緊急取調室 第4シリーズ

警察では貝のように閉じてへの字だった口が釈放されてものすごく笑顔になったときの顔とギャップがあったし、とても心情を表していてすごいなと思いました。
声のトーンがいつも落ち着いていて声が聞けないのは寂しかったので、そういった意味でも釈放されてからが良かったです。

逮捕された時はどうなることかと思ったけど、キントリメンバーとの信頼関係あってこその行動で、真意に気付いてくれるという確信があったんだなと強い絆にグッときました。笑顔だけど目が笑ってなかったり、あからさまに鋭い視線になったり、基本は独特のまったりしたトーンだけど時には大声で怒鳴ったり、状況や相手によって表情も口調も自在に変化させて掴みどころがなくて読めないところが刑事らしくて良かったと思います。

真壁たちと世間話をしていたり、小石川と呑んでる時は気の良いおじさんという雰囲気だけど、仕事モードになると1人で歩きまわっているだけでも普通とは違うというか、鋭さや圧のようなものが感じられるのが凄いです。宮越に会いに行く前に「よし！」と気合を入れ直す時の覚悟を決めたような引き締まった表情もとても良かったです。

朴訥で優しそうなおじさんに見えたり、強面の怖くてヤバい人に見えたり、大きく芝居の質を変えているわけでもないのに、目つきひとつで変化しているように感じます。菱本がいることで、緊急取調室の戦力が大きく跳ねあがると感じます。それを演じているでんでんさんですが、かつてお笑いをやっていた人たちに共通する、実は目が笑っていない怖さを感じます。とにかく見ている人が良い人か悪い人か判断できない雰囲気を持っているのは、とても貴重なことだと思います。

「落ち込んでる暇ないぞ、おばはん」って明るく真壁を励ましたり、警察内のツテで新情報を持ってくる顔の広さなど、捜査においても精神面でもキントリに必要不可欠な存在ですね。馨に対しては機嫌を損ねないように丁寧な口調でおだてながら接したり、取り調べ相手によって口調や態度を変えるところも菱本の経験の豊富さが感じられて良かったです。

鬼塚の前で「さすがおばはん」と褒める時の得意げなドヤ顔が親バカっぽくて何だか微笑ましかったです。真壁のこと、信頼して頼りにしてるんだなと嬉しくなりました。「おばはんのこと気にしてんのか」とけん制したり、たまに軽口を叩いたりとマイペースに振舞う菱本のおかげで、険悪ムードになりがちな空気が和らいでいたのも良かったと思います。

もうどうでも良いと自暴自棄になる飯塚を「投げやりになっちゃいかん」と穏やかな口調で諭す姿が良かったです。相手の性格や精神状態に合わせて声のトーンや話すスピードを変えるところにベテランの経験豊富さを感じます。逆上した飯塚が真壁に掴みかかった時の咄嗟に彼女を押さえる反応の速さや肝の据わりっぷりも、さすが暴力沙汰が日常茶飯事であろうマル暴出身という説得力がありました。

取り調べを止めさせようとする刑事部長の手をひねり上げて阻止する時の、遠慮のない掴みっぷりが菱本らしくてスカッとしました。「それも作戦なんだよ」と言う時のちょっと乱暴でダルそうな口調も、外野は口出しするなという苛立ちを感じさせました。取り調べ後、真壁の肩を優しくポンポンと叩くシーンも言葉はなくても「お疲れ様」という労いの気持ちが伝わってきて良かったと思います。

血気盛んで斜に構えた石倉の態度に全く動じず、まったりした独特の口調で平然と対応する姿がさすがマル暴一筋のベテランだなという説得力があって良かったです。こういう暴力的な態度に慣れてる感じがよく出ていました。真実を知って自棄になった石倉が拳を殴りつけようとした時に「宝物は大事にしとけ」って止めてあげる姿も、菱本の人情味が感じられて胸が熱くなりました。

取り調べを真壁と交代する時に、何も言わずにただ肩をポンと叩いて出ていく姿が印象的でした。あとは任せたと言っているような、真壁なら絶対に落とせるという確信を抱いているように見えて2人の信頼関係が感じられたのが良かったです。刑事部長が押し掛けて来た時も表情ひとつ変えず全く動じないどっしりと肝が据わったベテランらしい貫録も格好良かったです。

強面の風貌と被害者家族に話を聞く時の「～ですなあ」という独特の口調が昔ながらの刑事という感じがして良いですね。被害者のお葬式に出向いたり、息子に話を聞きに行ったり自らの足で地道に捜査する姿も、闇雲に動いているというのではなく、ちゃんと目的がありそうに見えるというか、「何かある」というベテランならではの勘を働かせているように見えるところも良かったです。