鎌倉殿の13人

最後まで「りく」は「りく」らしく、凛として華やか。そして誇り高く。宮沢りえさんで良かったなと思える役どころだったと思います。

時政の最期の様子を聞いた時、死んだことに少し寂しさを醸し出しながらも一人で寂しく死んだわけではなく若い女がいた時政を自分が愛した男として誇らしく思っているように見えてよかった。時が経っているのに若々し過ぎる気もしたが、りくさんならそうかもしれないと思えた。

宮沢りえさん秀逸でした。惹きつけられ、繰り返し拝見しました。きっと、台本が求めたもの以上の体現だったろうと思います。次は主演を。是非。

夫と共に策が破れても伊豆に帰されることになってもりくはりく、立ち直りの早さも魅力でした。最近は時政のフィクサーで苛立つ姿が多かったけれど最後に政子や実衣と話したときは昔に戻ったようだった。りくなりに鎌倉に思いがあり北条にも思いがあったことが分かってよかったです。

最後までりく様だったなと。りく様の美貌と力をもってすればたくさんの嫁ぎ先がありそうなものなのに、どうして坂東武者の時政だったのだろう。義娘たちとの会話から、実は鎌倉の暮らしもまんざらではなく、むしろ気に入っていたのかもと思えた。妖艶で美しく、それでいて男勝りの上昇志向。京はむしろつまらなかったのかも知れない。時政の広い懐を十分に堪能して自由に生きたのだと感じる。嫌みなく悪女を演じきってさすがだと思う。

この役を演じる上で重要なのは、政子よりも秀でた印象だったり、大物感があってはダメだということ。そのバランスを考えた上で、賢いのではなく浅知恵を振り回している感じや、いろいろ企むわりに小物感を出す必要がある。宮沢さんはその気になれば、政子を喰ってしまうくらいの芝居ができると思う。でもあえて政子の器と比較されるよう、しっかり考えてこの悪女を演じているのだと感じる。北条家の中に紛れ込んだ異物感を、阿野全成と共にうまく表現していた。実に見事な芝居です。

宮沢りえにしか見えません。小池栄子は政子に見えるけれど。

好々爺だった時政をこれほどまでに出世させたのは間違いなくりくの手腕だろう。いいも悪いも情熱的で圧が強いりくさまにみんなが辟易しているのがよくわかる。でもこの時代女が前に立てないのだからこれぐらい後押ししないと思い通りにはならないだろう。歯車が狂ったような思い込みの激しいりくが怖い。

大事な我が子を亡くして憔悴しきっている姿が痛々しい。外見を誰よりも気にするりくがノーメイクに近いのも物語っていると思う。そんな中で畠山が怪しいとなったら目の色が変わった。もう誰もりくを止められないだろうと思う豹変ぶりだった。

裏に女ありって感じの欲の皮が張った悪い顔に狂気が加わった。冷たくて怖くておぞましいと感じた。もう誰も止められない雰囲気が良く出ていると思う。

怖い 怖い 美しい 巧い

どんどん妖艶で悪い顔になっている。笑い方ひとつとっても最初の色っぽいだけの笑いとは全然違っていて。完全に時政を手のひらで転がしてる感じがする。

りく様と義村のやり取りが、本当にしびれた。どちらも腹の探り合いをしながら、今まで出ていなかった義村の野心みたいなものまで自然と引き出されていて、この方がいてこその時政なのだなと思うと共に、のちに事件として名前が残るのはなるほどと思わせる。

お人好しの時政にこの人がついていたからこそ活躍できたんだと思える才女っぷりが見事。自分の夫さえ騙すような勢いが悪女っぽくもあり魅力的。あの三浦でさえ出し抜いてしまうところがすごい。まだまだやってくれそうです。

今までは時政を焚きつけるだけで済んでいたけど、政子のところに乗り込んで来た時は本性丸出しで怖かった。それもこれも一家の危機、または自分たちの危機だと思っているからなんだけどさ。泣くこと黙る表情、怖かった。

いい人ばかりのドラマが流行っているからこういう皮肉を言うのがうまい人は新鮮でもある。形式上の娘婿でもある頼朝に色目を使う時は艶っぽく、またそれをなじる時は言葉は辛辣だけどかわいらしく。人の怒らないラインギリギリを攻めてくるのはすごい。

もう政子の立場をうらやんだりはしていなくて、北条が生き残るために子どもをたくさん作り、あちこちに縁を結び、簡単には消されないように。そういうことをサラッと言ってのける。お互いに頑張りましょうには参りました。

野良仕事をして顔に泥をつけながらも凛としていて品の良さやプライドみたいなものを感じるのがすごい。向こうが頭を下げるまで戻っちゃダメだなんて、京に戻りたい人が言えるセリフじゃないよなーと思った。

政子に頼朝のことを吹き込むりくは魔女のような顔だった。ああやって力を持たない女性たちは情報で人をやっつけたりしているんだよね。やってはいけないことだけどやってしまいたくなる。自分のこの一言がどんなことになるか楽しんでいる。そんな顔が見えてドキッとした。

都育ちを鼻にかけ綺麗に作法を見せてくる。スッとすました顔がとても綺麗。立ち振る舞いも綺麗だし納得。だけど自分の身内にいたらちょっと迷惑な人よね。自由奔放な少女が大人になったって感じ。母上って呼ぶのは嫌だな（笑）

一言で言えば食えないなって感じ。あの時代、男性についていかなきゃ食い扶持も用意できない女性っていう立場の中で最大限に利害を考え行動している女性だと思う。美しいだけじゃなくて強かで賢い一面が見えるのがさすがだなと思う。

ただ者ではない感じが今から出ている。まだ戦も始まっていない、しかも人が集まらない中で新居の間取りを考えているなんて。この人が時政のお尻を叩いてのちの時政をプロデュースしていくんだなと感じた。