜂須賀が、私は未来の医療を見ているとか言ってたのに対して、晶さんが言った「未知子は目の前の患者を見ている」というセリフ、カッコ良かった。
海老名先生は地方の分院に飛ばされたけど、もう二度と姿を見られないのならちょっと寂しいかも。

完全に蜂須賀を尊敬して腰巾着をしてると思っていた蝶子が厚労省の事務次官と不倫してて、奥さんから略奪しようと画策していたなんてとかなり驚かされました。蜂須賀も病気から早々に復帰した蝶子にプレッシャーまで与えてたくせに、蝶子が使えるとわかったら手のひら返してて笑ってしまいました。蜂須賀なんて手のひらの上で転がしても何の特にもならないと思われてたことに蜂須賀は気づいたのかな…？(笑)
蝶子は未知子がいたから助かったけど、喜んだことで死んでいたかもしれないという症状は怖いなと思いました。

三国蝶子さんは、蜂須賀院長の単なる腰ぎんちゃくではなくて、実は敏腕仕事人だし、不倫までしてた人だったとは驚き！でも蝶子さんが抱えてた“たこつぼ心筋症”は、妻が病室に乗り込んできた時よりも、略奪婚が決まった嬉しさの方が心臓に悪かったなんて皮肉。大門未知子がすぐに駆け付けて良かったけど、蝶子さんのハイリスクハイリターンな戦術は大胆不敵ですな。

地味な外見にキツい性格で、仕事にしか興味がない人かと思ってたら、実はちゃっかり不倫も楽しんでいたとは、蝶子さんってなかなかやり手。蜂須賀に首を切られると見せかけて、逆に強い立場を手に入れるあたり、すごくしたたかでちょっとカッコいい。彼女に比べたら、蜂須賀の悪だくみなんて、底が浅すぎる感じ。
ところで、不倫相手の神部事務次官の奥さんだった人は、なんだか蝶子さんとよく似たタイプ。神部さんはああいう見た目も中身も押し出しがいい女性が好きなんだね。

大門が感染したのは完全に"失敗"だと感じていたので、普通に生活してるところから始まってかなりがっかりでした。もう少し生死の境をさ迷う姿とか、晶さんや城之内が絶望してるシーンとか、助かった一木が申し訳なさそうにする姿とか何かもっと"未知子が感染した"意味がほしかったです。すぐにヒール履いて復帰できるってラッサ熱が軽く見えたのも、よくない演出だと感じました。
危機ってときに使えない医師が大門とオペを交代するのはよくある展開だったけど、それを悪いとも恥ずかしいとも感じてない興梠は新しいなと感じました。何もしないのに恨みだけはすごくてキャラとしても面白かったです。

前回のラストで、未知子がラッサ熱に感染して大ピンチって状況だったのに、闘病も治療のシーンも描かれず、何事もなかったかのように復活してるのには拍子抜け。どっちにしても未知子が復活するのはわかってるから、どうでも良いようなものの、何も描かないなら感染したことになんてしなけりゃいいのに。　　　
そういえば蜂須賀派のメンバーって、興梠とか寒蝉とか蝶子とか、虫にちなんだ名前でそろえてるのね。

スコップをAEDの電極変わりに使うとか冗談にもほどがある感じだけど、その突拍子もない発想の豊かさがいかにも未知子らしい。誰かのちょっとした異変を見抜く鋭さにもますます磨きがかかったようで、一木さんの症状も未知子以外なら絶対発見できてなかったでしょうね。自分以外のスタッフは感染させないようたった一人で彼の手術をやり遂げるなんて全然現実的ではないものの、つまらない揶揄を言う気にはならないのが、未知子とこのドラマの魅力かな。内科のソーシャルディスタンスのポーズは、怪しい新興宗教じみていて、ぜんぜん面白くない。

大門は海外にいた方がのひのびしてたし、晶さんに搾取されないし、幸せそうだと感じてしまいました。この作品のなかでは日本の医療が崩壊してるというより医療を司る医師や病院関係者たちの倫理が崩壊してるように見えます。どんな患者も助けたいという大門の考えはおかしいというかぶっとんでるのもわかる。けど一木の変化に誰も気づかず、大門が気づいてなかったらどうなってたかも考えず一人を犠牲にして自分たちが不利益を被らないようにしようと言う様は怖かった。
でもだからこそ大門の凄さがとてもよくわかった。けれど最後に感染しちゃってこれは"失敗"なのでは？と思ってしまいました。

いつのまにか大好きな教授回診もできない世の中になってしまったのね（笑）でも大門先生、見ないうちにコロナ禍のアメリカに行ってパンデミックの中治療にあたっていたとは！ご苦労様ですと言いたいところだけど。同僚までもがバタバタと亡くなっていく過酷な現場を知りながら日本に帰ってきて政治家のパーティーに参加するとは到底考えられない。それはそれこれはこれ、なのか？いくら自由奔放な大門先生だって価値観変わるくらいの経験したんじゃないかねー。ちょっと理解に苦しんだ。

由華の胆石症ですが、私も急性胆嚢炎で手術をしましたけど、結構体にこたえる病気でした。でもスーパードクターに頼まなくてもという種類のものです。もっとも結果としてそれが正解だったわけですが。それにしてもパンデミックで外科が忌避されてる間に、内科が力を持つという展開はちょっと無理がありますね。まあ東帝大学病院がその程度のところだと言ってしまえばそれまでですが、やはりこのドラマは医療を扱ってはいても、医療ドラマとして楽しむのではなく、大門の傍若無人な天才ぶりを楽しむエンタメです。