ハヤブサ消防団

省吾の仇だと真鍋に猟銃を突き付ける山原を「やってもこいつが喜ぶだけや」と宥めるシーンがとても良かった。焦って大声を出す他のメンバーとは違う静かで落ち着いた口調、山原の目を見ながらそっと銃口を握って降ろさせる姿、誰よりも強い信頼関係と絆がある二人だからこそのやりとりにグッときて、山原を止められるのは宮原だけだったろうなって説得力がありました。

杉森に食ってかかる勘介を力づくで抑え込んだり、肩や背中を撫でて気持ちを鎮めるように宥める姿が分団長らしい頼もしさを感じさせて良かったです。一方で、捜査に乗り気じゃない警察にブチきれたり、杉森や信者たちを睨みつけて威嚇したり、全身でアビゲイル拒絶の態度を示す姿もハヤブサを守らねばという宮原の使命感と血の気の多い性格が感じられて良かったと思います。

最後の晩餐になるかもしれないと思ってもきちんと話を聞かなきゃ終わらないと覚悟を決めて臨んだように見えました。あの場で省吾が全てを話しても見離すような人には見えない。全てを一緒に抱えて怒ってくれるように見えました。警察の前で暴れた時悲しくて悔しいという気持ちの爆発が悲しかったです。

省吾を問い詰める時も、省吾が亡くなって山原に突っかかる時も、大声出して暴れて泣いて感情をむき出しにする姿が熱血漢の宮原らしかったです。仲間たちを家族のように大切に思っているからこそ「何で、どうして」という悔しさや怒りが人一倍強いんだろうなと宮原の思いが伝わってきて胸が痛かったです。

消防団全員で村西さん宅を見張るシーン、ハヤブサを守るために仲間と一致団結して頑張ってるのが嬉しいと山原に語る姿が、熱血な宮原らしくて良かったです。消防団の団結力の強さを実感して、分団長としての手応えと喜びをしみじみ感じているんだろうなと伝わってきました。真鍋が現れた時のテキパキとした指示も、悔しそうな団員たちの肩をそっと叩いてフォローする姿も頼もしくて格好良かったです。

ドラマ撮影での絵に描いたような棒読み台詞とぎこちない動き、面白かったです。演技はカチコチだけど、撮影協力には快く応じるところや、彩に褒められて喜ぶ姿が宮原の人柄の良さを感じさせたのも良かった。三馬の「元信者の友人」のくだりで見せた「一緒に呑んで話をすれば分かり合える」っていうスタンスも、皆が知り合いの平和な田舎で育った人っていう感じが出ていて良かったです。

退院して居酒屋に顔を出した山原に憎まれ口を叩きつつ笑顔を浮かべたり、おつまみを取り分けてあげたり、嬉しさが隠しきれていない姿が可愛らしかったです。山原との喧嘩もそうだけど、村岡にポンコツ呼ばわりされてブチ切れたり、ツチノコ探しの時も聞こえよがしに嫌味を言ったり、幼馴染とのやりとりや関係性が子供の頃からずっと変わっていないところも、生粋のハヤブサ育ちの地元民らしさが感じられて良いと思います。

意識を失った山原を火事場から抱えて助け出すシーン、格好良かったです。「死ぬな、戻ってこい」と何度も山原の名前を呼んで必死で蘇生を続ける姿が、普段喧嘩ばかりだけど誰よりも信頼し合っている二人の絆の深さや熱い友情を感じさせてグッときました。病室で山原にお礼を言われた時の気恥ずかしそうな、でもちょっと嬉しそうな表情もとても良かったです。

団員の前での威勢の良さや山原と喧嘩する時の血気盛んな姿と、恐妻の尻に完全に敷かれている姿のギャップが面白かったです。奥さんの前だと借りてきた猫みたいにシュンと大人しくなってしまうところが親近感湧いて良かった。すぐカッとなったり「気合いだ」とか言い出しそうな体育会系な暑苦しさも、絵に描いたような田舎のおじさんって感じがあって良いと思います。

太郎を消防団に誘うくだりで山原と言い合いになったり、血の気が多いところはあるけど、基本気さくでノリも良いし、現場では率先して動くし指示も迷いがなくてテキパキしていて、頼もしいまとめ役という雰囲気があって格好良かったです。方言への馴染み方も台詞という感じがしないくらいナチュラルなのがすごい。養鶏場のジャージ姿で飲み屋に来たり、真っ黒に日焼けした姿も地元のおじさんらしいリアリティがあって良かったと思います。